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(第13章 伝説の神、ホーリールミアンを起こせ!)
皆は、村長の家のベッドに、ニールを寝かせて、医療に精通している術者に、サーシェスの呪いを消してもらおうと考えた。
術者には、呪いを消す者も多く街にいる為、セルゲイのつてで呼んでもらったのだ。
作業は少しかかったが、呪いは完全に消えずとも、ナントカ発作止めで止めるしかなかった。
普通なら、術者が死ねば、解けるのだが、相当高等魔術を持っている者でないと、解けない術者に教わったらしく、呪いの元の本体が、ニールの中に有る為、まずは、それを無力化させて、取り出さねばならなかった。
「ドクター」
「一応、一時的に元は押さえましたが、またいつ再発するかわかりません。どうやら相当な使い手が、最下層にいるのでしょう。まずは、そいつを倒すか、または、別の手段を取るかですが……」
「別の手段?」
と、クリスが半泣き顔で聞くと、ステラも、
「死んじゃう……それはダメ……怖い!」
と、泣きそうになる彼女を、アウルとスティングが、なだめ、自分達の家に帰り、アウルがステラを寝かしつけ、アウルと、スティングは、2人で話しあっていた。
「なんとか、してやれないのか? 俺達じゃ……」
「確かに。散々この世界で世話になっている。その世話になってのを帰したいのは、俺も同じだけど。俺達には、何の力もないタダのガキだ。どうするかだが。それに、ステラを1人きりにしてしまうのも無理だろ?」
「確かにな。でも、ステラは、俺達を優先すると思う。あいつはそういう奴だったから」
「そうだな。この件に関しては、俺達も、なにかしらやって、恩を返したいと思う」
「だよな。やっぱ、最下層に行って、そのなんだっけ?」
「サーシェスだよ。あいつが一番悪いんじゃん!!」
「だよな。やっぱあいつをとっちめて、無理にでも呪いを解かせるしかないと思う」
2人が話していたその時、神官がやって来た。
「やはり、あなた方も、お考えでしたか。おや? もう1人のお嬢さんは?」
「ステラなら、2階の部屋で寝てるよ」
すると、シスターアリアが言った。
「お優しいのですね。彼女に、聞かれたくないのでしょ?」
「!!」
「やっぱり……お気持ちはお察しいたします。ちなみに、ニールの方は、こちらで方法を考えました」
「え? もう!?」
と、アウルが立ち上がると、ラリが言った。
「ホーリールミアンを起こす事にした。その為には、君達に来て欲しい。あの神獣は、心の清らかな者の力がなければ、目覚めない。そこで、ここの子供達が祈り、その神を起こし、ジブリールを封じてもらう。それと、サーシェスの件は、ミゲルと、ハイネにしてもらう事にした。ニコルには、ピアノで、呪いを消す曲を覚えてもらい、神殿の祭壇に有るピアノを演奏してもらい、それによって、邪悪な闇を追っ払ってもらう」
「それが、皆の考えか?」
「そうだ。少々不安はあるが、今はこれしかない。君達も準備をしておいてくれ」
「……わかった」
「スティング……」
「アウル……ステラを」
「ああ。これはステラにはうってつけかもしれない。あいつは本当に純粋で、優しい奴だ。成功すれば、彼女も喜ぶだろう」
アウルがステラの部屋へ行くと、彼女は起きて月を見ていた。
「ステラ?」
「おっきなお月様。丸くて、とてもきれい」
「そうだな。今日は満月か。あ、ステラその……」
「ステラ……皆の役に立ちたい……だから、私も、一緒に行く」
「ステラお前……」
「うん!」
彼女の目は真剣だった。
本当に、この世界の平和を願っている。
「ステラ……わかった。それじゃあ準備しようぜ」
「うん!」
―――――
そして、しばらくすると、子供達が集まり、皆が教会に入ると、巫女のリミルが、集まった子供達が言う。
「ここにいる、全ての子供達は、ホーリールミナンを起こす可能性のある者達です。あなた達の力が、きっとホリールミアンも起きてくれるでしょう。行きましょう。彼女の眠る場所へ」
―――――
それは、セーラの森に転送された。
これが、リミルの力だった。
彼女は生まれた時から、ずっとずっと待っていた。
この時が来る事を。
