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第一章八節

「次はそいつか! よし、イザヨイ頼んだぜ!」 「簡単に言うな。だが、応えないわけにも行かないな!」  先手必勝とばかりにアマツに応えたイザヨイは素早く駆けるとソードラスに飛びかかるように見せかけてフェイントを入れ、ソードラスの左側面を捉えると今度は飛びかかり爪を突き立てる。  が、金属の身体の前では氷の爪は欠けてしまい通らず、これにはさすがに敵わないと引こうとするもソードラスの尻尾が振り下ろされ、頭に棍棒部分が直撃してアマツの方へイザヨイは飛ばされ身体を何度も打ち付ける。 「イザヨイ!しっかりしろ!」  自身を案じる声にイザヨイが応えるように立ち上がり、頭を守っていた氷の鎧が砕けつつも血を流し、身体を震わせつつ戦おうとするも力尽きて横たわり光の粒子となってアマツの手元へと戻り、カードへと姿を変える。  同時にアマツの身体を貫く衝撃が襲いかかり、よろめきつつもアマツは踏ん張りイザヨイのカードを確認する。月夜の下に描かれた水狐(すいこ)は、モノクロとなり使用不可というのを表す。 「これでさっきの借りは返した、かな?」  眼鏡を上げるケビンのそれにアマツはイザヨイのカードを戻しつつ黙って受け止める。仲間(アセス)カードには一時的に使用不可となる疲弊(ダウン)の他、破壊されてしまい長期間使用不可となる破壊(ブレイク)とが存在する。  契約し仲間(アセス)となるといかなる攻撃を受けても死ぬ事はなくカードに戻るだけだが、破壊(ブレイク)するとしばらく使えなくなり、召喚札師(リスナー)にも相応のダメージが入る。  召喚札師(リスナー)同士の戦いでは相手の仲間(アセス)をすべて倒す他、この破壊(ブレイク)によって召喚札師(リスナー)を戦闘不能とする方法でも勝利となる。今、アマツの受けたそれはかなりのものであり踏み止まりはしたが、目の前が歪み片膝をついてしまう。 「アマツ!」  思わず大きな声でアマツの名を叫ぶフィンが立ち上がり、その悲痛な思いが届いたのかアマツは立ち上がりカード入れに手をかけ、まだ戦う意志を示した。 「俺には目標としてる人がいる、目指す場所がある……」  アマツの脳裏に浮かぶのは幼い頃の記憶。幼なじみのフィンと自分を助けてくれた、召喚札師(リスナー)の姿。   「その一歩を、ここで終わらせるかよ!大地を踏み砕き、強靭なる体躯で暴れ回れ!ゼクス!」  強い思いがアマツの身体を駆け巡り、そしてそれは召喚される仲間(アセス)にも伝わり、召喚と共に轟く咆哮としてケビンに放たれる。  召喚されたのは鈍色の鱗を持つ前傾姿勢をしたドラゴン。鋭い爪を持つ二本の脚で地を踏みしめ、肘に生えるトゲが目立つ腕は太く、短く退化した翼を持つ背には太い棘が並んでやや短い尻尾まで生やす。  腹の部分は赤みを帯びた白色であり返り血を浴びたかのような風貌であり、短い首に備わる三角形の頭部には左右に伸びて後ろに反る二本の角と額から生える三日月のような角を持ち、鋭く太い牙がズラリと並ぶ口に青く鋭い目は獰猛さをうかがわせる。  ゼクスと呼ばれたそのドラゴンはアーマイトと比較してやや小さく、ソードラスとほぼ同じ。だがアマツが指示を出す前にゼクスは尻尾で地面を叩いてから力強く走り出し、ソードラスが口から炎を吐きつけるも構わず突進し首に噛みつき勢いそのままに叩き伏せる。
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