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第31話「核への道」
「さて。核 を使いたいんだったね。で、その使い道は、『倒したい奴がいる』……と。その人物は指名手配犯のギル。やれやれ、若いとは素晴らしい。実に無謀」
「ああそうだって! だから教えてほしい」
「んー。君の力の使い道は歓迎できない。正義感だけで突っ込んでいい問題じゃない。分かるかい」
「分かってるって! 分かってるけど、そういう問題じゃないんだ。ギルに……知り合いを殺されてんだ……だから!」
「復讐、かい? それほど危険な動機はない。相手は殺しをしているんだ。子供の君なら尚更だよ」
「人をどうこうってわけじゃねえ。一発ギルを殴らなきゃ気が済まない!」
ウルの真剣な目を逸らすことをせず、かといって受け入れることもしない。ライドもまた、そう簡単に子供を危険に近付けたくはないのだ。
「大尉。ウル君に核 を教えるくらいはいいのでは? 核師 そのものは害ではありません」
「だが少尉。復讐より怖い心は無い。一歩間違えれば己の道を踏み外すことにもなる」
「そうです。だからこそワタシたちがきちんと正してあげなければならないのでしょう?」
キリナは、ウルの意見に反対するもなく、ライドの意見を否定するでもなく、あくまでも中立の立場で言い放つ。ウルの目線に合うように腰を落とすと、ウルの頬を指で小突いて微笑む。キリナの、意表を突いた行動にウルは堪らずうつ向いた。
「こういう事に照れてしまうあたり、まだまだ初 な男の子。だからこそ、今のうちなんです」
「君ははっきりものを言ってくれる。そう言われては仕方あるまい。ウル君、核 の方は協力しよう。が、ギルの事については軍に任せるんだ」
「……飲んだ……て」
言葉を振り絞るように返事をした。ウルの拳に力が入る。自分が未熟なことを悔やんでいると同時に、ギルに対しての怒りが溢れ出ていた。
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