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第1話日光東照宮、謎の中学生と氷
統合失調症の患者破界の巫女です。今回は、嵐2つ目の旅である、日光東照宮からスタートです。
北京オリンピックの取材から帰って来た櫻井君を加え、日光を旅する事になったアラシ。
様々な物を食べ歩き、日光東照宮の神厩舎の前にやってきた一行。
ここには本物の馬がおり、上には猿の模様した彫刻があった。
その意味をガイドであるkさんが説明していると、後ろに誰かいる気配がして、相葉が振り向くと、茶色く切りそろえた髪に、閉じられた目が印象的な少年がテニスバックを持ち、ノートを片手に一心不乱に説明を書き留めていた。
「うわ! びっくりした~」
「ああ。驚かせてすまない」
「てか、君誰?」
「立海大付属中3年柳蓮二だ。今日は遠征試合に参加していたのだが、ここにパワースポットがあると聞いたので、それを求めて来たのだが、見つからずに探していると、丁度案内人が付いているのが見えたので、尋ねてみたのだ」
「あ、そうなんだ」
相葉がそう言うと二宮が、
「じゃあさ、一緒に行こうよ。俺達もこれからここ回るから」
「しかし、君達の邪魔にはならないか?」
と、蓮二が尋ねると、松潤が、
「俺等にとってはまあ盾になるかもしれないしね。まさか中学生がいるなんて誰も思わないだろうし」
と言った。
その時、
「あ、いたいた。柳せんぱーい」
と、7人の同じ生徒がやって来た。
「ハア、ハア、ハアやっと見つけた」
「ハア、ハア、ハア。病み上がりの俺を、走らせないでくれよ」
「まったく、歴史の事になると目の色変えよって」
と、文句を言うと、蓮二は、
「すまない。つい好奇心が抑えられなくてな」
と言った。
それを聞いた相葉は、
「あ、俺等じゃなくてこっち?」
と相葉が言うと、柳はあっけらかんとした表情で、
「なんだと思ったのだ?」
と言った。
「いや、俺等の興味あるのかなって思ってた」
櫻井が言うと、
「いや、俺の興味あるのはこちらなのだが」
と、猿の欄間を指さした。
「あ、そうなんだ。えっと、皆同じ服着てるけど、皆テニス部?」
「ああ。あ、自己紹介がまだだったね」
と、優し気な顔をした藍色の髪の少年が自己紹介をする
「僕は幸村精一。立海テニス部の部長で、別名神の子。で、こっちの帽子をかぶっているのが、副部長の真田弦一郎で、別名皇帝。それで、こっちにいるのが柳蓮二。通り名はマスターです。ほらみんな、挨拶しろ」
幸村に促され、残りのメンバーも自己紹介を始めた。
「ゴホン。では私から」
と紫色の髪をして、眼鏡をかけた紳士風の少年が自己紹介した。
「柳生比呂氏です」
と、続いてガムを噛んでいる、小柄な赤髪の少年が挨拶をする。
「丸井ブン太だ」
続いて、茶色い坊主頭の背の高い少年が自己紹介をする。
「ジャッカル桑原だ」
そして、待ってましたと言わんばかりに目を輝かせたちりぢりの髪をした緑色の目をした少年が名乗り出た。
「切原赤也ッス」
最後に、明らかに南国風なのか、白い頭をした少年が面倒そうに挨拶をする。
「仁王雅治ぜよ」
「こうしてここに来たのは、パワースポットがあると聞いたからです」
と幸村が言うと、二宮が言った。
「あ~色々あるからね~」
すると、松潤は、
「えっと、俺等の挨拶は…」
「いえ、テレビでよく見かけるので、知ってます」
と言うと、切原も、
「それによ、ここで名前知られたらまずいだろ」
「ま、そうですね」
「では、早速そのパワースポットに行ってみよ~!」
と、みんなはそのパワースポットに案内した。
ところが、そこはなんでもない石だった。
「これです。この石! この石がすごいんです」
「何がです? ただのそこらへんにある石と、変わりありませんが?」
