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第4話

 すると、画面が切り替わりマイクを持ったアナウンサーがカメラ目線で事件の状況を伝え始めた。  アナウンサーの前にはたくさんの野次馬たちがスマホを持っている。 「ご覧ください! あちらに見える建物から大きな炎が吹き出しています! 十分前に原因不明の爆発が起こり、現在、消防士の方々による消化活動が行われておりますが、他の建物からも原因不明の爆発が起こっており、消化活動が追いついていない状況です。うわ!」  ちょうど、アナウンサーから近くの建物で爆発が起こった。呑気にスマホで撮影していた野次馬たちも慌てた様子でその場を逃げ出した。 「もしかしたら……宇宙人たちの仕業かもしれませんね」  真剣な表情でニュースを見つめていたシトラスが言葉を発した。 「ま、まじか?」 「ええ。あんなに不自然な爆発が起こるなんておかしいです! 私の知っている宇宙人の中に爆発を操る宇宙人を知っています! ちょっと私、現場に行ってきます!」  シトラスは立ち上がり、リビングから出て行った。 「お、おい! シトラス!」  止める間もなく、シトラスは現場に向かった。しょうがない。 「詩織。俺もちょっと行ってくる」 「お兄ちゃん! 絶対に危ないよ! 私たちが行っても邪魔になるだけだよ!」  詩織の意見ももっともだ。ここはシトラスに任せておいても問題ないのかもしれない。 「かもな。だけど、このまま放っておけるか。行ってくる」 「待って! それじゃ、私も行く!」 「ダメだ。お前はここにいろ。絶対に帰ってくるから心配するな」  しばらく不安そうな表情を浮かべていたがやがて、 「分かった。気をつけてきてね」  と俺が一人でシトラスを追うことを承諾してくれた。 「ああ。それじゃ行ってくる!」  俺はシトラスが向かった現場へと向かった。遠くに黙々と黒い煙が空へと向かって登っているのが目に入った。  走る足に力を込め、急いでシトラスの元へと向かう。しばらくの間、走っていた俺であったが、ようやく事件現場の近くと思われる場所に到着した。 「はぁ……ここか?」  俺の数メートル先に『keep out』の文字が書かれいているテープが引かれているのが目についた。  さすがに危険だと判断したのか民間人はほとんどおらず、警察や消防士が忙しく作業をしていた。  そんな中でひときわ目立つ銀髪の少女が目に入った。  シトラスだ。手には交尾成功率測定器を持っており、無表情で画面を見つめている。  ふむ……こんな時になんだが、こうして俯瞰でシトラスを見ると、残念さが消え普通に美少女に見える。 「おい、シトラス!」  俺は手を振って、シトラスに話しかけた。 「ま、慎さん! どうしてここに!?」  俺に気づいたシトラスは目を丸くし、驚いたような様子を見せた。 「心配でついてきたんだよ」  するとシトラスはいきなり俺に抱きついてきた。 「ちょ……シトラス!」  な、なんか甘い良い匂いが……それになんだか胸に柔らかい感触がするんだが……っていうか、それどころではない。 「慎さん! なんて優しいんですか! あなたはやっぱり運命の人です!」 「は、離れろ!」  シトラスの肩を掴み、強引に抱きつくのを拒否した。 「むー……」  引き離すとシトラスは不服そうに頬を膨らませた。 「それよりも、爆発を起こしている宇宙人は見つかったのか?」  俺が訊くとシトラスは首を横に振った。 「いえ、見つかっていません。この測定器で一人一人調べてはいるんですが……」  一人一人をこの測定器で調べていたら埒が明かないだろう。 「そうか。何かこう……宇宙人が発するオーラってか気みたいなもので分かったりはしないのか?」 「ド◯ゴンボールじゃあるまいし、私にはそんなことできませんよ。それに宇宙人も地球人です!」 「いや……地球人も宇宙人の間違いだろう」 「そうでした! てへっ!」  シトラスはペロッと舌を出し、コツンと自分の頭をこついた。なんかちょっとイラッとする仕草である。 「何か良い方法はないものか……」  俺は人の心を読み取る能力がある――といっても、人の深層心理を読み取ることはできず、嬉しい楽しい悲しいという感情くらいしか読み取ることはできない。  例えば向こうにいる警察官は憤りのような感情を抱いている。  俺の近くの無精髭を生やしたカメラを持っている人はネタができて嬉しいのか、喜びのような感情を抱いている。実に不謹慎極まりない。  爆発を引き起こしている宇宙人がどういう感情を抱いているかなんて分かる訳が……いや、待てよ。 「シトラス!」 「はい?」  俺はシトラスにとある作戦を耳打ちした。 「な、なるほど……試してみる価値はありそうですね!」  俺の作戦を聞いたシトラスは人目がつかない物陰に隠れてもらった。  そして―― 「宇宙人! いるんだろ! お前が爆発を引き起こしていることはまるっとしれっとお見通しだ! 観念して出てこい!」  シトラスの大声が近くの人間の耳に届く。声が聞こえた方向に俺を除く人間が視線を移した。  大抵の人間から伝わってくる感情は困惑や呆れという感情であった。  しかし、一人の人間――俺の近くにいた無精髭を生やしたカメラを持った男から恐怖を抱いているという感情を読み取ることができた。  俺は測定器を奴に近づけ、画面を確認した。  『クスプロジン』  画面にはそう記載されいてる。ビンゴだ。この人物こそ近くで爆発を引き起こしていた張本人。  一度、そいつから距離を置き、シトラスが戻ってくるのを待った。 「慎さん! 見つかりましたか?」 「うわ!」  いつの間にか背後にシトラスが立っていた。びっくりして心臓がバクバクと激しく脈を打っている。 「お前な……驚かすなよ」 「すみません。それで見つけることはできましたか?」 「ああ、あのカメラを持った男が宇宙人だ」  シトラスは訝しんだ様子でその男を見つめた。 「ちょっと測定器見せてくれますか?」 「ああ」  俺はシトラスに測定器の画面を見せた。 「クスプロ人。やはりそうでしたか」 「よし、シトラス。早速、あいつを捕まえるぞ」  俺はクスプロ人という宇宙人に近づこうとした。すると、シトラスがそれを止めるように俺の腕を掴んだ。 「どうしたシトラス?」 「慎さん。下手に攻撃すれば被害が多くなります。あいつを人気のない場所に誘導しましょう」 「そんな……どうやって」  爆発させる能力を持つ宇宙人をそう簡単に人気のないところに誘導できるとは到底思えない。 「私に考えがあります」  シトラスは自身が考えた作戦を俺に耳打ちした。
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