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第5話「ライバル!?」
ウルとティタと別れてから、メイルは颯爽と森を駆けていた。いや、そうせざるを得ないのだ。
(しつこい! いつまで追ってくるつもりだ。森に入ってからというもの……!)
メイルは振り返り止まる。人の姿は見当たらない。
「いったい誰だ! 僕に用があるなら出てこい!」
メイルは再び走りだす。森を抜けると、太陽の日差しが眩しく感じたのか、メイルは手で顔を覆う。
「……そろそろいいだろう。さあ、姿を見せるんだ!」
メイルが言うと、一人の少年が現れた。
しっかりと準備が整っているところから、この少年は最初からメイル狙いだということが分かった。
「僕に何の用だ。随分な執念だが」
「自分のライバルを忘れるとは、相変わらずの余裕ちゃんだ。俺のことも覚えてないのか」
「さあな。君みたいなやつ、僕は知らないし興味もない。一方的なライバル意識はやめてもらいたい」
「一方的!? 俺の勝手な片想いだと言いたいのか!」
「自覚してるのなら話は早い。僕は、君に興味も関心もない」
「待て! まだ話は終わってない」
「僕の話は終わったぞ」
メイルは呆れた様子で走っていく。
少年も諦めた様子はなく、相変わらず付いてくる。
「まったく、面倒な奴だ。勝手にしろ」
「当たり前だ。ライバルを目の前にして逃げる奴を見逃すわけにはいかない」
メイルと少年は一定の距離を保ちながら、小さな広場へとやってきた。そこから街が見える。メイルは呼吸を整えた。
「よし、街までもう少しだ」
メイルは走りだす。人との遭遇はなく、静かな道を辿るだけ。街との距離が縮むたびに街の賑わいが聞こえてくる。その賑わいに交わるべく、メイルは足を止めることはしなかった。呼吸は荒くなっても、心臓の鼓動が速まっても。そうしてメイルは街へと到着した。祭りでもあるかのような賑わいをみせる街中へ。
「僕に付いてくるのなら、僕の邪魔はしないでくれ。僕は、君の事を関知しない。どうなっても知らない。じゃあな」
「待て、我がライバルよ。俺の名前はダイ!」
「ふん」
メイルは素知らぬ顔で街中へと溶けていった。
ダイも負けじと溶けていく。無視をされ続けながら。
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