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第23話「気配」
フウマとライによる騒動から一時間後。ウルとティタは、軍の指示に従い場所を移していた。
「犯人は子ども。解決したのも子ども。大人の出る幕はなかったようね。キミたちの希望は叶えたわ。ワタシはそろそろ行きます」
軍服に身を包む女性。金色の長髪を一本に纏めて垂らしている。軍人とはいえ、オシャレには気を遣っているのだろう。ピアスをさりげなくしている。
「お陰で助かりました。ありがとうございます」
「ご丁寧にありがとう。キミたちは強いわね。お姉さん、尊敬しちゃうわ」
「ティタ、です。私の名前」
「そう。覚えておくわ」
女性は立ち上がると、一礼をして去っていく。
その後ろ姿がティタには輝いて見えていた。
「車で連れてってもらえるとは思わなかったって」
「綺麗な人だったよ」
「あんな人でも軍人やってんだな」
「軍が国を動かせるからじゃない? もっといい国にしたいとか」
「軍に籍を置くってことは、常に危険と隣り合わせってことなんだぜ? 余程強い心がないと務まらないって」
「ああ――!?」
「んだよ!?」
「あの人の名前を訊くの、忘れてたよ!」
「また会えるだろ、多分。大なり小なり物騒なんだからな」
「落ち着いて話をしたいよ」
ウットリしつつ頬杖をついて目を輝かせるティタ。
そんなティタを見ながら、ウルはジュースのストローを啜っていた。
※ ※ ※
一息ついた二人はロイズを探索していた。高層ビルや高級デパートなどが建ち並んでいる。
「わあ」
あちこちを見回すティタ。
ウルは興味がないのか、さして立ち止まることはなく漠然と街中を歩いている。
「ウル、もうちょっと楽しもうよ!」
「つまんないって。俺、退屈でしょうがなくて」
「そんなにつまんない態度を取ってるとモテないよ」
「……別に構わないって……俺にモテ要素なんかないから」
「……人の気も知らないで……」
「うん?」
ティタとすれば小声で言ったつもりだったのだが、ウルには聞こえていたようだ。「なんだって?」と何度も訊かれる羽目になったが、ティタはどうにか誤魔化した。
そのあともティタより前をを歩いていくウル。しかし、その足を突然急がした。何がなんだか分からないティタも必死に追いかけていく。
「ちょっと。急に走らないでよ」
「悪い。野郎の気配がしたんでな」
「気配って……誰の気配がしたのよ?」
「決まってるだろ。左目だ」
「左目!?」
ウルとティタに緊張が走る。
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