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(第15章 最後の鍵、最終決戦へ)
皆が滝の側で休んでいると、そのすぐ近くから、動物達が集まって来た。
「わあ~」
「すげえ。こんなにいたのか」
「しかも見た事ないもんばっかだぜ」
と、スティングが言うと、後ろから、何かが彼を突いた。
「ん? わあ!!」
と、彼はびっくりして飛びのくなんとそれはゾウの鼻だった。
「びび、びっくりするじゃねえか、コラー!!」
とスティングが怒鳴るが、アウルとステラは笑っていた。
「ハハハハスティング今の受ける~」
「スティング面白~い」
「面白~いじゃねえだろステラ! アウルも何言ってんだコラー!!」
「逃げろ逃げろ~~~!!」
「待てコラ~!」
その光景に、シャニ達とヨハンとミハエルも微笑まし気に見ていた。
ヨハンとミハエルの笑みは本物で、生きていた当時の、あの笑みではなく、心からの笑みだった。
小屋の中から、ラリとアリアも皆を見ていた。
「皆楽しそうです」
「はい。あの笑みは、心の底から来るもの。戦いでの笑みではありません。皆さん。本当に変わられました」
「ああ。そして……彼も」
「そうですね。自分の時間を進める事が出来なかった。だから、自分が一番気を赦せた人に、変わって欲しいと望んだのでしょう。そして、その人は今変わろうとしている」
「うん。そして、変われなかった彼も、過去から未来へ変わろうとしている。実に素晴らしい事です。きっと、神様が、彼女をよこしたからでしょう」
「ニラルバさんの事かい?」
「ええ。あの子のおかげで、彼は変わろうとしています」
「そうだ。皆、過去から未来へと変わろうとしている。生前ではなしえなかった事をなそうとしている」
「そうですね。あら? ニラルバさんは?」
「ああ。あそこだ」
ラリが示した先には、毒消し草が密集しており、少しとって置こうと、ヨハンが言い出し、ミラルバは、自分も行くと言い出したので、連れて来たのだ。
ミラルバは、植物図鑑を見ながら、毒消し草や薬草などをたくさん集め、ヨハンと共にそれを小屋に運んで来た。
「いっぱい採れたわね」
「これだけ有れば、当面は大丈夫だろう。しかし、あの猫は何故我々をこの空間に……」
「う~ん。何かを守ろうとしたとか?」
「確かにそれはあり得るが、一体何を?」
「もしかして、ニールの体に、何かが隠されているとか?」
「う~ん」
と、ヨハンがミラルバと話しているのは、陰から、ミハエル、オルガ、クロト、シャニがそ~っと覗いていた。
「あ、兄貴にの奴。いつの間にニラルバさんと、あんなに仲良く……」
「う~ん。まあヨハンって紳士って感じがするからじゃないか?」
「どうかな~」
「俺等恋とかそっち系全然わからねえもんな~」
と言っていると、
「何をしている?」
「ギク!!」
と、皆がそちらを見ると、ミゲルがいた。
「み、ミゲル!?」
「なんだよ? ビックリしてような顔して」
「皆。覗き見はよくないですよ」
「に、ニコルまで」
「あいつ一体何人巻き込んだんだ?」
「いえ。僕とミゲルは偶然近場にいて、こうなっただけですから」
「とりあえず、食事にしようぜ。食料なら、あいつがなんとかしてくれそうだし」
「あいつ?」
「この世界の主だよ」
「いるんでしょ? 出てきてください」
と、ニコルが言うと、草がガサガサと動き、そこから、チータ―サイズの猫がいた。
「うわ! デカ!」
「と、皆がビックリすると、ミハエルがバランスを崩し、ひっくり返ると、それに巻き込まれる様に、皆もドカドカとコケてしまい、ヨハンにバレてしまった。
「イテテ!」
「何をしている?」
「ま、まさか今の……」
「あ、あはは~」
と、皆は笑ってごまかすが、もうすでに遅く、良い関係おw気付きつつある彼女は、
「アンタ達~~~~~~~」
と、またネックレスが光輝き、皆を吹っ飛ばした。
「うわ~~~~~~!!!」
「……ニラルバ。お前」
「フン! 乙女ののぞき見をした罰よ!」
「あ、アハハ」
と、内心ヨハンは笑って見せたが、内心では、かなり怖い女で、絶対に怒らせない様にしようとさえ思った。
そして、みんなは、焼き魚とご飯と、薬草の天ぷらを満足げに食べると、とても美味しかった。
「ウマ!」
「美味しい!」
「うめえぞこれ! おかわり~」
「はいはい」