と幸村が言うと、
「そう思うでしょ? kさんどうぞ」
と、Tが言うと、二宮が、
「いや、そこは説明してよ。詳しいから合流したんでしょ?」
と言うと、ガイド歴ベテランのkさんが、説明を始める。
「北の方を見てください。門がありますよね?」
「はい」
「で、この石の上に立って見てください。160cmの方いませんか?」
と、kさんが言うと、ブン太が手を挙げた。
「あ、俺164cm」
「では北の方を向いてちょっとしゃがんで見てください。すると陽明門があります。別名日暮の門。そして、その奥に本殿が有って、さらにその先に、家康公が眠る宝塔があります。そして、その上に北極星が見えます。この北極星は北天の王なんですね。それでそれに認められた者だけが王になれるというわけです。さらにそのパワーを江戸へ送り、江戸を守って来たわけなんですよ」
kさんの話を聞き、立海の皆はテストが近いのか、その事をノートに書く。
「つまり、この石というより、このラインに立てば、いいわけですね」
と翔が言うと、
確かにそうですが、この場所で一番受けるのがよろしい。
というkさんに、引率者の一人が早速その場に立つと、kはさっきの説明を続けた。
「先ほども言いましたように、160cm位の人が昔の平均身長だったわけですから、なぜかと言いますと、本殿に門がぴったりとつくんですよ」
「それでさっき、身長を聞いたんですね」
という幸村に、彼はテニスバッグを置き、早速しゃがんでその場所を見る。
だが、空気イスの為、かなりきつい体制となるが、嵐一行も、早速その場所を次々と見る。
そして、皆が見終わると、更にkさんの説明が続く。
「で、この石の上に立って願い事をすると、それが叶うと言われています」
と、相葉が、何かを願った
「あ、願った。何願った?」
「皆が健康でありますように」
「優しい奴だな~」
「でも、他になんか一個願ったでしょ?」
「願ってないって」
と、嵐一行が騒いでいる間に、
「立海のみなさんもどうぞ」
と、kさんに促され、立海の皆はそれぞれお願い事をする。
ところが、幸村は
「皆が健康でありますように」
と願うと、相葉が、
「あ、同じ願いなんだね」
と言うと、幸村は訳を話した。
「俺、一度入院してた事があったから……皆には健康でいてほしいんだ」
「あ~なるほど」
そして、それぞれ願い事をしていくのだが、切原の
「これ以上赤点取りませんように!」
という願いに皆が爆笑してしまった。
「何、テストヤバイの?」
と相葉が言うと、切原が、
「はい……もうやばいっス!!!だから、今日はここでお願いして、何とかお願いして、ちょっとでもいい点を取れますようにって…」
「いやわかるけどさ~そんな思いっきりいう事じゃないでしょ?」
と、二宮が言うと、切原は、
「こっちは必死なんだっての―――!!」
と、突然赤目になった。
「マズイ!」
蓮二はすかさずラケットを出し、膝の後ろを付いた。
「うわ!」
「あんまり興奮するなよな~気持ちはわかるけど」
と、立海のメンバーは慣れた者だが、さっきの膝カックンの意味が分からず、松潤が質問する。
「あのさ、さっき切原君なんか目の色変わってなかった?」
と言われ、幸村は、
「あ、ああ。あれは、赤也じゃないと出来ない芸当ですが、あまり、気にしないでください」
と言った。
「それでは、そろそろとっておきの場所にご案内します」
と勝手について来ていたTが先導する。
「さあ皆さんこちらにきてください。はい。これが、この陽明門です。この日光東照宮の中でも、一番オシャレな所なんですね。kさんお願いします」
「何にも知らないじゃん」
と、嵐メンバーに突っ込まれ、Tは、一応口にした。
「ものすごいいっぱいあるすごいですね~ではお願いします」
