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第15話「悲しみの雨」
翌朝は雨だった。空も泣いているのだろうか。
少なくとも少年は泣いていた。突然の別れに理解が追いつかない。
「師匠おおおお――!!」
いくら泣いても、いくら叫んでも、呼ばれた者は戻らない。無言で横たわるショウには届かない。
「この方のご家族と連絡を取りたいのですが」
「師匠の家族とかは分からない。師匠、身寄りないって言ってたし」
「そうですか。ですがそうなりますと、こちらの方で処理を進めますが?」
「……はい……」
力ない言葉がダイから漏れる。涙で濡らした顔はうつ向いたままだ。
「待ってください。あの、ショウさんの直接の死因は何ですか?」
「背中から刺さった槍が心臓を貫いていたわ。それが死因ね」
「槍?」
ショウから引き抜かれた槍を見たティタは、その槍が普通のものでないことを見抜いた。
「ショウさんをよろしくお願いします。大切に弔ってあげたいんです」
「かしこまりました。君たちはどうする? 希望ならば護衛を付けるけれど」
「いい。自分の身は自分で守る。その代わり、犯人を取っ捕まえてくれよな」
「分かっております」
軍服に身を包んだ女性は敬礼をしてみせた。
「行こう。俺達は邪魔だ」
※ ※ ※
「クッソー!! してやられたって!!」
「そんなに壁を殴ってもしょうがないぞ」
「俺の勝手だろ!!」
メイルの言葉に耳を貸す素振りなど見せず、ひたすらに宿の壁を殴る。ウルの拳は血だらけになっていた。ウルは悔やんでいた。そして自分の非力さを恨んでいた。そんな気持ちを持っていたのは、ウルだけではない。ティタもメイルもダイも……全員が同じ心境であった。
「左目の!! 師匠をよくも!! 絶対に許さん!!」
「一人だけで熱くなるな、僕だって許せないんだぞ」
「そうだよ。私だってショウさんの弟子なんだから。ダイだけでカッカしないの」
「テメエら、俺に教えろ。核 ってのを」
「簡単にできることじゃない。メイルだってまだだし、核 が目覚めたティタだってこれからなんだ」
「そんなの承知の上だ。ティタにできたんだ、俺にできないわけじゃない!」
「いいだろう……覚悟しろ」
(あの野郎……ぜってえ潰すって)
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