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第3話

ふわっと脳みそをこねてくるようなアルコールの香りが立ち込めた空間にはポツポツと脚の長い椅子達がカウンター席に整列している。 背は高く痩せ型でやや長い髪の毛を後ろに流した男が振り返った。おそらくこのバーのマスターだろう。マスターと思しき人は何かの薬を調合するような仕草をしながら私に声かけた。 「いらっしゃませ」 「こんなところにバーなんてあったんですね。いい雰囲気のお店ですね。」 「この店はね、本当に必要なお客様だけが見つけることができるんですよ。」 マスターはニヤッと笑った。最後に言ったことはどういう意味かは分からないがマスターが端の方にある席を案内してくれたので私はそこにそわそわしながらも腰掛けた。 もちろん私は今日20歳になったというのもあるがこのような店に来たことはない。 私の他にはまだ客は誰もおらず、ジャズのような小粋な音楽とマスターが何かの仕事をする音が店の中に響いている。 私はよそよそしく前に置いてあるメニュー表を手にとり、(本日のおすすめ)の欄に書いてあるシンガポール・スリングというカクテルを頼むことにした。
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