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第10話「礼儀」

 一夜明け、メイルとダイは街にある広場に来ていた。ダイ曰く、「集中出来るから」だそう。 「朝は苦手かい?」 「うるさいぞ!」 「それが“師匠”に対する態度かな」 「……ちっ。少しくらい(コア)を知っているから何だと言うんだ。すぐに僕も追いついてやる」 「やる気はあるみたいだね。まずは走れ。小走りでゆっくりに。全速力で走るとバテるから」 「ふざけるな! 僕に指図をするんじゃない!」 「指図、て。俺はお前に(コア)を教えてやるってんだぞ。随分と無茶な注文をつけてくれちゃって」 「(コア)の習得の仕方を訊いているんだ。君の指図を受ける気など毛頭ない!」  メイルの勝手気ままで傲慢な態度に、フレンドリーに接していたダイは流石に耐えきれず詰め寄った。  ダイの気迫に、流石のメイルも動揺する。 「な、なんだ!?」 「ワレ、調子(チョーシ)ぶっこいてんじゃねえ」  ギリッとメイルを睨むその目は、さっきまでの態度とはかけ離れていた。目はキリッと吊り上がり、表情も真剣そのものだ。 「人に教えを乞うやつが、偉そうな態度で構えてんじゃねえ。 歳が近かろうが遠かろうが、物事には順序ってのがあんだ。 俺にそんな態度を取りたいんなら、まずは相応しい実力を示しやがれ!!」 「そ、そこまで怒鳴る必要などないはずだ」 「俺は、これからのために怒鳴ってんだ。そういう態度を取り続けていれば、いつか自分に返ってくる。今のうちに他人との態度を改めなければ、ワレは一生苦しむことになる。手遅れになる前に、俺で態度を改めてみることだな」  メイルとダイは同い年。そんなことを忘れさせるほどの言葉をダイは放った。 「なんとか言ったらどうなんだ。ワレの修業にも関わることだ」 「……僕には負けられないやつがいる。能天気で考えなし、向こう見ずな奴が。あんな奴に負けるわけにはいかない。負けたくない。僕のプライドが気に食わないのなら構わない。だけど、それが僕だ!」 「なんだ、いるんじゃないか……友達が」  ダイの口調が柔らかくなる。メイルの正直な気持ちを聞けたのが嬉しかったのだろう。  メイルも気持ちを吐き出したからか、表情がスッキリしていた。 「その“負けたくない奴”に負けないために、俺の言うことを聞いてくれるか?」 「いいだろう。僕も男だ。やると決めた以上、そのためなら自分を変えてやる」 「良い返答だ。早速走ってこい」 「ふん。よかろう」  順調に進むかと思われた修行だったが、思わぬ乱入者によって中断してしまう。左目を閉じた少年が、冷たい視線を向けてくる。。 「何だ? お前」 「オレの勝手だ」  左目を閉じた少年は、アクロバティックな動きで去っていく。ダイは、そんな少年に対して危機感を覚えた。 「誰なんだ今の。知り合いなのか?」 「いや、俺の知り合いにはいないね。ああいうの」 (この胸騒ぎは何だ? 嫌な予感がする)
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