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第10話

 十一月上旬の土曜日。俺は秋葉原駅にいた。理由はもちろん、響木との待ち合わせである。  響木からLINEで『今到着した』と連絡が来ていた。やがて、改札口から響木らしき人物が見えた。 「おはよう、根音。ごめん遅くなって」 「お、おぉ……俺も来たばかりだから気にするな」  響木の格好を見て、思わずたじろいだ。いつも、奇抜なデザインの服を着ることの多い響木であるが、今日の彼女は白のブラウスにベージュタイトスカートという普通に女性らしい服装である。  それにいつもより化粧をバッチリとしているのが俺にも分かる。 「それじゃ行こうか」 「ああ」  秋葉原駅から電気街に繰り出した。  秋葉原――言わずと知れたオタクの聖地であり、電気街にはアニメ・ゲームショップを始めとしたたくさんのお店がある。  元々は戦後に闇市が行われていた場所であったが、電気部品を販売するお店が出来始め、それに付随するような形でアニメ・ゲームショップも増え、今のような街へと発展していった。 「まずはどこに行く?」 「まずはアニメイトに行きたい」  響木がそういうので早速、アニメイトに向かうことにした。たくさんの人が行き交う中央通りを歩き、その通りにある『アニメイト秋葉原店』へと入った。  懐かしいものだ。思えばこの世界に来た一日目にこの通りの店を長時間かけてみて回ったものである。  見るもの全てが新鮮で、心が躍ったのを思い出す。  アニメイトの中は狭い上にとても混んでいた。階段で降りてくる人とすれ違いながら上のフロアへと向かう。  向かったのはCDが売っているフロアである。響木はCDを手に取り、じっくりと裏面を見つめた。 「何か欲しいCDでもあるのか?」 「いや、特にはないけど、曲作りの参考になるものがあればと思ってね」  なるほど、曲作りのために他の曲を聴くのか。曲作りに関して俺は全く分からないが、作曲者からしたら普通のことなのだろうか。 「そうか。響木は好きな曲とかあるのか?」 「あー、うん。アニソンはよく聴くし、勉強中はゲームのBGM流しながら勉強してる」 「それ、ちゃんと勉強に集中できるのか?」 「うん、結構できるもんだよ。根音は好きな曲とかある?」 「そうだな。俺もアニソンとかよく聴くな。『もってけ! セーラー服』とか『恋は渾沌の隷也』とか好きだ」 「あー、なるほどそういう感じのやつね」  そういう感じのやつってなんだ。  響木はCDを物色した後、二枚のCDを購入した。俺の知らないタイトルの曲であったが、今期のアニメオープニングの曲らしい。  アニメイトを出た後、とらのあなやゲーマーズで興味のある同人誌やゲームを物色し、俺も何冊かの同人誌を購入した。 「そろそろお腹も空いたし、どこかでお昼にしない?」 「そうだな」  どこか良さそうなレストランがないか探していると、響木は突然、ケバブ屋の前に立ち止まった。 「見て見て、根音! ケバブ屋だ」  響木は興奮した様子でケバブ屋を指差した。 「そうだな」  秋葉原に行くと毎回、見かけるお店である。しかし、実際にそのお店でケバブという食べ物を食したことはない。 「根音はケバブ食べたことある?」 「いや、ないな……響木はあるのか?」 「いや、僕もないよ。だから、気になってさ。良かったらお昼、ケバブにしない?」 「そうだな。そうするか」  ケバブ屋に赴き、各々ケバブを購入した。俺はチキンケバブ、響木は焼きチーズケバブサンドを選んだ。  近くにあるベンチに並んで座り、お昼ご飯であるケバブを食べることにした。  チキンケバブを一口食べるとカラシの辛味とほんのりと甘い味が舌鼓を打つ。初めて食べたがかなり美味しい。 「美味しいな……」 「うん、そうだね」  響木も美味しそうにケバブを食べていた。