と、にぎやかな食事だが、ニールはベッドに戻っていた。
少し動きすぎたかと、彼は疲れた体をベッドに戻すと、ようやく疲れが取れて来た。
ホントは皆と食事がしたかったが、今は眠るしかない。
彼は、自分の胸を触ってみて思った。
今は、普通だが、いつ発作を起こすかわからない状態なのに、皆に迷惑や心配をかけたくはない。
「皆に、心配かけたくは、ない……ダメだな。俺……こんな呪い、付いちまうなんて……」
と、そう言った途端、
「ドックン! ドックン! ドックン!」
と、心臓が激しく動き出した。
「う! うう……また……あう……」
ニールは胸をつかんで苦しむが、誰にも言い出せない。
だが、誰かに言おうにも、こんな事を誰にも言えない……皆に心配を、かけたくない。
その思いが強いせいか、心臓の痛みがますますひどくなり、目の前がボヤけてきた。
もう、動く事もできない。
「は、早く、ベッドに……ウア!!」
「ドックン!! ドックン!! ドックン!!」
と、激しい心音と痛みに、彼は半分以上気を失う様に動かなくなった。
そして、彼はどういうわけか夢を見た、
そこは、真っ暗な場所で、自分は鎖でつながれ、服は殆どボロボロの状態で、下を見ると、殆ど底なしの穴のようだった。
「な、なんだ? ここは」
彼は辺りを見て見るが、誰もいない。
だが、自分は1人でおり、なんだかすごい倦怠感で、心臓の動きも悪くなっていた。
「ハア、ハア、ハア」
彼は苦しそうに息をしながら、いると、そこへ、
「フフフフフ」
と、誰かの声が聞こえた。
でも、知っている。
それは、自分の家族を奪った仇、サーシェスの声だった。
「て、てめえ……どこだ!?」
「ドックン!!」
「う! うあ……し、心臓が……こ、んな……と、き……ウウ」
「ヘヘヘヘヘ。苦しいか? やめて欲しいか?」
「テ、テメ……」
「フフフフフ。イヤ~お前のそんな顔、クルジスのガキに見せてやりたかったぜ!」
「て、テメ……どうやって……ウウ……」
「どうやって? そんな決まってるさ。お前のその胸の痣。それは呪いの印ってのは、分かってるよな~ その術にはちょいとした仕掛けがあったな。俺はそことコッチを繋いで、お前がいる場所にゃドンな状態でも、現れる事が出来るのさ。つまり、お前がいる限り、俺は何度でも現れる事ができ、なんどでも復活する。ちなみに言うと、この空間は、規模は小さいが、お前を苦しめるだけには十分だ。あの猫のパワーも想像以上に強ええんで、ちょいと時間がかかっちまったがな」
「ウウウ!! ゴホ! ゴホ! ゴホ!!」
「フフフ。苦しいか? え? 苦しいだろう。もうお前はそこから逃げられない。お前の中に有る、鍵を渡すまではな」
「か、鍵? な、なんの、こ、う……うう」
「お前はこの世界に来た時に、託されたカギだ。それさえ手に入れちまえば、俺達はここを去り、お前の呪いも消してやろう」
「な、何を……」
と、ニールが言おうとしたその時、心臓部が金色に光出す。
「な、なんだ?」
「フフフ。持ってるじゃねえか。しかも最高の場所にな~」
「俺の胸に、鍵が……どうしてここに」
「フフフ~。神様もえげつねえよな~。よりもよって、人間の心臓部に隠すなんざよ~」
と、彼はバカにしたように言うと、右腕をまるで鬼の様な腕に変化させた。
「フフフ。さあ頂くぜ!!」
と、彼はニールの心臓に手を突っ込むと、鍵だけ取って、一気に抜こうとするが、どういうわけか、鍵が抜けない。
というより、鍵の映像を見ているようで、触れないのだ。
「うわ~~~~~~~~~!!!」
あまりの声に皆がニールの元に集まると、ラリとアリアで彼を楽にしようとするが、なかなかうまくいかず、ステラとスティングの癒しの魔法を使い、ナントカ心臓部を癒そうとするが、このままでは、死んでしまう。
それを察したステラは、
「死ぬのはダメ! お願い。目を覚まして!!」
ステラは必死に彼に技をかけ続け、スティングもその後に続く。
すると、わずかに指が動いたのを、シャニが確認した。
「!指が動いた。おいニール、ニール!!」
と、皆が切羽詰まっている所へ、黄色いウェーブの中に黄色い粉が混じった者が、ニールの心臓部に入っていき、それが治まると、彼は、ゆっくりと目を開けた。
「ウ‥‥‥」
「! ニール」
、皆が声をかけると、彼は、ぼ~っとしたままだ。
「スティングが異変に気付き、すぐさま皆で彼をベッドの上に戻した。
「大丈夫か?」
