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第二章四節

 召喚札師(リスナー)のカードの購入方法は主に二つとなる。一つはカードを指定して購入する方法、確実に目当てのそれが手に入るが値段は高くついてしまうデメリットがある。  そしてもう一つがランダムにカードを封じたセレストストーンと呼ばれる小さな石版を買うという方法。こちらはストーンの色や店の傾向で呪文(スペル)道具(ツール)戦場(ホーム)の三種のカードがランダムに入っていて店員が専用ハンマーで割るまで中身はわからないが、直接購入より安価で済む上に運さえ良ければ高額カードも手に入る可能性もある。  他の召喚札師(リスナー)よりカードを譲渡されたり、交換したり、また賭け札としたり……無論、腕試しの大会の商品という事もあるが、その為の一番最初はセレクトストーンからカードを得る事だ。  ワンドの案内で混み合う客をかき分けてアマツは召喚札師(リスナー)のカード販売店へ突入。セレクトストーンの特売日ということもあり普段より混雑してるらしく、狭い店内に寿司詰め状態で血眼となって目当ての物を奪い合う召喚札師(リスナー)達の姿を店の向かいにて見守るのはフィンとワンドの二人。   「すごい人ですね……アマツの奴、大丈夫かな……」 「彼の使う二重札(ツヴァイカード)と相性がいいカードはここでしか取り扱ってないからね。セレクトストーンも良いカードが出やすいから人気なんだよ」  ワンドが案内したのは広場より西側へ進み、いくつかの路地を通り抜けた場所にある露店街。そこにある狭い建物のカード店は特定の属性、特定の種類といったような専門性の強いカードを取り扱う店が並ぶ。  二重札(ツヴァイカード)は扱いこなせる召喚札師(リスナー)の少なさなどから、それ専用呪文(スペル)というのはまず手に入らない。だがこの店ならば見つかると薦めるとフィンの分も買ってくると言ってアマツは人の壁へと突っ込んで行った。  店外では苛立った召喚札師(リスナー)同士が喧嘩を始めそれを他の者が止めに入る姿、ふらつきながらも寿司詰めから脱出しカードを買えて安堵する者、様々な客模様が目に映る。 「いてて、踏むなって!こんの……邪魔だ!!」  一瞬人混みが膨張したかと思うと外へ向かって十数人の召喚札師(リスナー)が弾き出され、髪と服を乱しつつも左手にカードの束を握り締めるアマツが姿を見せて店外へ。そのまま喧嘩となる……ことはなく、弾き出された召喚札師(リスナー)はすぐに店へと駆け込み、我先へとカードを手にせんと必死に前へ前へと詰める。 「まったくひどい目にあったぜ……」  ため息をつきながらフィンの前に来たアマツは手にする束からいくつかのカードを引き抜いて並び替え、およそ半々に分けた所で半分をフィンに手渡して受け取らせた。残りは自分のカード入れへと入れ、ふうと息をつくとワンドに目を細めつつ向けた。 「ありがと……って言いたいっすけど、もう二度とあの中には行きたいと思わねぇ」 「それが普通だよ。ふふっ」  さらりと微笑むワンドはアマツの行動を見て楽しんでいるようだった。掌で踊らされた、というのは言い過ぎだろうが、アマツはワンドの思うように事が運ばれてる気がして少しイラッとしつつ、新たに手にしたカードのおかげで戦い方が増えたのもわかっていた。 「さ、次は何処に行こうか」  そう言ってワンドは次の向かう場所へと二人を連れしリックランプの人の海へと繰り出す。別の店では召喚札師(リスナー)専用の装飾類を見たり、また別のところでは小さな大会が行われていたのでアマツがこれに参加して優勝商品のカードを手にしたり……楽しみながらカードを揃えていき、やがて向かったのはリックランプ南西部にある宿屋街・召喚札師(リスナー)の休息所と呼ばれる場所だった。
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