外で食べているため、少々肌寒い。 「根音、シナリオは順調?」 「正直、順調とは言い難いな……」  あれから何度かシナリオを書き直したのだが、どれもこれもイマイチしっくりこない。 「僕はボツになったシナリオも結構良いと思ったんだけどな」 「そう言ってもらえて嬉しいよ……けど、自分でも本当はあんまり手応えを感じていなかったんだ。やっぱりあいつの目はごまかせないな」  真斗は俺や響木、麻友とは違い、本物のゲーム作りのプロである。ゲーム作りに関して、あいつの言うことは正しいと信じていいだろう。 「けど、必ずあいつが納得するようなシナリオを書いてみせる。それまでは迷惑をかけるがどうか待っていて欲しい」 「うん、待つよ。それに僕も自分で作業を進めていたし」  響木は身につけていたポーチから黒色のアイポッドを取り出した。イヤホンの片方を俺の耳元に近づけてきた。 「ちょっと聴いてみて」 「分かった」  俺は片方のイヤホンを装着した。もう片方のイヤホンを響木が装着し、音楽を流した。  流れる音楽はテンポの激しいロック調のメロディ。聴いているとなんだが心が熱くなっていくようであった。 「どう?」 「良い曲だな。聴いていると心が熱くなってくる」 「そっか。これは戦闘シーンに使おうって考えてる曲だよ」  戦闘シーンか。確かにピッタリだ。  響木はイヤホンを操作し、別の音楽を流した。さっきの曲とは逆にゆったりとしたなんだかレトロチックな雰囲気を感じさせるメロディであった。 「この曲は街に到着した時の曲」 「なるほどな。俺がイメージした曲とピッタリだ」  俺が考えたゲームに登場する街は蒸気が発達している。街の建物はレンガでできているものがほとんどであり、街についた到着した時の曲はレトロ感を感じさせるような曲が良いと考えていた。  さすがは響木である。俺が作ったシナリオを基にここまでゲームの世界観とマッチする曲を作ってしまうとは。 「それじゃ、ご飯も食べ終えたところで別のお店を見に行こう」 「そうだな。どこか行きたいところはあるか?」 「えっと……コスパティオってお店に行ってみたいんだけど、いいかな?」 「ああ」  どんなお店なのか分からないが、特に断る理由もないため承諾し、響木が行きたいというお店に向かうことにした。 「こ、ここは……」 「根音はあんまりこういうお店に来ることはない?」 「な、ないな……」  響木が行きたいと言ったお店はなんとコスプレ専門店であった。  コスプレに関してはあまり興味もないため、今まで入ってみようと考えたこともない。 「響木はコスプレとかするのか?」 「いや、したことないけど一回こういうお店に入って見たかったんだ」 「そ、そうか……」  響木は少なからずコスプレに興味があるようである。お店の中には天使や悪魔、アニメのキャラクターが着ている服装など、様々なグッズが置かれている。  世のコスプレイヤー達はこういうお店に行って衣装を購入しているんだなと思いながら店の中を眺めた。 「良かったらご試着もできますのでどうぞ」  店員から試着を勧められた。店員は愛想笑いを浮かべながら俺と響木に熱い視線を送る。 「響、せっかくだし試着してみたらどうだ?」 「へ? え、えぇとそうだね……」  俺が試着するよう提案してみたが、響木はとても戸惑っているようであった。  しばらくコスプレ衣装を手に取っていた響木であったが、上目遣いでこんなお願いをしてきた。 「ね、ねぇ……良かったら根音が着る衣装、選んでくれない?」 「へ? お、俺がか……」  ふと視線を横に移すと、店員がニコニコと微笑みながら俺を見つめている。  これはとても断りづらい雰囲気である。  俺はたくさんの衣装の中から身に覚えのある衣装を見つけ出した。 「こ、これは……」  とあるアニメの主人公が着ている衣装。響木の髪的にも、これはピッタリかもしれない。 「響木、これとかどうだろうか?」  