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第25話「才能」
金色長髪を一本に束ねて歩く女性。その容姿とは不釣り合いな軍服に身を包み、日課の射撃に精を出していた。
「毎日毎日ご苦労な。銃と運命共同する気?」
「バカ言わないでちょうだい。あくまで訓練よ」
「たまには的 ばかりじゃなくてさあ。ちゃんと男も狙いなさいね。素材いいんだしさあ」
「物騒じゃなくなったら考えるわ」
「いつの話?」
「……いつか、よ……」
女性の銃は正確に的を撃ち抜いた。
射的場に銃声が轟いている。この世が平和ならば、この銃声を聴く必要もないのだが。
「キリナ曹長。中尉がお呼びです」
「あら、わざわざお迎えに? ご鞭撻どうもありがとう」
※ ※ ※
「おめでとう、キリナ少尉。正式に私の隊に加わった」
「曹長から少尉ですか。さらに中尉の隊に編入と」
「不満かい」
「そうじゃないです。しかしながら何故、今なんですか?」
「今朝報告に上がった殺人の件でね。君の力が必要になったんだ。私の昇進を利用したまでだよ」
「大尉……ですか」
「文句はあとで聞いてやる。私と共に来てくれるかい?」
「お供します! ライド大尉」
「いい返事だ。よろしく頼むよ、キリナ少尉」
国軍大尉――ライド。彼の所持する書類には何人もの指名手配犯の情報が記されている。その書類の中にギルの情報も記されていた。
「このギルという少年。ここ一年で派手に殺っているようだ。子どもとはいえ核師 だ。侮ってはならん」
「核師 、ですか。ワタシにはまったく才能はありませんでした」
「君には、それを補って余りある才能があるではないか」
ライドは、キリナの腰に納められている銃を見て諭す。決してそれが負けではないからだ。
「そうですね。上司の背中くらいは守ってあげてみせます」
こうしてキリナの、少尉としての戦いが幕を開けた。ティタから、憧れの眼差しを向けられてるとも知らず。
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