13 / 27

(第4章 ニールの初仕事)

 ここにきて数日が過ぎ、ニールは外へ出てみた。 最初の頃は、仕事に打ち込む彼等を見て、自分も何かしなきゃと思ってはみる物の、実際手伝える程の物がなかったからだ。 生きていた頃の自分は、テロで家族を失ってからは、闇の世界でスナイパーとして生きて来たからだ。 だから、今さら人らし生き方をしようにも、まだ迷いが有った。 「牧場での仕事か~どうすっかな~ハア~ かといって、ずっとここにいるわけにもいかねえしな~」 と、彼が考えていると、ステラが血相を変えて飛び込んできた。 「いた。大人の人。力を貸して。お馬さんが、子供を産もうとしてるんだけど、なかなか出て来なくて……」 「分かった。案内してくれ!」 「うん!」 ――――― そこはもはや戦場だったった初めての出産を経験するネーナには、ビックリな事で、落ち着かない。 なんとかしようと、ミハエルが落ち着かせようとすると、前足で蹴りそうになる。 「ここ!」 「待たせたな」 「お前! 「ど、どうしてここに」 「嬢ちゃんが大変だって、俺を呼びに来たんだよ。まさか、お前等までいたとはな」 「んな事言ってる場合か! 手伝え!」 「こっちにその子の手綱を固定するんじゃ!」 「分かった。頑張れよ! ネーナ」 「え?ね、ネーナって、こいつが!?」 「いや、ネーナはここには、いない。別の場所にいるが、俺でもわからない。ただ、あいつがネーナを大事にしていたのは知っているな」 「あ、ああ」 「それで、自分の担当する馬に、ネーナと名付けたんだ」 「なるほどな」 「よし良いぞ! ガンバレネーナ。後ちょっとだ。前が出てる。後は後ろだけだ」 「ゆっくり引っ張れ! せーの!」 と、大人3人がかりで引っ張り出したその赤ん坊は、無事に誕生し、草食獣の本能で、すぐに立ち上がろうとするが、膜が邪魔をして、なかなか立てない。その時、ミハエルは、ネーナを自由にしてやると、親の本能があったのか、幕を取ってやると、仔馬はすぐに立ち上がり、お乳の場所を探すが、問題は、乳が出るかどうかだった。 その結果、仔馬は無事だった。 すぐに自分の意思で立ち上がろうと頑張り、2~3分で、無事にヨチヨチ歩きでは有ったが、すぐに動けるようになり、ネーナの乳首を探し当て、お乳を飲む。 それを見た皆がホッとした。 いつも無表情なヨハンもホッとした 表情で見ていた。 「よく頑張ったな」 「えらいえらい」 「ヒヒーン」 と、ネーナもどこか嬉しそうだ。 「サンキュウな。手伝ってくれてよ。 「あ、い、いや俺はただそうしたかっただけだよ。 「それじゃ、あんちゃんにも今日から牧場の手伝いをしてもらおうかのう」 「え? 俺もやるの?」 「当たり前だろ。ここで生きていくならなおさら」 「ま。まあそうだな。せっかくここに連れ手木手もらったんだし、何かしなきゃいけねえな」 と、ニールが言っていると、 「それじゃあニールには、こっちを手伝ってくれ」 「え?」 と、彼が行った先に有ったのは、肉用の牛が放牧されていた。 「こいつらの世話だよ」 「なるほど。確かに、こりゃ面白そうだな」 「まだ子供の彼等に、肉用の牛を飼育させるのはちょっとな」 「あ~確かにそうだよな」 と、ニールが苦笑すると、ハムとベーコンづくりを手伝い、夕食に使う、肉類をそろえていく。 「ところで、今日なにするんだ? 夕飯」 「そうだな~今日は刺身するか。今日、マグロが水揚げされる日だから、港まで取りに行ってほしいんだ。ハイネと一緒に」 「あ、ああ。そりゃ構わねけど、ハイネって……」 「俺がどうかしたか?」 「わあああ!っていきなり出て来るなよ。ビビったじゃねえか!」 「アッハハハ。ワリィワリィ。とりあえず、早くいくぞ。車、準備してるから」 「あ、ああ」 ――――― 2人は車を走らせて、港へ向かった。 場所は、中都市と農村の間にある漁港で、ここも1つの王国となって成り立っていた。 今日水揚げの為に、あちこちからたくさんの人が人が来る。 もちろんその取れた物を持って来る。 それによって、買える物が違ってくるのだ。 港はすごく盛り上がっており、色々な物が交換されて行く。 「うは~結構こりゃ広いじゃんか。で、どうするんだ?」 「まずは、農業から持って来た物を、国王様に献上するんだ」 「王様?」 「そ。ハティランガ34世。それがこの国を取り仕切っているんだ。 「え? じゃあ俺がココに来たのは……」 「あ、違う違う。あれは別だって。最近は、人も結構増えたからな。大いににぎわうわけだよ」 「やっぱ戦争で……か?」 「ん? フッ……お前、まるでアスランみたいだな」 「アスラン?」 「アスラン・ザラ。俺達の元仲間だったんだ。ところが俺は着任早々死んじまってな。まあ、四隅してて後ろに気付かなかった俺の落ち度でもあるけどな」 「あいつ、実を言うと、その時、地球軍とだけでなく、オーブとも戦う事になっちまって。それで悩んでたあいつに、言ってやったんだ。じゃあお前はどことなら闘いたい?ってな」 「それで、そいつはなんて言ってた?」 「複雑そうな顔してたよ。やっぱり、自分を守ってくれてた国を敵国になっちまう羽目になったからな」 「ふ~ん」 そして、水揚げされたマグロはかなり大きく、凄い値で売られていく。 もちろんその中に、ハイネとニールもいた。 2人は苦労して、水揚げでも最高な物を無事に手に入れ、冷凍ボックスに入れて、農村へ持ちかえった。 そして、、そのマグロは、その農村の人々によって解体されて、今日の晩御飯を決めていた。 そして、ニールも料理を手伝う。 生きていた頃から、調理も得意というだけあって、見事に魚を捌き、刺身にしていった。 「へえ~筋良いじゃん「ニール」 「どうも」 「んじゃ、今日は刺身で決定だな」 「そうだな」 と、2人は嬉しそうにしていた。 だが、誰も気付いていなかった。 牧場を見ていた者がいた事に
良い
エロい
萌えた
泣ける
ハラハラ
アツい

ともだちとシェアしよう!