俺は手に取った衣装を響木に勧めてみた。 「根音はこういうのが好きなの?」 「好きっていうか……まぁ、そうだな」 「分かった。それじゃ着てみる」 「それではお客様、こちらへどうぞ」  響木は衣装を手に取り、試着室へと向かった。俺は試着室の前でじっと黙って、着替えが終わるのを待っていた。やがて試着室のカーテンが開いた。 「お待たせ……ど、どうかな……」  俺の目の前には金髪の軍服を着た美少女が立っていた。軍服がとても似合っている。 「彼氏さん。彼女さん、とても可愛いらしいですね! 良く似合ってますよ」 「か、彼氏じゃありません! 根音、どうかな?」 「ああ。すごく似合っていると思うぞ」 「そ、そっか……」  アニメで見たターニャ・デグレチャフ少佐にそっくりだ。髪型も似せれば、より本物そっくりになることだろう。 「良かったら彼氏さんも何か試着してみますか?」 「へ?」  店員は俺にも試着するよう勧めてきた。 「いいね、それ。ねぇ、根音。何か着てみなよ!」 「い、いや俺は……」  響木は軍服を着たまま、俺に着せるべき衣装を探し出した。 「これなんかどう?」  響木が俺に差し出したのは赤いポロシャツに黒いズボン、そして黒いマントであった。 「これも何かのアニメの衣装か?」 「うん、そうだよ。『はたらく魔王さま』っていうアニメのコスプレのね」  はたらく魔王さまか……見たことはないが気になることがあった。 「ちなみにそのコスプレ……魔王さまが着ているものか?」 「へ? あ、うん……そうだけどそれがどうしたの?」  どうしたもこうしたもない。架空の魔王さまとはいえ、この俺が魔王様のコスプレをするなど、あまりにも恐れ多すぎる。 「悪いがそのコスプレは無しだ。この俺が魔王なんて恐れが多すぎる」 「そ、そう……? それじゃ、これはどう?」  響木から受け取ったのは銀髪のカツラに白を基調とした和服に一振りの木刀。 「これは何のキャラクターだよ?」 「銀魂の銀さんだよ」 「銀魂……?」  タイトルだけは聞いたことがあるが見たことはなかった。 「知らないの? ジャンプで連載されてた漫画で、かなり人気があるんだよ」 「へぇ……主人公はお侍なのか?」 「そうだね」  侍――古くにこの世界にいたとされる剣を持って戦う者。創作でも出ることがあるが、侍同士の戦いはとても漢らしくてかっこいいものである。 「そうか。ではこれを着てみるとするか」  俺は衣装を持って試着室へと向かった。 「ど、どうだ?」  試着を終えた俺は、早速響に見てもらうことにした。コスプレした俺の姿を真剣な様子で見つめていて、なんだかとても落ち着かない。 「うん、似合ってるよ。根音、銀髪がやけに様になってるね」  元々、銀髪だったからな。この世界に来てから、バイトの面接を受かりやすくするため、黒髪に変えたのである。 「ねぇ、写真撮ってもいい?」 「え? あぁ……」  俺が承諾すると、響木はスマホを取り出し、何枚か写真を撮った。写真を撮るのを止めると、響木は顔を赤くし、少し恥ずかしそうな表情で、 「い、一緒に撮っても良いかな?」  とお願いしてきた。 「ああ、良いぞ」 「それじゃ、私が撮影します!」  店員は嬉々とした様子でスマホでの撮影を申し出てきた。響木はスマホを店員に渡し、俺の隣に並んだ。  俺の隣にはターニャ・デグレチャフ少佐の格好をした響木がいる。 「それにしても本当にターニャ少佐にそっくりだな」 「や、やめてよ根音……恥ずかしいからさ」 「それじゃ撮りますよ! はい、チーズ!」  シャッターを切る音が響いた。 「彼氏さん、もっと笑ってくださーい!」 「は、はい……」  ダメ出しされてしまった。笑う、笑うか…… 「こ、こうかな……」 「う……わ……根音、なんかすごく薄気味悪い笑いだね」  何気にひどいなこいつ。 「それじゃ、もう一度撮りますよ、はいチーズ!」  