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第26話「月の不穏」

 夜のリリッシュ。メイルは、メルに頼まれて街のスーパーに来ていた。 「何故、僕が買い物に行かなければならないんだ。人使いが荒いやつだ」  文句を言いつつ、その両手にはしっかりと買い物袋を提げている。メルが待つ宿へと足を急ぐ。 「今日は、やけに月が明るいな。月明かりは見ていて落ち着くが、妙な胸騒ぎがするもんだ」  夜空の風に身体を冷やしながら、メイルは宿に到着した。出迎えたメルが、おもいきりメイルに抱きついた。  抱きつかれたメイルの顔が赤くなる。 「ははは! お帰りなのだよ、メイル。お風呂にする? ご飯にする? そ・れ・と・も……?」  人差し指を目前に持っていきニッコリするメル。  その様子を見たメイルは買い物袋を渡すと、さっさとシャワーを浴びにいった。 「つまんないのだ。ボクは本気だったのだよ?」  買い物袋を渡されたメルは、そのまま部屋へと向かった。 ※ ※ ※ 「!?」  左目に激痛が走る。視界がぼやける。当たる水流がウザったくなってくる。メイルの呼吸が荒くなる。 「これが瞳術の――っ!?」 ※ ※ ※ 「もうちょっとなのに」  メイルに頼んでいた物を見つめるメル。その目は眩しく輝いている。鼻歌を歌いながら、ひとつひとつを手に取っていく。 「いただきますなのだよ」  ひとつひとつ口に運んでいく。メルは今、クッキーとビスケットに舌鼓を打っている。 「メイルも遠慮せずに食べればいいのに。早くしないと、ボク一人で食べちゃうのだよ」  メルの食べる音が鼻歌と共に部屋に響いていた。  そんな部屋を外から監視する者がいた。それにはメルも、メイルも気づいていない。 「……メル」  男の声が夜空に溶けていく。
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