そして、ついにその時が訪れた。
この世界を正しく導く為の巫女となる者だった。
そして、皆はセーラの森へ続く道を歩いた。リミルを先頭にして。
すると、
「ズズズズズズズズズズ」
と、不気味な地震が起こった。
なんと、その森を守るかの様に、さまざまなクリーチャー達が行く手を阻む。
「な、なんだ? こいつ等!」
「後ろにも……上にもいる……」
ステラは怖がるが、リミルは、
「これが最初の試練。これを超えし者、ホーリールミアンの元へ近づく。武器はここにある。それを用いて先を急ごう」
「OK」
「了解だ」
「ホーリー……ルミアン……待ってる。ステラ……行く!!」
そして戦いは始まった。
クリーチャー達は色々な攻撃で邪魔をしてくるが、ステラ達も負けてはおらず、武器で応戦し、先へ先へと急ぐ。
だが、クリーチャーとて馬鹿ではなかった。
こうなる事を知っていて、既に入口地点で、一番でかいのが待っていた。
「グオオオオオオオ!!!!」
と、凄まじい雄叫びを上げ、口の中には、エネルギーを一杯にして、一気に放つと、道がアッという間に溝になってしまった。
「お、おいおいまじかよ!?」
「これが、あいつの力!!」
「ステラ怖い……でも……この先の洞窟……その中に、いる……感じる……」
「急ぎましょう! 時はそう長くは持たない。まもなくこの世界と、私達の世界との境界線を閉じ、離れてしまいます」
「くそ~!! そんなの待ってられっか。行くぞ!!」
とミハエルは、先へ先へと急ぐ。
そして、皆も急いだ。
ステラの頭に、だんだん声が聞こえて来た。
「こっち……こっちよ!」
「こっち……こっちにいる。でも、その前に、大きな何かがいる。それを倒さなきゃ、先に進めない……」
それを聞いたスティングがある提案をした。
「ステラ。お前には声が聞こえているが、俺達には聞こえていない。そのデカイのは、俺達が食い止める。お前はその間に先に行け!」
「でも、スティング達は……」
「俺等なら大丈夫だよ。信じてお前は先に行け! ホーリールミアンを起こせば、世界を救えるんだ!」
「アウル……」
「それに我々もいる。今神のあれを起こせるのは、ステラと、リミルだけだ」
「ヨハン……うん。でも約束して。必ず……絶対に後で会うって……!!」
「! わかった」
「俺達もな」
「クロト、シャニ、オルガ……皆……ありがとう」
「うん。さあ、行け! ステラ」
「うん!!」
と、ステラはリミルと共に走り出す。
それを見たクリーチャー達が向かおうとすると、スティング達は必死で邪魔をして、ステラを守ろうと必死に戦う。
「こっから先には行かせねえ!!!」
「俺達だって、やるときゃやるぜ!」
「そうだそうだ。あの子は1人で戦っている! だから僕達も戦うんだ!!」
「おお!!!」
と、皆がクリーチャーに向かっていくと、こちらも容赦なしとばかりに攻撃してくる」
そこへ、凄まじい攻撃をした者がいた。
なんと、それは留美の兄の紅龍だった。
彼女もこの事態をしり、紅龍と共に駆け付けたのだ。
「お、お前、どうして?」
ミハエルが驚いて聞くと、
「簡単な事よ。私は死んで生まれ変わった。そして、改めて大事な物や色々な事を、改めて学事が出来た。中都市でも学校はあるけれど、農村の方は、生き物に触れる事が出来る。だから、少しだけ、農村に居させてもらった事が有った。そして、私は色々な事を目にした。そして知った。私は、私が生きなおせるこの世界を失いたくはない。だから、私も、お兄様と一緒に戦うわ!」
と、ショートブレイドでクリーチャーを切りつけながら戦う。
それを見た皆も必死に頑張る。
すると、神官ラリと、アリアの2人も、魔法を使って戦う。
―――――
その頃、農村の皆は仕事をしつつ頑張る。
そして、呪われてしまったニールの側にいるのはクリスとリヒティだけだった。
「皆、大丈夫かな?」
「大丈夫ッスよ。必ず、皆帰って来ますから」
「そうだ。それに、あいつ等は勇気がある。未来へ向かおうとする勇気が……俺に……一番足りないもんを……持ってる……」
「ニール?」
「あ、スマネエ。らしくない事言っちまって」
「ううん良いの。でも、どうしてサーシェスは、あなたに呪いをかけたのかしら? といか、あいつ言ってたわよね? ココに来る事になった恨みだ!って」