写真を撮り終えた後も俺と響木は何着か試着し、お店を後にした。 「コスプレ、なかなか楽しかったね」 「そうだな。貴重な経験だった」  コスプレか……ゲームに生かすことはできないだろうか。 「そろそろゲームセンターに行く?」 「ああ、ついに真のラスボスを倒すんだな?」 「うん! 昨日、対戦動画をたくさん見てきたからシミュレーションはバッチリだよ!」  戦い前にシミュレーションをしてくるとは、さすが響木。戦い方を心得ている。  電気街にあるゲームセンター『Hey』の中へと入った。  このゲームセンターは腕の高いゲーマーが集うことで知られている。  秋葉原の中でも充実した数のゲーム台が設けられており、アーケードゲームは勿論のこと、昔懐かしいレトロゲームなども設置されている。  エスカレーターを使って二階に上がるとすぐに『怒首領蜂最大往生』のゲーム台を見つけた。  響木はゆっくりとゲーム台の椅子に腰を掛けた。  腰に付けてるポーチから水を取り出し、それを少し飲むと、腕を伸ばした。  戦闘準備をしていると言ったところだろうか。 「なんか俺も緊張してきたな……」 「一回でクリアしてみせるから見ててね。後、ゲームが始まったら一言も話さなくなると思うから」  顔は笑っているが、目がガチである。これは本物のゲーマーの目だ。 「いや、気にするな。俺も集中力を乱さないように黙って見てることにするよ」 「いいよ、そんなに気を使わなくても。それじゃ、プレイするね」  響木は百円玉をゲーム台に投じた。操作する機体を選び、いよいよゲームが始まった。  数日前に見た時と同じかそれ以上の操作で次々と敵をなぎ倒していく。  大量の弾幕もスイスイと避けていき、全く被弾してく様子はない。 「相変わらずすごいな……」  そう呟くも、かなり集中しているのか、響木は無反応であった。  俺がネットで調べたところによると、真のラスボスと戦うためには条件を満たす必要があるらしい。  かなり厳しい条件であり、上級者レベルでもほとんどのプレイヤーは真のラスボスのところまで辿り着くことすらできない。  ふと後ろを見ると、響木のプレイに注目している人が集まっていた。全員、固唾を飲んでゲーム画面を見つめていた。 「す、すごい上手いなあの子……」 「ああ、まさか『隠蜂』と戦うつもりなのかな? 未だ誰もノーコンクリア者がいないというあの……」  やがて、真のラスボス前の敵を倒した。ここまでダメージを一つも受けていない。見ていた人たちは「おお!」と歓声を上げた。  ――より強力なエネルギー波をキャッチ。来ます! 「来たか……」  ――人類がより高みに到達するため、まずその肉体が不要なのです。計画の邪魔者は全て排除いたします。  画面上にツインテールの髪をした美少女が現れた。  数日前、響木が倒した敵は『陽蜂』と呼ばれるキャラクターで、今、画面上に現れているこのキャラクターは『隠蜂(いんばち)』と呼ばれるキャラクターである。  姿は陽蜂と瓜二つであるが、某百科事典によると、陽蜂とは別人らしい。  余談であるが、陽蜂も隠蜂も先ほど響木がコスプレしていたターニャ少佐と中の人が一緒である。  荒々しいBGMと共に戦闘が始まると、陽蜂のものよりさらに激しい弾幕が出現した。 「うわ! なんだあの弾幕! あんなの避けれるわけが……」  見ていた観客の一人が叫んだ。  気を抜けばあっという間に被弾しそうな量の弾幕であるが、響木はこれを驚異的な動体視力と反射神経で交わした。  さらに次々と激しい弾幕を隠蜂が繰り出す。瞬きすら許されないほどの量とスピードで放たれる弾幕であるが、辛うじて響木は避けている。  しかし、途中で一度被弾してしまった。  ――頑張っても……結局ダメだったわね。  プレイヤーを煽るかのようなセリフを吐く隠蜂。しかし、残りの隠蜂のダメージ量的になんとか倒せそうである。 「もう少しで倒せそうじゃないか?」  