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第一章七節

戦術変化(スキルチェンジ)!氷武装イザヨイ!」  アマツのその掛け声と共にイザヨイが纏った帯が一瞬で凍てつき、そして巨大な爪を足に装着し顔や身体にも鎧のように氷が装備され姿が変化する。  戦術変化(スキルチェンジ)と呼ばれたそれには観戦している者もケビンも驚き、その間もなくイザヨイが爪を用いてアーマイトの左腕を切り落とし、傷口から氷結させて行くとすぐさまアマツの支援が入る。 「呪文(スペル)発動ソニックラッシュ!」  呪文(スペル)効果を受けたイザヨイが青い軌跡を残しながらアーマイトの身体を次々に爪で切りつけて行き、その度に切り傷は大きく深くなって全身が凍りついて行く。  ソニックラッシュは一定時間仲間(アセス)の速度を上げ、さらに攻撃を当てる度に攻撃力を上げるというもの。傷口から凍りつかせるのはイザヨイ自身の力、それと合わせてアーマイトが動きを止めていき、トドメとばかりにイザヨイが飛びかかった刹那、アーマイトの姿が一瞬で消えて小さな光となってケビンの手元へと戻って行く。 「呪文(スペル)発動エスケープ……二重札(ツヴァイカード)とは、さすがに読めなかったな」  呪文(スペル)エスケープは仲間(アセス)を強制的にカード化するという呪文(スペル)である。ただし、その仲間(アセス)疲弊(ダウン)状態という、一時的に使用不可の状態となってしまう。  ケビンの人造仲間(ゲアセス)を倒すには至らないが、実働部隊の一員の仲間(アセス)を引き下がらせた事で会場の熱気が高まり、その中でワンドは微笑みフィンも思わず立ち上がって声を上げかけたがすぐに息を整え座り直す。 「二重札(ツヴァイカード)とは珍しいね」 「はい。あいつの仲間(アセス)は戦いの中で戦術そのものを変える戦術変化(スキルチェンジ)、そして召喚時に姿形を変える形態変化(モードチェンジ)を持つ二重札(ツヴァイカード)なんです」  二重札(ツヴァイカード)とは二つの性質を持つカードの総称であり、仲間(アセス)の場合は形態変化(モードチェンジ)戦術変化(スキルチェンジ)の能力を持つものが該当する。    戦闘中に全く異なる能力となるというのは知ってなければ予想が難しく、同時に的確に切り替えが求められるものである。  特に仲間(アセス)二重札(ツヴァイカード)は戦闘中に一度しか戦術変化(スキルチェンジ)ができず、形態変化(モードチェンジ)も召喚時に決めて行うので扱い切れない召喚札師(リスナー)がほとんどだ。  アマツは魔法攻撃型と物理攻撃型を併せ持つイザヨイを上手く使ってアーマイトを翻弄、格上であろうケビンに先手を取った形となった。 (僕の思ったとおり、彼は確かな才能を秘めてるね。でもここからだよ)  自分の元へ戻って来たイザヨイを撫でるアマツを見つめながらワンドは何かを思っていた。そしてケビンの方に目を向け、彼が深呼吸をしてからカードを引き抜き魔力を込める姿を捉える。 「君を甘く見ていたようだ、その点は詫びるよ。でも、容易く勝たせはしない!」  ケビンの闘志が風邪を巻き起こす。アマツの戦術によって火がついたらしく、これにはアマツも風を受けつつ冷や汗を感じた。 「積み重ねられし機工の叡智よ、新たな可能性を秘めた存在を今ここに呼び出せ!いでよ、メタルドラゴン・ソードラス!」  続いてケビンが召喚するのは銀色に光り輝く流線型の金属の身体を持つ機械のドラゴン。独特の駆動音を響かせ、四肢を支える胴体に大きな翼、棍棒を備える尻尾と長く伸びる首につく頭には後ろにV字に伸びる二本角を備え、ノコギリのような牙を持つ口を開けて咆哮し緑の目を光らせる。  メタルドラゴン・ソードラス。先程のアーマイトとは明らかに違う存在感には、イザヨイも警戒を強める。
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