「それ感想だろ」
と、更に松潤が突っ込むと、
「悔しいけど、おしゃべりはkさんの方が上手なの! だからお任せしてるの!」
そして、kさんの説明が始まる。
「お話にもありましたように、装飾が508あります。それで、その物語の豊かさ、多さに圧倒されて、1日見ていても飽きない。そこで、江戸の人達が日が暮れるのを忘れてしまう。で、日暮の門と呼ぶようになったんです。それからですね。屋根の方をよく見ていただくと、わかりますように、竜が口を開けて並んでいますが、どれも開け方が違いますよね。これは、人はそれぞれ違うという事を表しています。要するに、他人は違う物だから、その違いでいじめをしてはいけないという教えがあるんですね」
「ほー」
「あ、これ、絶対期末に出るから書いとこっと」
と、丸井が言うと、ジャッカルも続き、
皆はさっきの質問についてノートを取る。
「次、お願いします」
弦一郎が言うと、
「はい。では、次に、琴を慣らしている彫刻があります。これは、音楽のすばらしさを表してる。音楽と言うのは、みんなの心が1つになれるという素晴らしさを表しています。で次に碁を打ってますが、ルールや規則を守って遊ぶという大切さを教えているんですね、。そして、次が習字をしていますよね?これは、文字や言葉で、コミュニケーションの大切さを表している。最後の一つが、絵の鑑賞のですね。これは、素晴らしい物は素晴らしいと認める大切さを表しています。
皆が感心し、ノートをとり、教えを改めて知った一行だが、この門は未完成だった。
「実はこの門は、完成していません」
「え?」
「だって完成してるじゃないですか?だから観光客もいるし」
と切原が言うと、
kさんは、
「それはですね、裏へ行けばわかります」
「裏?」
切原は走って裏へ行くが、どこにも作りかけの場所等なかった。
「無いッスよ~」
「今から説明します。確かに形は完成していますが、未完成な部分を残してるんです。で、それこそが、徳川家のもっとも大切な教えであり、願いなんです」
皆が門の反対側に回りきょろきょろしていると、Tが呼ぶ。
「さあ皆さんこちらです。こちらに集まってください」
そして、kさんの説明が始まった。
「柱を見ていただくとわかると思いますが、これ、猿の顔に見えますよね?それが一本だけ、逆になっているのがあるんです。
「あ、これ」
大野が気づいてそれを指さすと、確かに逆さまになっていた。
「あ、本当だ。これだけ違いますね」
幸村が言うと、皆もそっちを見る。
これは、魔よけの逆さ柱と言って、説明を続ける。
「江戸時代の人はお月様を見ている時に満月の後に欠けて来るんですよね。そこで月満つれば欠けるが如しと言って、完成した物は次には壊れ始めるんだ。だから、これは未来永劫壊れてはいけないという事で、どこか完成していない物を1つ作ろうという事で、この逆さ柱を作ったんですね」
「へ~」
「へ~超~面白れえ。完成しちゃったらもう後は壊れ始めるだけだから、未完成のままにしておこうという事ですね」
という翔に、立海の皆はノートに取る。
「なんとも精密な計算で建てられているな」
「未来永劫に残るようにわざと魔よけの一本を作ったんだね~俺達も、テニスを次の世代に伝えなきゃね」
「そうだな」
弦一郎がそう言うと、切原は、
「任せて置いて下さい。立海の未来は俺作ります!」
「ずいぶん気合入ってるね」
と、相葉が言うと、
「当然っすよ。なんてったって、俺が立海を引っ張って行かなきゃいけないんッスから!」
「あ、君2年生なんだ」
「そうッスよ? 気付かなかったんスか?」
その言葉に松潤が、
「いや言わなきゃ誰も気づかないって」
と突っ込んだ。
そして、更に説明は続いた。
