8 / 130

第8話「師事」

 ティタを乗せた馬車は、無事に街へと着いていた。  老人はティタを宿屋に寝かせ、椅子に腰かけている。 「おや」 「あの~。私、寝ちゃったんですか? だとしたらごめんなさい」  ティタは起きてくるなり詫びをする。老人は大丈夫だと反応して立ち上がった。 「お嬢ちゃん、コーヒーは飲めるかね?」 「甘いのなら」 「甘いのだね。承ったよ、座っていなさい」  老人の、人の心を和ませるような声にティタは安心感を覚えた。言葉に甘え椅子に座ると、コーヒーの香りが部屋に漂いリラックスする。 「オジサン、毎日コーヒーを飲むの?」 「こんな老いぼれの唯一の楽しみだ。毎朝、コーヒーの香りを鼻で楽しみ、苦味とコクを舌で楽しむ」 「何かいいですね、そういうの」 「まあ、大目に見てくれ」  老人はティタにコーヒーを差し出すと椅子に座る。向かい合う老人と少女。端から見れば祖父と孫だろう。  ティタは、差し出されたコーヒーをゆっくり飲み始める。ゆっくりと目を閉じてコーヒーを楽しむ。 「ところでお嬢ちゃん、実は話があるのだ」 「何ですか?」 「お嬢ちゃんは、(コア)というのを知っておるかな?」 「いえ、初めて聞きました。その……(コア)って何ですか?」 「むー。簡単に言えば、人に眠っている力かの。その力を(コア)と言うんじゃ」 「……それと私に何の関係が?」 「お嬢ちゃんはまだ若い。(コア)を目覚めさせるには適したな年齢だ。お嬢ちゃんには可能性が眠っている。ワシはそう思うのだ」 「オジサン、何者なの?」 「ショウという名のの老人だよ」 「ショウさん。私にどんな可能性が?」 「それは分からないの。(コア)が目覚めないことには何とも言えんのだ」 「そうなんだ」  ティタは考える。自分にショウが言うような力が眠っているのなら、是非とも目覚めさせたいと。しかし、本当にそんな力が自分に眠っているのかという疑問も湧いた。 「ワシは、人に物事を教えるのは得意でな。お嬢ちゃんが望むのなら、ワシが手助けをしてあげれるが」 「私、出来るのかな?」 「お嬢ちゃん次第だの」  全ては自分次第。それを聞いたティタには、一つの答えが出ていた。 「ショウさん。私、やります。やってみたいの! 今の自分に鞭を打ってでもできることがあるのなら」 「そうか。分かったよ。お嬢ちゃんの熱意にワシも応えようではないか」 「よろしくお願いします!」  ティタは頭を下げる。今まで人に頭を下げたことはなかった。けれど、そうまでしてでも試してみたかったのだ。ティタの瞳に一筋の光が差したのである。
良い
エロい
萌えた
泣ける
ハラハラ
アツい

ともだちとシェアしよう!