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第24話「名乗り」

「出てこいよ! コソコソと気持ち悪い」  ウルが大声を出す。それでも人が現れる様子はない。ウルは落ち着かず右往左往しながら呼びかける。そんなことを続けること数十分。叫びすぎたウルは息切れを起こしていた。 「気のせいだったんじゃない? そうよ、気のせいだよ」 「俺の第六感が疼くんだって」 「そんなアテにならないのを信じろと?」 「絶対に……絶対にいる」  ウルは勘を信じてその場を離れない。  ティタはウルの勘を信じてはいなかったものの、ウルから離れるのも嫌だったため、ひたすら一緒に待った。 「……執拗なやつらだ……目障りで仕方ない」 「「!!」」  二人の目の前に左目が姿を現した。その左目を見開き、ウルとティタを見る姿はまるで、この世の理を拒絶しているかのようだ。 「希望通り現れてやった。用件は何だ?」 「決まってんだろ! ショウを殺した事だ!」 「……オレが殺ったと言いたいのか……」 「違うとは言わせないって!」  ウルは左目を睨む。今にも飛び出しそうな体勢でいる。 「ウル駄目よ。今は堪えて」 「悔しいが、今の俺にテメエをどうこうなんかできねえ。けどな、今に見てろって! 絶対にテメエよりも強くなってやる。そんでもってショウの仇を討ってやる!」 「私もよ! 私だってショウさんの仇を討つよ! アンタを絶対に許さないよ!」 「仲よく吠え面か。そうかいいだろう。オレの手で殺してやる。その日を待っている」 「待てって! テメエ、名前は何だ」 「仇に名を訊くとは……ギルだ。待っている」  ギルは名乗ると、すぐにその場を離れていった。  ウルは何度も何度も「ギル」と復唱する。 「ティタ。俺、強くなれるか?」 「前向きなのが取り柄のアンタが、後ろ向きになってどうするよ。大丈夫。アンタは強くなれるよ」 「根拠でもあるのか」 「私の第六感よ」 「あはは。一杯食わされたって」  緊張の糸が(ほぐ)れ、二人に笑顔が戻った。その後、二人はロイズの探索を再び始めた。
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