「あの、こういう建物の意味というのは、昔は伝える方法がないですよね。テレビなんてないわけですから。だから、ここを参拝する時には、必ず、ここに詳しい人をつけないと、入れないっていうのが、徳川家の教えなんですよね」
「ちなみにこれってどれぐらいでできたんですか?」
という引率者の質問に、kさんは、
「1年5か月でございます」
と答えた。
「早!」
「こんなに豪華なのにそんな短期間で?」
ブン太やジャッカルが驚いていると、
蓮二が聞いた。
「一体どれ程の人でやったのだ?」
「のべ、人数450万人。大体1日で1万人くらい働いた計算になります。
「これ、費用は、どれ位かかったのですか?」
柳生の質問に、kさんは、
「大工さんに対して、命令は1つ。費用一切お構いなし」
「え? という事は、ここにあるこれ作るのに、いくら使っても良いって事ですか?」
相葉が驚いて聞くと、珍しく仁王が口を開いた。
「どれ位かかったんじゃ?」
と言うと、
「今の金額で役400億位」
「ええー!?」
と、流石の皆も絶叫したが、この建物の豪華さを見ると、確かにそれだけ使えば、これだけ素晴らしい門を作るには十分だった。
そして、ここで、ガイドのkさんとはお別れになる事になり、皆は
「ありがとうございました」
と頭を下げた。
そして、相葉がTにもお礼を言うと、
「待てって俺の仕事はここからなの! ハッキリ言っておく。ここの事は全く知らねえ」
「では、何故我らに付いて来た?」
真田の険しい顔つきに、Tは、
「いやいやいや。そんな怪しい目的で付いて来たじゃなくて、ここからが、本当の仕事なんですよ。皆さん今日は遠征試合だったんでしょ? で、今はまだ暑いじゃないですか」
「確かにあっちいな~」
ブン太の言葉に、Tは続ける。
「でしょ?かき氷食べたくありません?」
すると、ブン太と相葉と引率者は、食べたいと言った。
「でしょ? でもかき氷なんて、普段どこでも食べれるじゃないですか。でもね、その氷がまた違うんですよ。天然の湧水。それを凍らせて、かき氷にするわけですよ」
「え?普通のかき氷じゃなくて?」
「そうです」
「純天然か?」
ブン太と蓮二の言葉に、Tは、
「そうです。ではみなさんを案内します。こちらへどうぞ~」
と、一行は山道に入った。
「さあ皆さんこちらです。だいぶ歩いたと思いますが」
「構わないよ。これも鍛える為だと思えば、苦にもならないし」
と幸村が言い、
「さすが部長さん」
と、相葉が言い、皆も笑っていると、そこには、山小屋らしき建物が見えてきた。
「お~tちゃんtちゃん」
その人は、日本で5件しかない天然氷の職人さんで、Tとは、昔からのなじみだった。
「天然氷って言うのは、どういう物なんですか?」
という相葉の質問に、tが言ってほしそうな顔をすると、Tは、
「しゃべんなよtちゃんせっかくなんだから」
と言い、tの説明が始まる。
「天然氷って言うのは、日光の自然だけを利用して、電気も何も使わないで作った氷」
「自然に凍るって事ですか?」
「そう。日光の寒さで凍った氷」
その言葉に翔は感心した。
天然氷とは、最低気温-20度まで、日光の冬、湧水を凍らせて切り出して保存した物だ。
1シーズンで、3回厚さ15cmの氷を、4000枚計160トン作りだす。
そして、今度はブン太が質問する。
「で、その氷をなんか専用の冷凍庫に入れて保存するんですか?」
「冷凍庫ではなくて、また自然に保存する」
これには蓮二が、
「しかし、なにもないのに自然に凍らせて置く事は不可能なのではないか?」
と言うと、それにTが説明する。
「ある冷蔵庫。冷蔵庫って言っていいよねtちゃん」
「そうですね」
「それに入れて夏場も使える様にするわけですよ。見たいでしょ?」
「見たい」
「またいいデータが取れそうだな」
