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第一章五節2

「あんたに勝てば、俺はザナディアルトに参加できるんだな?」  ディバイダース実働部隊という畏怖すべき相手であるのにも関わらず、アマツは全く動じず堂々としていた。その豪胆極まる態度にはケビンもやや呆気に取られたが、同時にそんな彼の心構えや若さから来る熱意も確かに理解し、笑みを浮かべてから快活に問いに答える。 「もちろんだとも。君が召喚札師(リスナー)として仲間(アセス)と共に戦い、私とその仲間(アセス)を倒せればザナディアルトへの参加を認めよう……当然、私は一切加減をするつもりはないからそのつもりで……」 「ならさっさと始めようぜ!」  話終わるよりも先にアマツが臨戦態勢へと入る。勇猛果敢に相手と対峙する獣の如き闘争心、例え格上としても己と仲間(アセス)の力を信じ抜いている絶対の自信……ケビンもまた、そんなアマツの心に応えるべくやや距離を取ると目つきを鋭くし臨戦態勢となった。  いよいよアマツの試験が始まる。見守る者達が固唾を飲む中、火蓋は切って落とされる。 「|円環《サークル》展開!」  アマツとケビンの雄々しき声と共に二人が足下を軽く蹴ると、両者の周囲をドーム状の白い膜が包み込みやがて形成されるのは召喚札師(リスナー)が作り出すバトルフィールド。  円環(サークル)召喚札師(リスナー)が使う術の一つ。自身の周囲に結界を張り巡らせる事で戦いにおける周辺への被害、及び内部への介入を阻止する強固なものである。  無論、円環(サークル)を使う事のメリットは他にもあるが、場合によっては張らない事もある。今回のように一対一の勝負となると基本的には張られ、観戦する者も安心して見守る事ができ戦う召喚札師(リスナー)も相手に集中できる。 「それじゃあ、私から召喚させてもらうよ。土塊に宿りし生命よ、鎧を纏い誇りを胸に戦士となれ! ゴーレムナイト・アーマイト!」  腕章と一体化してるケースはケビンのカード入れ。そこからカードを一枚引き抜きながら魔力を込め、やがてそこに宿る仲間(アセス)が解き放たれケビンの目の前に巨大な姿を現す。  石の身体に鎧のように胴体部を金属で構成した人造生命体ゴーレムナイト。製造方法によっていくつかの種類や姿があり、ケビンのそれは数メートルはあろうという巨大さと黒ずんだ石材をいくつも合わせて形成された手足を持つ人型、さらに鈍い光沢を持つ金属で鎧を纏い巨大さに見合う大斧を手にし、四角く小さな頭の赤い単眼がアマツをじっと見下ろしている。  対峙するだけで圧倒されるその巨大さに対し、アマツは口元に笑みを浮かべると左腰の黒革に銀細工が施されたカード入れのフタを外し、素早くカードを引き抜く。 「まずはお前からだ!怜悧なる月夜に向けて咆哮しろ!イザヨイ!」  召喚札師(リスナー)の召喚時の言葉はその思いを仲間(アセス)に乗せ、力を高める効果があるのだという。思い思いのそれが未知の力と可能性を引き出し、そして、アマツが召喚したのは美しい青混じりの銀の毛並みを持つ狐の魔物、水で形成された帯のようなものを四肢と身体に巻きつけるその魔物は水狐(すいこ)と呼ばれし存在。 「いきなりこのイザヨイを呼び出すとは……まぁいいでしょう」 「今日も頼むぜイザヨイ!」  人語を話す水狐(すいこ)のイザヨイはアマツに応えるように脚に力を入れ、開幕早々にゴーレムナイトのアーマイトが振り下ろす大斧を跳んで避けてそのまま腕に乗り、一気に駆け上がった。
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