「ライルだよ」
「え?」
「ライルって誰なの?」
「機密事項だから言えないでいたが、俺の双子の弟だよ。まさか、あいつがガンダムマイスターになるなんて、思わなかった」
「そうなんだ」
「ガンダムで行こうにも、無理になっちゃったし……」
「ちょっとリヒティ!!」
「あ、ごめんなさい!」
「いや、謝る必要……ねえよ……俺が……う……く……」
「二―ル!」
「ウ……ア……」
「ドックン! ドックン! ドックン!」
「ア……アウ……グア……」
「ニールしっかり!!」
「あ、クリス姉ちゃん。お兄ちゃんの胸の痣、どんどん濃くなって広がってる。これじゃ、お兄ちゃんが死んじゃうよ!!」
リヒティが焦っていたその時、
どういうわけか、最下層に落ちたはずの、サーシェスがまた現れたのだ。
「ハハハハハハハ。俺の呪いからは絶対に解放されねえよ。へへへへへ。一流の呪いの先生に散々鍛えられたからな。後、こっちを戻れるように、その呪いに印をつけておいたのさ」
と、グローブを見せると、確かに呪いのマークとグローブのマークが同じだ。
つまり、しいて言えば、これがこっちの世界に繋がっている限り、ニールは助からない!!」
それを知ってリヒティは、魔法の杖を出した。
これは、ラリが何かあった時の為にと置いていった物だ。
「お前なんかに、ニールお兄ちゃん殺させない!!」
「ヘッこのチビが!」
と、光線をサーシェスが撃つと、リヒティが鏡を使って跳ね返した。
「何!? クソ! 今日はここまでにしてやる!!」
彼はまるで、逃げる様にそこから立ち去った。
「やった! 僕、サーシェスを追い払ったんだ!!」
「すごいすごい」
クリスが褒めると、ニールはまだ痛みと呪いを心臓に残したまま起き上がろうとしていた。
「あ! ダメよ動いちゃ! 今皆お兄ちゃんの為に頑張ってくれてるんだから」
「……悪い……そうだったな……」
「大丈夫だよ。皆きっと無事だから」
リヒティは、彼を寝かせ付けた。
―――――
、
その頃ステラ達は、ついにホーリールミアンの祭壇に来ていた。
ステラは無事だが、アウルとスティングはボロボロで、他の子供達も力を合わせて頑張ってくれた。
「ここがその祭壇なの?」
彼女の言葉に、リミルは。
「ええ。間違いなくここです。今から私がこの眠りについた者に意思を伝え、起こします。
そしてついに始まった。
彼女はなにかしら呪文を唱えて、そのたびに、周りの水晶が光始め、それがどんどんホーリールミアンに送られ、ついに全ての力が降り注がれると、
グラグラと揺れだし、洞窟が崩れようとしていた。
と、その時、
「ニャ―――――オ―――――!!!」
と大きな猫の声が聞こえ、洞窟に、不思議なパワーが満ちると、全ての岩が吹き飛び、ケガをしていた者が全て回復した。
その姿は、まるで、ネコ科の野生動物を思わせるような風貌で、大きな翼が生え、二股の尻尾を持ち、55mもある大きな猫の様な姿をしていた。
「これが、ホーリールミアン……」
と、リミルが言うと、すぐさまテレパシーが聞こえた。
「私を呼んだのはそなた達か?」
その声に、皆がテレパシーを聞いた。
すると、神官ラリが言った。
「そうです。我々の国が、最下層にいた者に侵されてしまいました。どうか、あなたの力をお借りしたい。どうか、私達と一緒に戦ってください!!」
「私からもお願いします」
と、ステラも必死に頼んだ」
すると、彼女は目を閉じて、皆の心の声を聞き判断した。
分かった。その場所へ案内しろ」
「あ、ありがとうございます!」
ステラが礼を言うと、ホーリールミアンは背を低くした。
「え?」
「乗れって言ってるんじゃないか?」
「ステラ、お前が乗れ」
「でも……」
「3人共、我が背に乗れ」
「ありがとう。皆乗って! 行こう。私達の世界を取り戻しに!!」
と、ステラの一言で、ホーリールミアンは、思いっきり翼を羽ばたかせると、その洞窟を出た。
はたして、この先どうなってしまうのだろうか!? そして、ホーリールミアンの力とは!?
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