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第20話「銀髪少年と金髪少女」

 ウルとティタと別れたメイルは、次なる街を目指して歩いていた。 「近いのはリリッシュか。リリッシュといえば、代表的なのは靴だと聞いている。だいぶ履き潰したのを履いてきたからな。そろそろ買い替えどきだ」  色が褪せ、紐が緩くなった靴を見ながら思う。メイル自身歩くのは好きなため、靴を履き替えることは一大事なのだ。 「小腹がすいた。ここで昼としよう」  拓けた道だが人通りは少なく、木の蔭で食べるにも不自由しないとあって、メイルは上機嫌でパンを食べていく。生きているから食事ができる。当たり前が幸せなんだと、メイルはパンと一緒に噛み締めていた。 (ウルとティタは上手くやっているのか)  離れていても友達で幼馴染。普段、口喧嘩が絶えなくても、やはり心配にはなってしまう。数時間前まで一緒だったにも拘わらず、すこし寂しさを覚えていた。 (僕は僕の行くべき場所に向かうまでさ)  パンを食べ終わり立ち上がるメイル。だが、自分の背後に迫る気配にいち早く気づき、素早く振り返り体勢を整える。 「声もかけず背後に近づくなんて大胆な。何者だ!」 「ひ、酷いのだよ! こんなにか弱い女の子を目の前にして!  ボク、泣いちゃうのだよ」 「何がか弱いだ。そんな派手な金髪のくせに、か弱いも何もあるものか」 「ひ、人を見た目で判断しちゃあ駄目なのだよ!」 「見た目に騙されて損など御免だ。君の正体が分からん以上、僕は警戒を解くつもりなどないぞ」  警戒する銀髪の少年と隙だらけの金髪の少女。近づかれては離れ、離れれば近づかれる。お互いに一歩も譲らないまま、時間だけが虚しく過ぎていく。 「今すぐ僕の視界から消えるんだ。言うことを聞かなければ敵と見なす」 「ぼ、ボクは敵じゃないのだよ!  困ったのだよ。どうしたら敵じゃないって信じてもらえるのだよ」 「さあな」 (まだ左目の違和感に慣れていないのに。ヘタに戦いになったら不利になるぞ) 「ボクの名前はメル。精進の儀で旅立って一週間でとても不安なのだよ。木陰で休めてるから、とても旅慣れしてるのと思って近づいたのだよ」 「そんな嘘を信じるとでも?」 「そ、そんなあ~!?」  メルの目に涙が浮かび流れていく。さらに、そのまま座り込んでしまった。うつ向いたまま地面に涙を落としていく。  メイルは、女の子を泣かせてしまったということに自己嫌悪に陥ってしまう。正当な理由なくして女の子を泣かせることはしないと誓っていたため、そんな自分に腹を立てる。 「泣くんじゃない!?」 「ボク……ボクわああああ」 ※ ※ ※ 「ごちそうさまなのだよ」 (女心と秋の空ってやつか。この僕が謝り倒すことになるとは)  おもいきり泣いたメルは、お腹がすいたことを訴え、メイルからパンを分けてもらっていた。 「ありがとうなのだよ。メイルが親切な人で助かったのだよ」 「そうか。機嫌が直ったのならそれでいい」  警戒心をいつの間にか解かされていたことにメイルは驚いていた。  メルは隣にちょこんと座り笑顔を見せる。 「メルとメイル……なんだか似てるのだよ」 「くだらん」 「金髪と銀髪で派手派手なのだよ」 「くだらん」 「メイル。ボクを一緒に連れてってほしいのだよ」 「なんだと!?」 「だめ?」  メイルの顔を覗き込むように上目遣いでお願いする姿は、猫が甘えてきているよう。  そんなことをティタにすらされたことのなかったメイルの顔が赤くなっていく。 「す、好きにしろっ!」 「うん。好きにするのだよ!」  自分の心臓が高鳴っているのをメイルは戸惑っていた。
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