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第33話「寝る子」

「グーグー……」 「やれやれ。全く緊張感がないな。軍と行動を共にしているというのに。列車に乗ればいつもこうなのかい?」 「はい。気づくと寝ちゃってるんですよ、私が話しかけたとしても会話にならないんです」 「罪な男だ。女の子に話しかけられているというのに。そんなんじゃ彼女、君の側から離れてしまうぞ?」 「どういう意味で?」 「彼は君に依存しているように見える。いつまでも一緒にいられるわけではないのにね」 「ライドさん?」 「君も彼に頼られているのを受け入れている。だが、いつまでもそういうわけにはいかないだろう?」 「それはどうかな……分からないかも、です」 「ふっ、罪な男だよ」  ライドの言葉に頬を染めて返答するティタ。  ティタは本を開いた状態でありながら、時折ウルを気にしている。そんなこともウルは気づいていない。  ティタの隣で黙って話を聞いていたキリナは、窓からの景色に細心の注意を払っていた。一応、軍の任務中なのだから当然ではあるが、ライドはそんな状況の彼女に苦笑していた。 「大尉?」 「熱心なのはいいが、万が一に見つけたとしても降りられないではないかね?」 「銃は撃てますよ」 「物騒なことだ。これは私も用心だ」 「大尉、からかわないでください。ワタシは真剣なんですから」 「ああ、頼むよ」  たまには肩の力を抜いても構わないと思っているライドだったが、キリナの真摯な姿勢に言い出せないでいた。もちろん、ライドも注意を怠っているわけではない。軽口を叩いてはいるが、その目はきちんと視野を広げていた。線路を封じていた羊の群れとはぐれていた一匹を見つけると、車掌に事情を話して対処をしてもらった。そんなライドの姿を見ていたティタは素直に感心する。 「やっぱり、ライドさんって凄いんですね。抜け目がないというか。キリナさんが付いていくのも頷けますよ」 「そうね。キチンと仕事をこなしてくれるから、部下としても安心してるわ。まあ、ときどき抜けていることがあるから、そのときはワタシがフォローしなきゃだけどね」 「これこれ二人共。私をそんなに褒めても何もでないが」 「別に何も見返りなんて期待してません。それより大尉、そろそろ着くみたいです」 「……そうか」  さっきまでの軽妙な口調がキリッと変わる。最近、連続殺傷事件があったという街へと到着したのだ。ギルへの手掛かりを少しでも得られればと出向いた。 「風車の街――ルワン。評判通りの気持ちのいい風だ」 「行きましょう大尉。事件現場へ」 「ウル、起きるの!」 「……おぉ!?」  ウルはティタにひっぱたかれた。
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