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第一章九節

 ゼクスがアマツの前にて待機する間、投げ飛ばされたソードラスが身体を起こして翼を使って飛行しケビンの前と移動する。  噛み付かれた首はひしゃげてこそいるがそこは機械仕掛けの身体なのもあり、まだまだ行動可能であるようだ。 「呪文(スペル)発動リペア。人造仲間(ゲアセス)の破損を回復する」  静かに呪文(スペル)を使ったケビンに対しアマツはあえて何も妨害せず、ゼクスも猛る感情を抑えて破損がみるみる直っていくソードラスを見つめていた。  先制攻撃をした事への詫び、ではなく真っ向勝負で相手を倒すという信念の表れ。そしてそれはアマツの召喚札師(リスナー)としてのものなのは、ケビンもワンドも理解できた。 「さ、仕切り直しだ。今度は、上手く行かないよ」 「勝つのは俺達だ、そうだろ、ゼクス!」  互いを認めた召喚札師(リスナー)に応えるように互いの仲間(アセス)もまた咆哮し、一気に走り出して頭から激突し合う。  そこからは文字通りの肉弾戦。尻尾をしならせて打ち付けるソードラスに対してゼクスは身体の硬い部分でこれを受け止め、同時に押し返して力任せに身体を掴み強引に頭に噛み付き一気に力を込める。  すぐさまソードラスが全身を帯電させてゼクスを怯ませて離させると逆に右腕に噛み付き返し、大きな駆動音を響かせながら力強く引き寄せようとする。  が、ゼクスは左肘のトゲを大きく伸ばすとそれをソードラスの身体めがけて打ち付けて貫通させ、強引に引き抜いて機械の身体に傷を負わせた。  金属の身体であろうと力でもって捩じ伏せる……戦闘竜の名に違わぬゼクスの力、その原動力となるのはアマツの闘志。 :「呪文(スペル)発動ドラゴンハート!ゼクスッ!」!  呪文(スペル)を使うアマツの叫びと共にゼクスが口を大きく開けてソードラスの頭に噛み付き、赤いオーラをまとわせながらソードラスの頭部を噛み砕き首を振って残骸を吐き捨てる。  ドラゴンハートはドラゴンの能力を強化する呪文(スペル)。そしてそのカードは、戦いを見てるワンドにはとても懐かしいものを感じさせ、口元に笑みを浮かばせた。 「ソードラス! 呪文(スペル)発……」  ケビンが呪文(スペル)を使うよりも早くゼクスがソードラスの首を掴んで引き千切り、右手による掌底により身体を粉砕し爆砕する。  完全破壊された事でソードラスは破壊(ブレイク)しケビンにダメージが返り、全身を貫く衝撃により片膝をついてしまう。 (なるほど……彼が私を相手にと要望出したのはこの為か。勇猛果敢に相手に挑む心の強さと、それに応えるように仲間(アセス)達もまた力を出している、か)  ケビンがちらりとワンドの方に目を向けると彼が小さく頷き、それに同じく小さく頷き応えた。  戦う前、アマツの相手に関して協議を重ねていた自分のもとへ手紙を持ったグレムリンのハントが訪れ、ケビンが相手をするようにと書かれていた。  ワンドからすると急な要請ではあったもののそれに応えてくれた事、そして、自分の中で感じたものが確かなもの……アマツの持つものに懐かしさと輝きのようなものを感じ取り、それを後押しした。 「さすがに、このダメージは大きいな……その力を認めよう、合格だ」  身体を立たせはしたがややよろめき、それにより試験として力を見定める事、アマツとその仲間(アセス)がザナディアルト参加に相応しいものを持ってるのをケビンは認め、合格を告知する。  それには一瞬アマツは理解できてなかったものの、勝ったという事実が徐々に足先から頭へと感じれるとぐっと身体に力を入れながら目をつむり、そして左手を笑顔と共に掲げゼクスの咆哮と共に喜びを表すのだった。
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