「いやいや取らなくていいから」
とTが止めると、tが、
「ここで説明するより、見てもらった方がいいですね」
「そうですね」
「行きましょう」
「やったー!」
と切原が1人はしゃぐと、皆はその天然氷を保存している場所にきた
その場所は何の変哲もない木の部屋の前に来た。
「ここです。ここに、天然氷が保存されています。貴重な物ですからね。昔は天皇家や将軍家にも献上していた物らしいですから」
「うわ超貴重なんだ」
と、ブン太が感心する。
皆は長靴に履き替えた。
「これ、長靴に履き替えましたけど、長靴の方がいいのかなtちゃん」
「そうですね。特殊な物で氷を覆ってますから、足が汚れるから」
「聞きましたか皆さん。貴重な物だそうです」
「見たい」
皆が言うと、さっそくtがドアを開けた。
「え?こんなドアなの?」
「開けたというよりかはどけただけって感じだな」
と、ブン太が突っ込む。
「どうぞ」
tに言われ、さっそくみんなが入って見ると、涼しい所に、なにやら土みたいな物がいっぱいになっていた。
「なんだこりゃ? なんか、土しかねえじゃねえか」
「氷はですね、この土の下に入れて、保存しているんです。これはおがくずと言いまして、氷が溶けない様にしているんです」
「え~!?」
切原がびっくりしていると、みんなも土を見る。
「なるほど。ハッポースチロールと同じ働きをするこの土なら。確かにこれは氷の発散を防ぐから、これだけの量があれば、氷を丸1年は保存できるな」
「よく知ってますね」
「柳先輩は、結構色んな事知ってますからね」
「へえ~」
「テニスの事だけじゃないんだ」
と相葉が感心する。
すると、二宮が、聞く。
「無くなったりはしないんですか?」
「少しずつ溶けていきます」
「この状態の方がいいんですか」
「そうですね」
そして、次にTが質問する。
「これ、0になったりとかはしないんですか?氷が全部溶けるという事は」
「それはないですね。ここに160tありますこの小屋のハリまでありました」
「すげえな」
と、切原が言う。
そして、相葉が、
「今年かなり暑かったじゃないですか、それでも全然平気なんですか?」
「半分溶けました。半分商品」
その時、引率者の1人が聞く。
「この冷蔵庫って寒いのに、ここは森林の温度と同じぐらですよね?」
「この下の賞品は0度から-1度でやっと保たれているんですよ」
そこへTが、
「ちなみにですけど、結構いいお値段なんですよね?」
「いいですね」
普通の氷屋さんのこういう氷は、1本いくらぐらいなねすか?」
「大体一貫目(4kg)5000円位私のところは1貫目3000円」
「うわ高!」
切原言うと、やっと柳生がしゃべった。
「天然氷ですから、それでも普通の値段でしょう」
すると二宮が、
「作るのも維持するのも難しいですね」
と言いTが、
「そうなんですよ」
と得意げに言う。
そして、いよいよ本題に入った
「それじゃあtちゃんそろそろ掘ってあげてよ」
「見たい見たい」
と、皆が期待の目で見る。
「しかしTさん本当に何もやってないな」
という、二宮の言葉にTは、
「やってるでしょ!tちゃん口説くの大変だったんだよ今日」
と言った。
「え?口説いたンすか?」
切原の質問に、Tは、
「そらまあ、色々言って、やっと言いくるめたんですよ」
そして、おがくずを掘っていくと、石が当たったような音がした。
「これは蓋氷。氷を守る為の氷です」
そして、珍しく幸村がしゃべる。
「え? これは使わないんですか?」
「はい。ですが、これ全部天然氷です」
そして、いよいよ製品となる氷が出て来た。
「うわすげー」
「超重いんだろうな~」
「クリスタルみたい」
と、皆が口々に言うと、
「tちゃんこれ、何キロぐらいあるんですか?」
「約40kgあります」
