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(第4章 ニールの初仕事)
ここにきて数日が過ぎ、ニールは外へ出てみた。
最初の頃は、仕事に打ち込む彼等を見て、自分も何かしなきゃと思ってはみる物の、実際手伝える程の物がなかったからだ。
生きていた頃の自分は、テロで家族を失ってからは、闇の世界でスナイパーとして生きて来たからだ。
だから、今さら人らし生き方をしようにも、まだ迷いが有った。
「牧場での仕事か~どうすっかな~ハア~ かといって、ずっとここにいるわけにもいかねえしな~」
と、彼が考えていると、ステラが血相を変えて飛び込んできた。
「いた。大人の人。力を貸して。お馬さんが、子供を産もうとしてるんだけど、なかなか出て来なくて……」
「分かった。案内してくれ!」
「うん!」
―――――
そこはもはや戦場だったった初めての出産を経験するネーナには、ビックリな事で、落ち着かない。
なんとかしようと、ミハエルが落ち着かせようとすると、前足で蹴りそうになる。
「ここ!」
「待たせたな」
「お前!
「ど、どうしてここに」
「嬢ちゃんが大変だって、俺を呼びに来たんだよ。まさか、お前等までいたとはな」
「んな事言ってる場合か! 手伝え!」
「こっちにその子の手綱を固定するんじゃ!」
「分かった。頑張れよ! ネーナ」
「え?ね、ネーナって、こいつが!?」
「いや、ネーナはここには、いない。別の場所にいるが、俺でもわからない。ただ、あいつがネーナを大事にしていたのは知っているな」
「あ、ああ」
「それで、自分の担当する馬に、ネーナと名付けたんだ」
「なるほどな」
「よし良いぞ! ガンバレネーナ。後ちょっとだ。前が出てる。後は後ろだけだ」
「ゆっくり引っ張れ! せーの!」
と、大人3人がかりで引っ張り出したその赤ん坊は、無事に誕生し、草食獣の本能で、すぐに立ち上がろうとするが、膜が邪魔をして、なかなか立てない。その時、ミハエルは、ネーナを自由にしてやると、親の本能があったのか、幕を取ってやると、仔馬はすぐに立ち上がり、お乳の場所を探すが、問題は、乳が出るかどうかだった。
その結果、仔馬は無事だった。
すぐに自分の意思で立ち上がろうと頑張り、2~3分で、無事にヨチヨチ歩きでは有ったが、すぐに動けるようになり、ネーナの乳首を探し当て、お乳を飲む。
それを見た皆がホッとした。
いつも無表情なヨハンもホッとした 表情で見ていた。
「よく頑張ったな」
「えらいえらい」
「ヒヒーン」
と、ネーナもどこか嬉しそうだ。
「サンキュウな。手伝ってくれてよ。
「あ、い、いや俺はただそうしたかっただけだよ。
「それじゃ、あんちゃんにも今日から牧場の手伝いをしてもらおうかのう」
「え? 俺もやるの?」
「当たり前だろ。ここで生きていくならなおさら」
「ま。まあそうだな。せっかくここに連れ手木手もらったんだし、何かしなきゃいけねえな」
と、ニールが言っていると、
「それじゃあニールには、こっちを手伝ってくれ」
「え?」
と、彼が行った先に有ったのは、肉用の牛が放牧されていた。
「こいつらの世話だよ」
「なるほど。確かに、こりゃ面白そうだな」
「まだ子供の彼等に、肉用の牛を飼育させるのはちょっとな」
「あ~確かにそうだよな」
と、ニールが苦笑すると、ハムとベーコンづくりを手伝い、夕食に使う、肉類をそろえていく。
「ところで、今日なにするんだ? 夕飯」
「そうだな~今日は刺身するか。今日、マグロが水揚げされる日だから、港まで取りに行ってほしいんだ。ハイネと一緒に」
「あ、ああ。そりゃ構わねけど、ハイネって……」
「俺がどうかしたか?」
「わあああ!っていきなり出て来るなよ。ビビったじゃねえか!」
「アッハハハ。ワリィワリィ。とりあえず、早くいくぞ。車、準備してるから」
「あ、ああ」
―――――
2人は車を走らせて、港へ向かった。
場所は、中都市と農村の間にある漁港で、ここも1つの王国となって成り立っていた。
今日水揚げの為に、あちこちからたくさんの人が人が来る。
もちろんその取れた物を持って来る。
それによって、買える物が違ってくるのだ。
港はすごく盛り上がっており、色々な物が交換されて行く。
「うは~結構こりゃ広いじゃんか。で、どうするんだ?」
「まずは、農業から持って来た物を、国王様に献上するんだ」
「王様?」
「そ。ハティランガ34世。それがこの国を取り仕切っているんだ。
「え? じゃあ俺がココに来たのは……」
「あ、違う違う。あれは別だって。最近は、人も結構増えたからな。大いににぎわうわけだよ」
「やっぱ戦争で……か?」
「ん? フッ……お前、まるでアスランみたいだな」
「アスラン?」
「アスラン・ザラ。俺達の元仲間だったんだ。ところが俺は着任早々死んじまってな。まあ、四隅してて後ろに気付かなかった俺の落ち度でもあるけどな」
「あいつ、実を言うと、その時、地球軍とだけでなく、オーブとも戦う事になっちまって。それで悩んでたあいつに、言ってやったんだ。じゃあお前はどことなら闘いたい?ってな」
「それで、そいつはなんて言ってた?」
「複雑そうな顔してたよ。やっぱり、自分を守ってくれてた国を敵国になっちまう羽目になったからな」
「ふ~ん」
そして、水揚げされたマグロはかなり大きく、凄い値で売られていく。
もちろんその中に、ハイネとニールもいた。
2人は苦労して、水揚げでも最高な物を無事に手に入れ、冷凍ボックスに入れて、農村へ持ちかえった。
そして、、そのマグロは、その農村の人々によって解体されて、今日の晩御飯を決めていた。
そして、ニールも料理を手伝う。
生きていた頃から、調理も得意というだけあって、見事に魚を捌き、刺身にしていった。
「へえ~筋良いじゃん「ニール」
「どうも」
「んじゃ、今日は刺身で決定だな」
「そうだな」
と、2人は嬉しそうにしていた。
だが、誰も気付いていなかった。
牧場を見ていた者がいた事に
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