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第一章十節

 戦闘終了と共に円環(サークル)が消えて行き、観戦していたフィンが足早にアマツの元へ、ワンドもハントを肩に乗せてその後についてくる。  アマツはゼクスをカードへ戻してカード入れへ、フタをしてからフィンの方に目を向けビシッと勢いよく左手で指差しし彼女を指す。 「ちゃんと勝ったぞ!」 「はいはいお疲れ様。いい加減ゼクスのしつけしたら?」 「それは……頑張る」  呆れつつもフィンはアマツの勝利を嬉しく感じ、アマツもまた今後の課題について頭を悩ませる。リンドヴルムのゼクスを制御できるようになる事、召喚札師(リスナー)として仲間(アセス)の思いを汲むのは当然ながら、同時に抑えてやる事も大切な事。  そしてこの勝利はあくまでも第一歩、扉を一つ開けたに過ぎない。そう思うと気を引き締める。 「お疲れ様、いい戦いだったよ」 「見ててくれてありがとな、あんたのおかげで試験も無事受けられたようなもんだし……」  遅れて来たワンドが微笑みつつアマツを労い、目を合わせながら話をしているとゆっくりと歩いて来たケビンに気づき、三人は目を合わせた。 「試験は合格だ。それから……ワンド君も久々だね」 「突然の提案を聞いて下さり感謝していますケビンさん」  穏やかに話すワンドとケビンが知り合いというのにアマツとフィンはやや驚き、経緯を訊ねるよりも先にワンドが遮るように話を進める。 「僕の師匠にあたる人がディバイダースの長官なんだ。それでケビンさんとも知り合いで、今回君の実力見たいから頼んだんだ、ごめんね」 「そうだったのかよ。でも強い相手のが倒しがいあるから別にいいさ」  さらりと話したワンドの話をいつもの流れでアマツは会話する。が、直後にワンドの師匠がディバイダース長官ということに引っかかり、フィンと目を合わせてからワンドが普通の召喚札師(リスナー)ではないのを改めて実感し、驚愕の声をあげかけたがすっと手を前に出したワンド本人に制止される。 「僕はただの召喚札師(リスナー)だよ。君達と同じ、目標に向かって頑張ってるってだけなんだ」  ただの召喚札師(リスナー)。本当にそうなのか確かめたい思いがアマツの中にこみ上げてくるが、何故かそれを口に出す事ができず、ワンドの不思議な雰囲気……とても穏やかで落ち着くものが闘争心を鎮めていた。  それはフィンも同様。多くの召喚札師(リスナー)を見てきたがこのような召喚札師(リスナー)は初めて、いや、人としてもこんな人がいるのだと感じて、自然と受け入れられる気がした。 「さ、ケビンさんアレを彼に」 「あぁそうだったね。アマツ君、これを」  話題を変えたワンドに促されケビンが一枚のカードを取り出しアマツに手渡す。  それは五つの点を結ぶ円が描かれたカード。召喚札師(リスナー)の使うカードの裏面と同じデザインだが色彩を持つ裏面と異なって白黒で描かれており、円の外側にもいくつかの点を結ぶ線が描かれていた。 「それはザナディアルトの参加証。君の魔力を込める事で君のものとなり、正式にザナディアルト参加者として認められる」  参加証にアマツが魔力を込めるとカードに描かれた円の中に目に×の傷を持つ竜の絵柄が表れ、ケビンの言うザナディアルト参加者として正式に認められた証となる。  そしてケビンから語られるのは、ザナディアルト本戦についての概要である。 「周知かもしれないが……ザナディアルトは世界各地に点在する試練を乗り越えながら他の参加者と切磋琢磨し、最終的に全ての試練と勝利を重ねた者が決勝戦に駒を進められる。その参加証は要件を満たす度に色をつけていき、最終的に絵を完成させる事で決勝戦の場所が記されるようになっているんだ」  多くの召喚札師(リスナー) 達と切磋琢磨し、試練を乗り越えながら頂点を目指す。それはザナディアルト開催のきっかけとなった召喚札師(リスナー)の軌跡を再現したようなものらしい。  アマツの胸が高鳴る。これから先どんな試練や困難があるかという不安ではなく、どんな召喚札師(リスナー)と出会い自分達の力が通じるのか……そしてさらに強くなり、目指すものへ辿り着く一歩というのを、心と体が理解していた。
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