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第3話 嗚呼、死んでしまうとは(本当に)なさけない 3

「嗚呼、死んでしまうとは本当になさけないよフリードニーニ君」 「は、はい。本当にすみません…………」  国立第二広場前の警察署、署長室。  そこにはつい先程、初期化(フォーマット)によって蘇生してきたフリー巡査と、この警察署の署長がいた。フリーは署長のデスクの前に立っており、署長は頬杖をついている 「君ね、ここに配属されてから死ぬの何度目よ」 「…………二十一回です」 「違う違う、今月中の事じゃなくて来てからの回数を聞いてるんだが」 「…………………今日を含めば丁度百回目です……」  フリーは、約五ヶ月前にこの警察署に配属された新人である…………のだが。 「おいおい…………あっさりと5ヶ月間の死亡数の歴代最高記録更新してんじゃねーよ…………」 「す、すみません……」  近年(まれ)に見るレベルの死亡数の多さがゆえに『犬死に娘』とまで呼ばれるようになってしまった言わば『落ちこぼれ』である。 「そもそも国立第二広場周辺(この辺)の治安、そこまで悪くないと思うんだが…………何故に?」 「あ……それはですね署長…………」  言えない。  階段の上から落ちたのもあるとかマジで言えない。 「…………はあ………」  署長が短めの溜め息を吐いた。 「もういい……………………とりあえず『』開け」 ………… 「は、はい?」 「いいから開けっ!」 「は、はいっ!」   ――『ステータス』  この世界にはそんな概念が存在する。  自己の子鏡、魂の板、個体値表記盤……………  国や地域、宗教等によっては色々な呼ばれかたをするこの概念。  出そうと心の中で思うと、半透明な板が目の前に現れる。そこには『レベル』『生命値』『魔力値』『スキル』の四つが表記されており、レベルが上がると他も上がったり増えたりする。  なお、それらに関する学問――『表記概念学』なんかもあったりする。    フリーは、ステータスを開く。 レベル 20 生命値 120 魔力 40 スキル 『不死の加護システム対象者』 『鑑定』 とあった。 「開いたならば、スキル欄にあるはずの『不死の加護システム対象者』をよ~く見ろ。ちゃんと凝視しろ。」  フリーは言われた通りに凝視する。 「そして思い出せ。自分の百回分の死因と原因をな」  自分の金髪――昔は黄金だの蜂蜜みたいだのと呼ばれていたが今ではくすんだ色らしい――の少し長めの前髪の先を指でクルクルと(いじ)りながら、少しずつ思い出してみる。 (えっと、強盗による刺殺、池で溺死、階段で落下、頭を角にぶつける、酔っぱらい魔術師達のいざこざで焼かれて…………あと何だっけ?)  死因がバリエーション豊富過ぎて、分からない部分がほとんどである。 「君な、明かに思ってるだろ」  署長は、相変わらず頬杖をつきつつ、突然そんなことを言い出した。 「そ、そんなわけじゃ…………!」 「フリードニーニ君。この国の死者と者が大体一年間にどのくらい出るかどのくらいかわかるかい?」 「……死者がゼロ人消失者が約百五十人程です」 「そうだ」  署長は頬杖をつくのを辞め、体勢を立て直した。 「君も頭がイカれていなければもちろん分かっていると思うが、我々は基本的に寿命までは……いや、存在だ。しかし、昔々の先人の一部はそれを『奇跡』だの『祝福』だのと言って追い求めていた。…………少なくとも魔術等による肉体改造するほどな」 「…………」 「それらの事を少しは考えて行動しろ…………………わかったか?」 「……はい、気をつけます」 「なら、よろしい…………と…………君に悪い知らせと良い知らせがある」 「ほぇ?」  いきなり過ぎて思わず『ほぇ?』と口に出してしまった。 「し、知らせ、とは?」 「これを読めば分かる」  ピラリ、と一枚の紙をデスクの棚から出すと、その紙をフリーに見えやすいように置いた。 「これは……………………え?」  紙……いや命令書の内容を見て、フリーは驚愕した。 「悪い知らせは『良い知らせを辞退したら確実にクビ確定』良い知らせは……おめでとう。『君の所持スキル『鑑定』の有用性を買われた事によって特殊殺人事件対処・制圧チームへの配属決定』だ、喜べ」 ――目眩がしてきた……        
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