10 / 130
第10話「礼儀」
一夜明け、メイルとダイは街にある広場に来ていた。ダイ曰く、「集中出来るから」だそう。
「朝は苦手かい?」
「うるさいぞ!」
「それが“師匠”に対する態度かな」
「……ちっ。少しくらい核 を知っているから何だと言うんだ。すぐに僕も追いついてやる」
「やる気はあるみたいだね。まずは走れ。小走りでゆっくりに。全速力で走るとバテるから」
「ふざけるな! 僕に指図をするんじゃない!」
「指図、て。俺はお前に核 を教えてやるってんだぞ。随分と無茶な注文をつけてくれちゃって」
「核 の習得の仕方を訊いているんだ。君の指図を受ける気など毛頭ない!」
メイルの勝手気ままで傲慢な態度に、フレンドリーに接していたダイは流石に耐えきれず詰め寄った。
ダイの気迫に、流石のメイルも動揺する。
「な、なんだ!?」
「ワレ、調子 ぶっこいてんじゃねえ」
ギリッとメイルを睨むその目は、さっきまでの態度とはかけ離れていた。目はキリッと吊り上がり、表情も真剣そのものだ。
「人に教えを乞うやつが、偉そうな態度で構えてんじゃねえ。 歳が近かろうが遠かろうが、物事には順序ってのがあんだ。 俺にそんな態度を取りたいんなら、まずは相応しい実力を示しやがれ!!」
「そ、そこまで怒鳴る必要などないはずだ」
「俺は、これからのために怒鳴ってんだ。そういう態度を取り続けていれば、いつか自分に返ってくる。今のうちに他人との態度を改めなければ、ワレは一生苦しむことになる。手遅れになる前に、俺で態度を改めてみることだな」
メイルとダイは同い年。そんなことを忘れさせるほどの言葉をダイは放った。
「なんとか言ったらどうなんだ。ワレの修業にも関わることだ」
「……僕には負けられないやつがいる。能天気で考えなし、向こう見ずな奴が。あんな奴に負けるわけにはいかない。負けたくない。僕のプライドが気に食わないのなら構わない。だけど、それが僕だ!」
「なんだ、いるんじゃないか……友達が」
ダイの口調が柔らかくなる。メイルの正直な気持ちを聞けたのが嬉しかったのだろう。
メイルも気持ちを吐き出したからか、表情がスッキリしていた。
「その“負けたくない奴”に負けないために、俺の言うことを聞いてくれるか?」
「いいだろう。僕も男だ。やると決めた以上、そのためなら自分を変えてやる」
「良い返答だ。早速走ってこい」
「ふん。よかろう」
順調に進むかと思われた修行だったが、思わぬ乱入者によって中断してしまう。左目を閉じた少年が、冷たい視線を向けてくる。。
「何だ? お前」
「オレの勝手だ」
左目を閉じた少年は、アクロバティックな動きで去っていく。ダイは、そんな少年に対して危機感を覚えた。
「誰なんだ今の。知り合いなのか?」
「いや、俺の知り合いにはいないね。ああいうの」
(この胸騒ぎは何だ? 嫌な予感がする)
良い
エロい
萌えた
泣ける
ハラハラ
アツい
ともだちとシェアしよう!