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第18話「悲鳴」
「どっちから殴られるんだ? やっぱティタを泣かしたテメエからか?」
「このフウマ様の鼻を痛めつけておいた挙句、さらに殴るだと!? ふ、ふざけるなああ!」
「ふざけてんのはどっちだって。列車内での迷惑行為に無差別傷害。オマケにセクハラだ。シャレになってねえ」
「言ってろ。ライ、さっさと殺れ」
「そうそうそう! それを待っていたよ」
ライは硬貨から刃物を作り出して飛ばしていく。乗客の肩や足に刺さり、車内に悲鳴がこだまする。
「お遊びのつもりかって」
「本気の遊びだ。この列車を破壊するんだ」
フウマは、いくつもの爆弾を隠し持っていた。爆発すれば間違いなく列車は吹き飛ぶ。ウルはフウマとの距離を一定に保ちながら隙を窺う。
「フウマフウマフウマ、もう切っちゃっていい?」
「ああ。切り離せ」
ライが車両の連結部を破壊した。それにより、ウルたちの乗る車両だけが線路に取り残される。
「車両が切り離されているのを気づいたころには、この車両は燃えているだろう」
「列車を壊すのが目的なのか? 人を殺すのが目的なのか?」
「どっちもだ。全員一緒に死んでもらう」
高笑いするフウマの様子は、本当に遊び感覚で物事を楽しんでいるようだ。ウルの拳が軋りはじめる。
「アンタら、異常よ」
「精進の儀で、このフウマ様を野に放っちまったのが運の尽きだ。はっはっは」
「サイテーよ」
「最低で結構だ。やりたいことをやって死んでいく。それが理想なもんで」
「今すぐに、この爆弾を爆発させる。それで全てが終わる。全てだ……あははは!」
「このー! クソやろおお!!」
ウルの拳がフウマの顔面を歪ませる。気持ちのいい右ストレート。フウマの殴られようにビビるライ。殴られたフウマ本人は気を失い倒れた。
「降参しろって」
「誰が誰が誰が……降参なんかするか!」
にんまりと笑うライの目は少しも笑ってなどいなかった。フウマの側に座ると、爆弾を作り変えていく。
「何する気よ?」
「めんどくさいから、全部の爆弾を一つに纏めたんだ。これでいい」
「……正気……かって……」
「正気だよ? これでもう殴れないだろ」
爆弾を鎧に生成し、迷いなく身に纏ったライ。これにはウルも殴れずにいた。握りしめた拳を構えつつ、ウルはライとの距離を縮めていくが、いくら近づいても手が出せずウルはヤキモキしていた。
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