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第48話「重いひと振り」

核師(コアマスター)が二人がかりとなれば、オレも加減せん!」  ギルの背後に無数の穴が現れる。穴へと入っていったギルは、ウルとメイルの背後に出現した穴から剣を用いて攻撃を仕掛けてきた。  間一髪避けた二人だったが、次々に出現する穴から現れる刃の雨に苦戦する。 「こんなのありかって」 「殺しに反則も何もないだろう!」 「もっともっと苦戦しな! 防げてる時点で、それを苦戦とは言わないんだ」 「冗談だ。そんな簡単に殺されちゃあ堪らんぞ」  メイルの左目が光る。出現させた穴から短剣を一本取り出すと、別に出現させた穴に放り込んだ。ギルの背後に現れた穴からメイルの短剣が勢いよく飛び出す。ギルに刺さった短剣だったが、その瞬間、短剣は消滅してしまう。 「そこまで瞳術を使いこなせているとはな。流石のオレもヒヤヒヤした」 「確かに刺さったはずだが!?」 「ああ、確かに刺さった。オレの分身に」 「分身だと!」  ギルの姿は消えていく。まるで蜃気楼のように。ギル本体を捜すメイル。次の瞬間、刃の雨と共にギルが降って現れた。その手には槍が握られている。 「面倒な奴だ!」  メイルも穴を出現させて中へと入っていく。次々と穴を呼び出しては掻い潜っていく。あっという間に、ギルとの間合いを詰める。 「穴を使ってのワープ……。その領域まで来たか」 「貴様の真似をしたまでだ。シャクだがな」  穴から穴へ……。ワープを互いにしながら刃を交えるメイルとギル。空中で行われる戦いを地上から見上げるウルは、苛立ちを覚え地団駄を踏んでいた。 「俺もワープできりゃあな」 「ウル君」 「少尉」 「いくらなんでも彼だけでは無謀よ。ウル君も加勢しないと」 「そうしたいのは山々なんだけど、生憎その(すべ)がなくて」 「ねえ、ウル君の炎は撃てないの?」 「撃つ?」 「炎を纏えるなら、その炎を撃つことも可能じゃないかって思ったのだけれど」  キリナからの何気ない助言。その助言が、ウルを地団駄から抜けさせるきっかけを与えた。纏った炎を一点に集中させ、上空にいるギルに狙いを定める。 (届くのか……? 届いたとして当たるのか? あー! 試す前から何を考えちまってるって!) 「ウル君。ギルの気配を感じれるんでしょう? だったら、自信を持って。……殺さないでね」 (そうだ。俺はギルを感じられる。メイルがギルを引きつけている今、これが最大のチャンス!) 「いけぇー!」  勢いよく放たれた炎が、ギルを目掛けて飛んでいく。しかし、炎はギルを掠めて見えなくなった。ギル自身に焦りの色が見えるものの、ダメージを与えた形跡はなかった。 「ふはは! 今のはなんだ! 投球練習のつもりか!」 「……アイツはワープできない。それに腹を立てたんだろう」 「くだらんことだ」 「……当たらなければ、な……」  ギルの背後を炎が焦がす。あまりの熱さに地上へと落下していく。焦げた背中を地面に擦りつけながらウルを激しく睨んでいる。 「メイルのワープが役に立ったって」 「バカ、な……奴等だ」 「なんだと?」 「オレを焼きつかせなかったことを後悔しろ」  ウルを穴が囲む。その穴から無数の刃が飛んできた。ウルは咄嗟に目を閉じる。しかし、痛みも何も感じなかった。ウルは恐る恐る目を開ける。 「で、でしゃばり猿真似の分際で」 「……黙れ……」  ウルを庇い、メイルが攻撃を受けた。自身の穴でやり過ごしたつもりだったが、一本の刃が左腕を貫いていた。 「メイル! どうして庇った!?」 「訊くのは野暮だぞ……痛っ!」 「オレの刃には毒が付いている。このままだと、その左腕は壊死する」 「……っ!」 「メイル!」 「し、仕方あるまい……。ウル、僕の左腕を……」 「え?」  ウルは耳を疑った。目の前の友人が放った言葉を飲み込めなかった。ウルは拒絶した。が、メイルの決意は堅かった。メイルの背中の剣を引き抜く。その研かれた刃なら、何でも斬れそうだと思えてしまう。だからこそ、ウルの両手は震えていた。 「僕の左腕を……斬れ! 全身に毒が回るよりはマシだ」 「俺は……できない!」 「躊躇うな。僕を斬るチャンスだぞ。早くするんだ!」 「俺はっ!」 「君にだから頼めるんだぞ。……親友」 「うわあああぁー!!」  横に真っ直ぐ伸ばされた左腕。ウルが剣を振り下ろし、二の腕から先が斬り落とされた。肩から二の腕が残った左腕を見たメイルは、痛みと悲しみを味わった。
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