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第6話

 昨日の戦いから一夜明け、俺はいつも通りに学校に登校した。学校に到着するとなぜかクラスメートたちがざわざわとした様子で友人たちと会話をしていた。  何かあるのだろうか?  すると、先生が教室に入ってきた。 「えー……今日から転校生がやってきましたので皆さんにご紹介したいと思います」  転校生? なるほど、それでクラスメートたちの様子がおかしかったのか。それにしても転校生ね。  クラス替えがあったばかりだし、まぁ馴染みやすいかもしれないな。 「し、失礼します……」  その転校生が教室に入ってきた。 「な……」  俺は驚きのあまり絶句した。なぜかというとその人物に見覚えがあるからである。 「初めまして! シトラスと申します! ロシアからきました」  なんと転校生はシトラスであった。びっくりして思わず時が止まったかと思った。別に俺が能力で時を止めているわけではない。  どうやらシトラスはロシアからやってきたという設定らしい。  シトラスを見たクラスメートたちが口々に「うわー!」、「かわいー!」、「超美人ー!」どと言って盛り上がった。  そんなクラスメートたちを先生がパンパンと手を鳴らして諌める。 「こらこら! みんな静かにしなさい! それじゃ、シトラスさん。あの席に座ってちょうだい!」 「はい!」  シトラスが俺に隣の席にやってきた。先生が指定した席はよりによって俺の隣の席であった。  シトラスは着席し、俺を一瞥し、 「これからよろしくお願いします。慎さん」  と可愛らしく微笑んできた。  全く……これからの学校生活、気が重くなるな。  四限目の授業が終わり、お昼休みの時間となった。シトラスの周りにはたくさんの人が集まっていた。周りに集まる生徒たちは「趣味は何?」だの、「部活何する?」だのたくさん質問をぶつけていた。  俺はそんなシトラスを横目にお弁当を持って生徒会室に向かうことにした。  生徒会室に入ると、すでに泉さんが椅子に座ってお昼ご飯を食べているようであった。 「お疲れ様です」 「あら、慎くん」  俺は基本的に昼休みに生徒会室にやってきて、生徒会にメンバーと一緒にお昼ご飯を食べている。 「慎くん。どう? 授業の方は」 「ええ。一年の時よりも授業の難易度が上がったと思います。けど、なんとかついていきたいと思います」 「そう。頑張ってね。もし分からないところがあれば私も協力するから」 「はい!」 なんと頼れる先輩なのだろうか。そう感心していた時、亜希子が慌てた様子で生徒会室に入ってきた。  激しく息を切らしながら亜希子は俺の元に詰め寄ってきた。 「ちょっと! なんなのあの美人転校生は?」 「あ、亜希子……どうしたんだ?」 「あんな美少女が来るなんて聞いてないよ!」 「俺も聞いてないけどな」  シトラスがどうして亜希子はこんなに慌てているのだろうか。まさか、亜希子も宇宙人だったりして……なんてそんな訳はないか。 「あんな美少女が来たら……ぜったいなびいちゃうし……」 「は?」 「い、いや! なんでもない!」  こうして三人でお昼ご飯を食べることにした。ゆったりとしたこの時間が一日の学校生活の中で一番好きだったりする。 「そうだ、二人とも。昨日言った箱根旅行の件なんだけど……」  泉さんが箱根旅行のことを話そうとした時だった。入り口の方から『コンコン』というノックの音が聞こえてきた。 「誰かしら……」  泉さんは入り口の方へと向かい、扉を開けた。 「失礼します」  俺は心臓が張り裂けそうなくらいびっくりした。なんと、生徒会室にやってきたのはシトラスであった。 「あら、あなた……」 「あー! 転校生!」  亜希子がシトラスを見た瞬間、指を指して大声を出した。 「初めまして! シトラスと言います! よろしくお願いします!」  ペコリとシトラスが頭を下げた。 「こちらこそ初めまして。三年の一関泉です」 「私は浄土ヶ浜亜希子! よろしく……ってか、なんで生徒会室に?」  亜希子からの質問を受けると、シトラスがなぜかバツが悪そうな表情で銀色の髪の毛をいじり始めた。 「実はお願いがありまして……」 「お、お願い?」  一体、何をお願いするつもりなのだろうか。気になった俺は思わずその場から立ち上がった。 「はい。私を生徒会室に入れて欲しいんです」  な、なんだと……シトラスが俺の方を見ると勝ち誇ったかのように微笑んだ。こいつ、俺に近づくためにわざわざこんなことを?  確かにシトラスならやりかねない。現にこうして転校という体でやってきた訳だし。 「なるほど。分かったわ。それじゃ、とりあえず今日の放課後、生徒会室に来てくれるかしら?」 「はい! よろしくお願いします!」  これは気が重い。そして、なぜか亜希子からは怒りのような感情が伝わってきた。理由は不明だが、シトラスが入って欲しくない理由でもあるのだろうか。
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