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第35話「できることを」
「キリナさん、これからどうしたら!?」
「『もしものときは頼む』と言われたけど、核師 同士の戦いに混ざるのは抵抗あるわね。銃でどうこうという次元ではなさそうだし」
物陰から様子を窺うキリナとティタだが、核師 同士の激しい戦いを前に、なかなか手を出すことができずにいた。キリナは銃を構える。照準をギルに合わせるが、素早い動きに対応できない。
「こんなとき、自分にも核 が使えたらと思ってしまうわ。銃を持つ自分が非力な立場に置かれるなんてね……。情けないわよ」
「キリナさんは充分凄いですよ! 銃だって脅威なんですから」
「当たればね。当たらなければ“重り”よ」
「核師 だって、役に立たなければ“ただの人”です。人間、適材適所なんですよ」
ティタも痛感していた。同じ核師 でありながら、三人の戦いに付いていける自信がなく、恐怖で足が震えていることに。
「ティタちゃんは強いわね。ワタシの妹と同い年なのに、とてもしっかりしているもの」
「えぇ!? キリナさん、妹がいるんですか」
「今頃どこで何をしているのか。精進の儀だっていうのにあの子、ピクニック気分で浮かれていたらしいから」
「らしい?」
「四年は会っていないから。軍に入ってからは会えていないの。連絡を取ってはいるけれど、それも父親経由だし」
「会いたくないんですか?」
「もちろん会いたいわよ。けれど会ってしまうと離れたくなくなってしまいそうで。まあ、ワタシよりも大変なのは父親でしょうね」
「子離れですか?」
「ワタシが軍に入るのも反対されたの。家を出なければならなかったから、なんだけどね。だからきっと、あの子が旅立つときは大変だったはずよ。もしかしたら、付きまとっているのかも」
「それは大変そうです。どこかで会えるかもしれない。そう思ったらこんなところでウジウジなんかしてられない!」
ティタは路地の壁から槍を生成すると、勢いよくそれを放り投げた。放られた槍は地面に向かって落下していく。ウルの視界に槍は現れ、ギルとのあいだに突き刺さる。
「ウル、それを使って! ギルの武器に引けを取らないはずだよ」
突き刺さった槍がウルの手に渡る。ウルの炎を纏った槍は真っ赤に色を変えた。
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