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第一章四節

「よし!選考会の前にあんたと勝負だ!」  突拍子もなくアマツがワンドへ勝負を挑む。これにはフィンも呆れ果て、ワンドも微笑み穏やかに断ってみせる。 「さすがに今は受けられないかな? 君の仲間(アセス)やカードを消耗させる訳にはいかないし、ちょうど僕もカードを切らしてて全力出せないしね」  真っ当な理由にはアマツもやや悔しさを滲ませつつ納得し、直後にフィンに頭を手で抑えられ無理矢理頭を下げさせられる。  仲間(アセス)とは召喚札師(リスナー)と契約した魔物や精霊の事であり、召喚札師(リスナー)にとって特に大切な存在。仲間(アセス)には属性や種族があり、それに合わせて呪文(スペル)道具(ツール)戦場(ホーム)という種類のカードを駆使して召喚札師(リスナー)仲間(アセス)をサポートする。  仲間(アセス)以外のカードは基本的に消耗品の為召喚札師(リスナー)は枯渇しないように注意を配らねばならず、消耗し補給が必要な時は戦う事を避けるのが一般的。 「ほんっとに申し訳ありません……ほら、あんたも謝る!」 「あははは、いいよ謝らなくて。彼の気持ちはわかるし、僕も君達がどんな仲間(アセス)と心通わせてるのか……どんな旅をしてきたのか、興味あるからね」  穏やかそのもののワンドはフィンの手から抜けたアマツと目を合わせ、再び微笑むと何かを思いつき手と手を軽く合わせて言葉を続けた。 「そうだ、いい事を考えついたけど……まずは君達が無事に選考会突破してからかな? それからまた話すよ」  選考会を乗り越えてから話す事がある。まだ会って間もない青年の提案にはやや驚きつつも、だが、不思議とそれを受け入れても良いと感じられる心地良さのような……自分達にとって何か得られるような、そんな感覚がアマツとフィンの中に生まれた。  「それは構いませんけど……わたしはもう突破してるから、あとはコイツが突破できるかですね」 「フィンてめ!先に受けたのか!」 「どっかのバカが遅刻なんてしなければ一緒に受けられたんですけどー。そんな訳で、よろしければ一緒に見届けてくれませんか?」  選考会を既に突破済みというフィンにアマツは迫ろうとするも顔を手で抑えられて阻止され、その間にフィンは小馬鹿にしつつ話を進めワンドと共にアマツの試験を見届ける事となった。 ーーー  ザナディアルト選考会は試験官である召喚札師(リスナー) に勝てば良い。その試験官は実力に応じた者が選ばれ、実力があるからといって容易に突破できるというわけではない。  また無名の実力者に関しても、相手の力量を見極められる召喚札師(リスナー) が相対することとなり、公平に強さを推し量る仕組みができている。  受付時間は既に終了し、試験を受ける召喚札師(リスナー)も減り……やがてアマツの番号が呼ばれ、広場に画かれる赤い円形のバトルフィールドへ姿を現した彼を観覧席からフィンとワンドは見守る。 「エアレーネさんは彼とは付き合いが長いのかな?」 「フィンでいいですよ。あいつとは幼なじみなんです、昔っから無鉄砲で考えなくて……でも、そんなあいつがいつもいたからわたしも召喚札師(リスナー)として、自分の力を試そうって思えたんです。あいつには、内緒にしてくださいね」 「うん、わかったよフィンさん」  アマツとフィンは幼なじみ。そしてアマツの影響もありフィンも旅に出る。  召喚札師(リスナー) 同士が影響を与えあい、きっかけとなって新たな担い手を生み出していく……ワンドもまた、幼い頃の記憶を思い出す。奇しくもそれはこのプラッタの街での出会い、運命の召喚札師(リスナー)と会えた、思い出の街。
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