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二人の未来

 手錠を外されたクロスはベッドに座って手首を触りつつ小さく息をつく。隣にはルイが座って身を寄せ、メアリもカードに戻ったもののルイを通して同じものを感じ取る。 「……どうして、一人で去ったんだ」 「……エックスと別れた事の整理をしたかった。それだけは、俺一人で決着つけなきゃならなかったからな」  エックス……クロスが幼い頃より共にいた火竜ファイアードレイクの名前。常にエックスと共に進み、戦い、喜びも悲しみも分け合った家族のような存在。  旅の中で幾度も死闘を繰り広げ、その果てに……世界の命運をかけた戦いで勝利したエックスは新たな世界を創世する神となり、旅立った。  喪失感がどれほどのものかは想像もつかない。わかっていてもショックは大きく、だが乗り越えなければならないもの。  ルイが膝に置いた手を握ったクロスも身体を寄せて目を閉じる。整理がついてもなお空虚さがあったものの……彼女が探しにきたことで、ようやく安堵できた、そんな気がしたから。 「これからあなたはどうするの?」 「さぁな……ようやく気持ちの整理がついて何も決まってない。ルイは、どうなんだ」 「私の答えは決まっているさ。あなたと、これから先の未来を見ていたい……傍でずっと、いつまでも」  自然と顔を合わせて唇が重なり合う。身を寄せあって温もりを感じ、鼓動と息遣いを共有して……二人は想いを重ね合いながら、これからの未来予想図を二人で描き始める。 ーーー  それからは二人で行動していた。世界を二人で見て回りつつ、クロスはかつての仲間(アセス)達を再び集めて……描いた未来予想図の為にできる事を、その為にまず世界をより理解しようと。  その中で、ルイの身体に宿った小さな命。かつてクロスに召喚札師(リスナー)の力の使い方を教えた人物を頼り、無事に対面する事ができた。  家族というものができてからはルイとクロスもより未来を意識する。いつか自分達の子供や、その子供が大人となった時に……幸せで、平穏に暮らせる為には何ができるのかを。    風の噂でワンド達も頑張っていると耳にしてからは、あえて彼らと連絡を取らずにいた。そんな事をしなくてもお互いに繋がっているとクロスが言ったこと、そしてルイもそれはよく分かっていたから。  クロスの師もそれを汲んで連絡する事はなく秘匿してくれた。曰く、驚いた顔を見るのも面白いだろう、と。  世界を三人で旅をするようになり、カイと名付けた娘も健やかに成長していき……命運をかけた戦いから六年が経った。
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