観客の一人がそう呟いた。いや、ここからが本番だ。隠蜂はツインテールの美少女姿から、蜂の姿へと変化した。俗に言う第二形態と呼ばれる姿。  ――終わりだ。死ぬがよい! 「な、なんだこりゃ!」「無理だろこんなの!」「どう避けろって言うんだ!」  何人かの観客が叫んだ。俺も最初に動画で見たときはとても驚いた。画面の九割以上を覆い尽くすまでの圧倒的な量の弾幕。  まるで洗濯機のように回転しながら繰り出される青色の弾幕とファンから『ふぐ刺し弾』と呼ばれる色鮮やかな弾幕の同時発射こそ、隠蜂が『人類にはクリア不可能』と呼ばれる所以である。  この激しい攻撃を『発狂』と呼ばれているのだが、一部の人外様が第二形態になるまで追い詰めても、この発狂を避けきれず倒されてしまうのである。  ――頑張っても……結局ダメだったわね。  響木も何とか避けようと試みてはいたが、被弾してしまった。互いの残りのHPと残機は僅かとなった。  響木の表情は苦悶に満ちている。 「頑張れー!」  見ていた観客から次々と応援の声が飛んだ。 「そうだ頑張れ!」「クリアしろ!」「人類初のクリアはすぐそこだぞ!」  さらに次々と響木を応援する声が増えていった。みんなが響木の勝利を願っている。  そうだ……俺も応援しよう。俺の応援など大した意味はないかもしれないが、それでも何もしないよりは良いだろう。 「頑張れ。響木!」  響木は睨みつけるように画面を見つめた。集中力が先ほどよりも増したのがこちらにも伝わってくる。  響木は後一回でも被弾すれば負けである。そんな極限状態の中で響木は神業とも呼べる操作で僅かな弾幕の隙間を通り抜けていった。 「す、すげぇ……」「この人、人類じゃないよ……」「天使様だ……」  ついには天使扱いされた。 「これで終わりだ。死ぬがよい!」  強力なレーザービームを隠蜂に発射する。ついに隠蜂のHPが0になった。  ――こっちでは、ないのか……うぁぁぁぁ!  耳が痛くなるような断絶魔と共に、隠蜂の姿が消えた。響木はクリアし、気が抜けたのか「はぁ……」と大きくため息を吐き、ゲーム台に突っ伏した。 「お疲れ、響木」 「うん、応援ありがとう」  あんだけ集中していたのに俺の応援が聞こえていたのか。すると、見ていた観客が響木に盛大な拍手を送った。 「響木さん、すごかったです!」「こ、このクリア動画ツイッターに上げても良いでしょうか? 『天才美少女ゲーマー、人類にクリア不可能と呼ばれたゲームをクリア!』ってタイトルで!」 「響木さん! いや、響木様! 是非ともサインをお願いします!」 「ちょ、ちょっと何この人だかり!」  観客には気づいていなかったのか? 観客への対応を済ませ、そそくさとお店を出ることにした。  お店の外に出ると、外はすっかりと薄暗くなっていた。響木はそろそろ門限の時間が迫っているということで、駅に向かうことにした。 「今日は楽しかったよ。ありがとう、根音」 「いや、こちらこそ……良いものを見せてもらったよ」 「えっと、その良いものっていうのは……コ、コスプ……」 「さっきのプレイ。本当にかっこよかった! おかげでいいシナリオが書けそうだ!」 「あー……そっか。うん良かったね」  なぜか突然、響木は不機嫌そうな態度を取り始めた。 「えっと、響木さん。なんか怒ってます?」 「怒ってないし、ってか響木さんって何?」 「さっき、ゲームでそう呼ばれていたからな」 「やめてよ! もう……まぁ、いいや。それじゃ根音、またサークルでね」 「ああ。またな」  こうして、俺は響木と別れ、家に帰ることにした。 「またサークルでか……そのためにはまず、あいつに勝たないとな」  今日のおかげでヒナギクに勝つための作戦を思いついた。必ずまたこの世界に無事で戻ってきてみせる。
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