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彼への想い

 エレメンタリスは広い。その中でただ一人の存在を見つけるのは困難を極める。  今までの旅の足跡を辿りながら各地をルイは一人回っていた。道中、女性一人という事で絡んでくるものもいたが全て返り討ちとし……ただ一人を探す。  自分がここまで誰か一人を探そうとは想像もつかなかった。そしてそれは、クロスという一人の人物を、心から愛してしまっているから……その事は、わかりきっていた。 ーーー  一人旅を始めて二ヶ月が経過、何一つクロスの足跡も見つけられずルイは森で一人野宿をする。大木の根本に座って身体を寄りかからせ、木々の合間から覗く星空を見て小さく息をつく。 (クロス……あなたは何処へ行ったの? あなただって、本当は……)  目を閉じると彼とのやり取りが鮮明に思い出せる。最初は、満足に戦えない自分を気にしてくれていたのに反発したり、疑心暗鬼的に距離を取っていた……だが彼が身を削ってでもワンドを守ろうとする姿を見ている内に、自分と同じものを持っているのを感じた。  決して弱音を吐かずに一人で背負ってでも役目を果たそうとするクロスを、支えたいと思えるようになり……彼もまた、自分を支えてくれた。  お互いに支え合い、助け合い……弱さを見せられる間柄。二人きりの瞬間が、お互いに永遠に続くのを思える程に。  ルイはクロスが一人で去った理由を理解していた。最後の戦いで……彼は大切な仲間(アセス)と別れを選択したのはワンドから聞いていて、その事に対して考える事があるのだと。  そしてそれを仲間にも気を遣って一人で去ったのだと……良くも悪くも彼らしいと思いつつも、だからこそ、一人にさせないと決意ができた。 (ルイ殿、今日もかなり疲れただろう。早く寝るといい) (恋する乙女になるのは構わねぇがその為に休むのも大切だぜお嬢さん) (ヒイラギ、モミジ、心配しなくていい。私がこう想っている限り、彼との繋がりは切れることもない……きっと、クロスも同じように空を見て同じ事を、想ってくれているから……)  自身の仲間(アセス)達に心で答えてルイは目を閉じる。奇しくも彼女の言うようにクロスも別の場所にて野宿をし、星空を見つめながらルイの事を考えていた。  黒髪に赤い目を持つ青年クロス……黒のジャケットを毛布代わりに被って岩場に寝そべり、静かに目を閉じ眠りにつく。
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