ラリとアリアが入ってくると、彼を見た。
そして、どういう事か胸の痣が酷くなっていた。
「痣が酷くなっている! ニールまさか」
「か……鍵……ウ……」
「やっぱりか」
「神官もしかして、あれが……」
「おそらく気付かれたのだろう。最下層の住人で甘く見ていた。まさか、ここまで酷くなるとは」
「とにかく、彼の痛みを取ってあげましょう」
と、アリアは痣に手を当て、ヒーリングをかけた。
「ハア、ハア、ハア…は~」
ニールは力が抜け、そのまま眠ろうとするが、あの時の恐怖からか、うまく眠れない。
それを見たラリはあるカプセルを取り出した。
「本当は、こんな事には、使いたくなかったのだが、ここまで来てしまったのなら、仕方ない」
「どういう事? ニールに、何かあるの?」
ステラが心配そうに聞くと、
「大丈夫だよ。これは一種の発作止めだから」
「それでニール、助かるの?」
「ああ。ただ、問題が1つあるけどね」
「え?」
「とにかく、今は彼の真相を休めなきゃ」
と、彼はニールをもう一度だけ起こすと、薬を呑ませると、彼は苦しみのない夢を見ているのか、ぐっすりと眠っていった。
「これで大丈夫だ……問題は鍵だな」
「ラリ神官。もしかして彼等は……」
「間違いなく、あれを取りに来たのだろう。あれを作動させる、最後の鍵。まさか彼の心臓部に有ったとは……」
「どういう事だ?」
「俺達ばっかに内緒にしやがって! 話してくれよ。全部!!」
クロトが怒鳴ると、オルガが口を押えた。
「静かにしろって、今寝たばっかなんだぞ」
「あ、悪い」
「でもさ~。ここで、あの猫の世界なのに、どうして、助けてくれなかったの?」
「……あいつらは恐らく、最下層から来ている。バックに誰かいるとしか思えない。そして、そのバックにいるのが」
「ロードジブリール……」
「だけだと良いのだが、まずは子の世界から出ないと」
「それにはまず、鍵を抜いてやってくれ。このままだと、またこいつを苦しめる事になる」
ヨハンのセリフには、ミハエルも、
「そうだぜ神官さんよ。あんた神様と繋がってるんだろう?」
と言った。
流石のラリもここで困った。
実を言うと、あのカギは、宿り主。
つまり、持っている者がその気を起こさないと、取り出す事が出来ないのだ。
「とにかく、話は明日だ」
「そうですね。ニールも、ずっと苦しい思いをしてきている。ニラルバさん。ここを、お任せしてよろしくて?」
「え? え、ええ。私の力で、あなたの痛みを治してあげる」
彼女がそう言って、彼の胸に触ってみると、そのカギが、フワリと浮かび出て来た。
「え? な、なに?これ……神官さんに見せた方が、良いわよね」
彼女がそう判断した次の瞬間。
「そいつをよこせ~~~~~~~!!!」
とサーシェスが突っ込んでくると、彼女はとっさに凄まじいエルフの力で、彼を逆に地面に落とした。
「くっ!」
この騒ぎで皆がやって来た。
「やはりあなたでしたか」
「!……テメエ」
「よくもニールを!!」
と、ステラがかなり怖い目で彼をにらむと、慌ててスティングとアウルが止めに入った。
「やめとけよステラ。こいつには、聞かなきゃならない事がたっぷりあるしな」
「な、何の事だ!?」
「あなたが探していたのは、これですね」
「な! ば、バカな。俺でも取れなかった鍵が、どうしてここに!?」
「ニラルバさんを、信頼している証拠です」
「何?」
「鍵が取れなかったのも当然。鍵は、その宿り主、自らしか取り出す事ができないのですよ。だから、その心臓も、返してもらいます」
彼の言葉に、サーシェスが応じる事が有る訳がなく、スティングとアウルで、どうにかそれを見つけ、ラリに渡すと、その心臓は消え、ニールの呪いの痣も消えた。
「さて、急がなければなりません。もう、闘いは始まっています。行きましょう。私達の本当の戦いに!」
皆が決意を新たにすると、ホーリールミアンも気付いて、その土地を解除し、皆は、ホーリールミアンの上にいた。
「これで最上層へいけます。が、おそらくジブリールや他の天使達も待ち構えているでしょう。これからが本番です。しっかりと、自分の意思で戦うのです」
「はい!!」
そして、ついに、最後の戦いが始まろうしていた。
はたして、彼等は、勝つ事が出来るのだろうか!?
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