そして、製品がついに姿を見せると、
「うわキレイ」
相葉が
「これ1個3万ぐらいするんですか?」
と言うと、
「そうですね。ただ、金とかと同じで、またこの中から、良い物を選別して、1貫に削っていくの」
「はあ~」
そこへ松潤が、
「この状態では売らないんですか?」
と、聞くと、tは説明する。
「これを今度1貫に切っていく」
氷を触りながら、引率者の1人が聞く。
「これ、年によって、いい氷と悪い氷もあるんですか?」
「あります」
すると、二宮が、
「今年は?」
と聞くと、
「今年は良かったです。去年は1回しか取れなかった。今年は3回取れた」
すると、今度は幸村が、聞く。
「何によって変わるんですか?」
「温度。気温とか、気象状況とかによって変わってくるんです」
「暖冬だと氷ができず、逆に寒すぎてもダメというわけか」
「かなりの真剣勝負だな~」
蓮二と弦一郎の会話に、皆は黙って聞き入った。
その時、Tが、
「食べたいでしょ? 早速頂きましょうかtちゃんね」
「1杯800円です」
「早!」
切原が言うと、すかさずTが、
「ダメです。今日はお金はいいです」
と言うと、相葉が、
「払いますけども言わなくていいです」
というセリフに、
「tちゃん悪い人じゃないです。すごく気さくな方です」
とTが言った。
引率者が、値段を聞く。
「1杯いくらでしたっけ?」
「1杯800円です」
「言っちゃだめ。tちゃんケチに見えちゃうから」
そして、皆に食べさせる為に、氷の良い所だけを選別し、1貫に削った。
それを見た皆は、改めて、天然氷の美しさを知った。
「それではいただきましょう。え~シロップはですね、イチゴ、ブルーベリー、ハチミツレモン、抹茶あずき、練乳です。このシロップの意味が違います。例えばイチゴは、農家から日光産のとちおとめを仕入れたシロップ。ブルーベリーも、日光の専門業者から仕入れたシロップ」
「おー!」
「くー!早く食いて―!!」
と、今にもデビル化しそうな切原をブン太が抑える。
「落ち着けって、食べられるから」
「・・・・・・」
ようやくよだれを拭き、少し落ち着いた切原だが、ここでTは、
「あ~。立海の人はすいませんが、3名までしか食べれません」
「え!?」
「なんでだよ!?」
「俺達も食いてーよ!」
不満げにいう立海の皆にTが説明する。
「あの嵐のみなさんだけでも大人数で、限りがあるから、そちらも人数多いでしょ? そこで、このような箱を用意しました」
と、Tが出してきたのは、丸い穴が開いた箱だった。
「この中に、赤と青の紙が入ってます。で、赤のクジを引いた人が食べれます」
「よっしやるぞ~!」
と、切原が手を突っ込むと、早速ガサゴソしながら選び、クジを引く。
すると、赤のクジを引いた。
「はいゲットー!」
「よっしゃー!」
そして、次々に引いていくと、ブン太と弦一郎と切原が食べられる事になった。
「お、tちゃんが今手動で氷をかいてます。これ手動の方がいいんですかねtちゃん」
「そうですね。これは昔ながらの氷のかき方」
「昔はみんなこれでかいてたんだね」
「これはちょっと難しいの」
そして、氷がかき終わると、皆にそれを見せる。
「うわうまそー」
「わーキレー!」
「スゴイ」
「なんだコレ!」
そこにTが突っ込む
「まだ食べちゃだめですよ」
そして、tがとちおとめをかけると、松潤が手を挙げた。
「はい潤君なに?」
「食べたいです!」
「分かってるよ!食べたいんだよ皆!あ、まだ削ってるまだ削ってる」
「氷とちおとめ氷」
「あ、だから一杯で800円だったのか」
と、幸村が納得すると、皆が謝る。
「ごめんtちゃん」
「すみませんでした」
tはそこに、更にとちおとめをかけた。
これには皆も歓声を上げて拍手する。
ところがそこで、トラブルが起きた。
