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第38話「告白」

「さて。メル、これからどうしたい?」 「ボクは、メイルとなら何でも大丈夫なのだよ」 「そうか……じゃあ」  メイルにはある目的ができていた。丸腰ではメルを守れない。そのため、護身用の武器を探していた。鍛冶屋がある街に行けば、求めている武器と出会えるかもしれない。メルさえよければ行きたいと思っていたのである。 「どこでもいいんだよな?」 「メイルの行きたいところなら」 「すまない。少しワガママに付き合ってもらう」  メイルがメルの歩幅に合わせて歩く。そもそもメイルが武器を欲したのには理由があった。 ※ ※ ※  遡ること二ヶ月前。メイルとメルとでの旅を再開して暫くのこと……。 「なんなんだ、お前たちは」 「銀髪のガキ。さては潜りだな。オイラたちを知らないとはよ」 「リバルナ盗賊を知らないっぺ?」  上半身裸の男たちが棍棒を持って、小さな街を襲っていた。偶然居合わせたメイルだったが、この時はまだ瞳術を上手く使いこなせてはいなかった。 「盗賊? 僕は生憎、盗賊なんかに興味なくてね。興味がないから関心を持てない。リバルナ? まったく知らないぞ」 「知らなくて正解だったな。オイラたちの恐ろしさを思い知らせてやる」  街を襲っていた盗賊達が一斉に駆け寄ってきた。自分達の邪魔をしたメイルのことが気に食わないらしい。取り囲まれるメイル。このときもメイルは丸腰だった。 「「ヤー!」」  振り下ろされる棍棒。丸腰のメイルにはそれを防ぐ手段はなかった。一通りに殴り終えた盗賊は、盗んだ金品を手に街を出ていく。道端に倒れるメイル。なんとか街の人たちの手当てを受けて事なきを得たが、メイルの気はまったく晴れなかった。 「僕……何にもできずに……」 「キミのお陰で命は助かったんだ。感謝しているよ。ありがとう」  お礼を言われて悪い気はしなかったが、やはり素直には受け入れられなかった。今度また盗賊に襲われたとき、どうやって対処すればいいのか……メイルの思考はそれでいっぱいだった。 「メイル!?」  街の人から知らせを受けたメルが駆けてきた。街に買い物へ出ていたため、メイルとは別行動だった。 「メル……って、何で泣いている!? 大したことにはならなかった。安心しろ」 「できるわけない! メイルにもしものことがあったら……ボクは……!」 「すまん。もう泣かないでくれ」  優しくメルの頭を撫でながらメイルは心に決めていた。今度盗賊に会ったとき、もう負けないために強くなろうと。メルを悲しませないためにも、左目と戦うためにも、と。 ※ ※ ※ 「メイル。ボクに無理して合わせる必要なんかないのだよ。メイルのペースで歩きなよ」 「並んで歩くのは嫌か」 「違うのだよ。ボクは、メイルに無理をしてほしくないだけなのだよ」 「無理なんかしてないぞ。僕は僕のペースで歩いている。それに……」 「それに?」 「……こういうのも悪くない」  メルの横にいることが、いつの間にか当たり前になっていた。そして、そのことを素直に受け入れている自分がいる。メイルの心境に変化があった。 「メル」 「うん? どうしたのだよ、改まって」 「僕は、その……君のことが……」  歩みを止めて向かい合う。メイル自身、自分で何をしているのか分からないでいた。ただ、言わなければ前に進めないという“なんとなく”がそうさせていた。 「メイル?」 「……君のことが好きだ!」  メルの目が点になる。言葉の意味は理解できるが、言葉の真意が分からないでいた。身体中が熱くなる。メイルに真意を訊こうと口を開く。だがしかし、声が出てこない。混乱の果て、メイルの胸に飛び込んだ。 「「…………」」  二人の間に続く沈黙。暫くしてようやくメルが顔を上げた。目を真っ赤にしている。メイルはビックリするが、メルはそのまま背伸びをした。ビックリしていたメイルの目がさらに大きく見開いた。 「ボクだって、メイルのことが大好きなのだよ!」  ぎゅっと手を繋いだ二人。同じ歩幅で歩く二人は、見えない糸で無事に繋がれたのだ。メイルは願った――大切な人を守るために、強くありたい、と。
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