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▶ 初回レッスン「ステータス調整・力比べ」

―――――――――――――――― ―――――――――――――――― ■ レッスンルーム ■ ―――――――――――――――― ―――――――――――――――― 次は、『ステータス調整』という、ステータスを変更する能力について教えてもらう事にした。 素の状態のみんなの事をもっと知りたいと思ったので、とりあえずキャラメイクとロールプレイは解除して元に戻ってもらった。 ユイナ「ステータス調整は、簡単に説明すると、ステータスを任意に調節して、力をアップさせたり、早く走れるようにしたりできる能力です」 まずは、ステータス調整をしていない元の強さを知っておきたいと言うと、アリスが目を輝かせて意気揚々と手を上げる。 アリス「はいはいはーい! アリスが相手してあげるわ! ステータス調整なしでも勝てるか、やってやろうじゃないの!」 お互い両手を組み合わせて、押し合う体勢を取る。 バーチャルドールの通常時のステータスは、システィさんが『同じ年くらいの人間の女の子』を分析して平均値くらいに調整していると言っていたなと思い出す。 サーヤ「レディー! ファイト!」 合図と共に、ぐっと力が加えられる。 アリス「人間の力を見せてみなさいよー!」 見た目通り、アリスの力はそれほど大した事はなく、手加減しても押し負ける事はない。 アリス「ぐぬぬぬぬ……!!」 アリスの方は全力らしく、私に頭を押し付けて3点で押しながらぷるぷるしていた。 サーヤ「はい、そこまで~♪」 アリス「きぃーっ!! 悔しいーーっ!! 後で見てなさいよー!!」 悔しさを体いっぱいに表現するかのように、ダンダンと地団駄を踏んだ後、私を指さして啖呵を切った。 ユイナ「マスター、私の言葉を復唱してみてくださいね。『スタータス調節・対象アリス』『ウィンドウ・オープン』」 ユイナの言う通りに復唱すると、私の目の前に、アリスのステータス調整のウィンドウが表示された。 文字やら数字やら、メニューやらがたくさん並んでいる。 教えてもらいながら、なんとかアリスのパワーを調整する画面に到達する。 複雑なため、これは勉強が必要だなと感じた。 アリス「ここに設定しなさい、ここ」 ウィンドウのゲージをトントンと指さす。 私は素直にアリスの言う位置にゲージを動かそうとしたが、サーヤとシズクが同時に私の手をとめて、元の位置から少し上げたくらいの数値にする。 サーヤ「少し上げるだけで充分よ」 シズク「上げすぎると、マスターのアバターは無事では済まなくなるぞ」 アリス「なによ~! ちょっと力の差ってやつを見せつけてやりたかったのに」 サーヤはともかく、シズクは人をからかったりふざけたりするような子ではないので、疑う事なく言う通りにする。 アバターが重度の損傷や完全破壊状態になった場合、バーチャルスフィアのログイン維持ができなくなるため、『現実世界に強制的にログアウトされる』だけで、アバター内の人間がケガをしたり死ぬわけではない。 損傷したアバター以外に手持ちのアバターがなければ、修理が終えるまでバーチャルスフィアにはログインできなくなってしまうというだけだ。 ただ現在のアバターは、ミコトさんとシスティさんに用意してもらった借り物のアバターなので、むやみに壊してしまうわけにはいない。 ユイナ「ステータスの調整が済んだら、右下にある『OKボタン』を押して、システィに申請してくださいね。申請されたステータスは制御可能かどうかや、安全面などからシスティが判断して承認するんです」 OKボタンを押すと、瞬時にウィンドウ上に『承認完了』という文字が表示される。 ユイナ「『ウィンドウ・クローズ』と言うと、ウィンドウが閉じますよ」 復唱してウィンドウを閉じた。 アリス「さぁ、マスター! もう一度勝負よ。今度は私が手加減してあげる番ね」 先ほどと同じように、お互い両手を組み合わせて、押し合う体勢を取る。 サーヤ「レディー! ファイト!」」 言うほどあまり強くないなと油断していると、じわじわと少しずつ力が強くなっていく。 アリス「人間がどれくらいの力まで出せるのか興味があるわ。全力を出してみなさい」 アリスは余裕の表情で笑う。 もうすでに本気でやっているのだが、アリスの見た目からは想像できないほどの強い力で、まるでゆっくり迫ってくるトラックを押し返してるようなあらがえないほどの圧倒的な力の差があった。 サーヤ「勝負あり。そこまでよ、アリス」 耐えられなくなり、私が2,3歩後ろに下がった所で勝敗が決した。 アリスは、ふふんっと満足そうに笑う。 ステータスを少し上げただけでこれほど変わるのなら、さらに上げていたらどうなっていたのか、想像すらできなかった。
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