「あれあれちょっとまって、12345……アイタタタ」
「どしたん何々?」
「器が1つ足りないわ」
「え!?」
「ちょっとー!」
「立海の人は足りてるのにどういう事だよ!」
その時、引率者の1人がある事に気付いた。
「あ、あんた辞めたんちゃうの?」
「すいませんいます」
「あの皿が1枚足りないみたいなんやけど」
「持って来てよもう一枚」
「いや……もう、ないんです」
「なんで~?」
「寝てなくて」
「たるんどる!」
「ホントだよね~」
弦一郎の言葉に皆も続く。
そして、またも椅子取りゲームをする事に
結果。Tをのぞいた嵐チームだけが食べられる事になった。
そして、皆はそれぞれ氷をかき、それぞれのシロップを乗せる。
ブン太と切原はいちご。
弦一郎は抹茶あずき
そして、それぞれが食べる。
「うわめっちゃうまい。めっちゃうまいぞ」
松潤が喜びながら食べていると、
立海大の3人も食べだす。
「うわうめえ~!」
「赤也。そんなでけえ声出すなって~気持ちはわかるけどさ~」
と、隣にいたブン太は迷惑顔だが、彼も、
「う!うめえ!」
と言ってしまい、切原がジト目で見た。
そして、抹茶あずきにした弦一郎は、1人しみじみと食べていた。
「うん。うまい」
「なんか渋いッス……部長がそうやって食べてると」
「なか空気がちょっと違って見えちゃうよね」
と、相葉が言うと、
「う・・・・・・べ、別に構わんだろう。本当にうまいからうまいと言っただけだ」
これには皆が爆笑する。
「確かに。なか1人だけなんか渋い感じのする人がいる」
とまで言われてしまい、彼は赤くなりながら、氷をがっつき、突然動きを止めた。
「どした?」
「う~・・・・・・きた―――!」
「あ~頭にキーンと来たんだって」
「そりゃあんだけがっつくんだもんな~」
食べ終わると、
「次は、抹茶に練乳と行くか」
「あ、じゃあ俺もイチゴに練乳」
「あ、俺もお願いしま~っす」
と、言っている皆をジーっと見ていた。
その時、
「カラカラカラ」
と、カートが走ってくるような音がした。
「ん? なんか来るよ?」
と、相葉が気付くと、そこには、カートが4つ有り、なにやら長細い物が、何かで固定されていた。
そして、そのカートは、立海側で止まった。
「あ、チート発生」
と二宮が言う。
すると、櫻井が、房総半島の時の事を聞いて知っていた。
なぜかどこからともなくカートが現れ、その上にはすごい物が乗っていると。
「さて、せーの」
と、外れた皆が開けてみると、そこからドライアイスの冷気と共に、チョコレートソフトクリームが現れた。
「うわ、すごい!」
、相葉言うと、
「おいしそうなチート発生」
と、松潤が言うと、早速外れた皆が食べると、チョコレートビターのぱりぱりの中に、クッキークリームが入っており、コーンの部分もチョコレートでできていた。
「うわ! これめっちゃ贅沢だよ!」
「ビターの中にクリームの隠し味か。いいデータが取れた」
そこへ流石にTが、
「ちょっと~俺にも食べさせてよ~」
「だめだよ」
と言われてしまい、引率者に
「Tさんには感謝しています。良い所教えてもらって。この後どうされますか?」
「え?」
「次の所一緒に行きませんか?」
「行かねえよ普通に中野に帰ってサウナ行くよ」
と不機嫌になっているのを見て、立海の皆も嵐について行く事にした。
「えっと、立海の皆さんはどうされます?」
「あ、この後は帰ります。今後の反省会と練習とか有りますし」
「あ~そうか。大変だね。じゃあ行きましょう皆さん」
「行こう行こう」
大満足の立海のみんなと共に、山を降りた一行は、とある駅にやって来た。
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