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第一章一節

ACTIONー始まりの街ー ーーーエレメンタリス中央部。プラッタの街。  晴天の街、多くの人が行き交うメインストリート……世界の中心にある大国のすぐ近く、そして道を繋ぐ場所としてプラッタの街は栄えている。  特に今日は人通りがいつになく多かった。住民達はもちろん、商人達……そして、手帳ほどの大きさの様々な材質や色の箱状のものを携えた者達が集まっていた。  彼はそんな街並みを見ながら微笑み歩みを進める。その肩に乗るモノもまた、嬉しそうに跳ねて頭へと乗り機嫌良くしていた。 「ししっ!」 「うん、昔よりも賑やかになったね」  穏やかに彼は頭に乗るモノへ答えて前を見直す。活気と笑顔、ほんの少しの悪ふざけもあるものの……人と人とが関わり、暖かなものが互いに交わされている。  見ているだけでも心温まる……と、後方からざわめきに似た音が近づいてくるのに気づいて振り返りつつ道の横へ移動すると、人と人の間を慌てながら走り抜け息を切らす少年がいた。 「遅刻するーー!!」  猪突猛進とも言うべき猛烈な走りを見せる少年の勢いに慌てながら人々が道を開け、少年もまた身軽に人々の間を通り抜け、時には飛び越えたりしてメインストリートを進む。  そんな少年が走り去るのを彼はじっと見つめ、ふと、彼が身につけていたポーチから何かの紙が落ちたのに気づいて拾い上げ、頭に乗るモノと一緒に目を通す。 「ザナディアルト参加希望書……か。彼に届けないとね、ハント」 「ししっ!」  ハントと呼ばれる頭に乗るモノ……垂れ耳にぶち柄の毛並みを持つ小型の生き物を彼は撫でつつ、走り去った少年が向かった先を見て苦笑い気味に落とし物を懐にしまう。 ーーー  落とし物をした事など知らない少年は走り続ける。慌てながらも、その表情は明るく額に流れる汗も輝いて見えた。 (まったく、待ち合わせに遅れただけでなく大事な日に寝坊とは呆れ果てて何も言えないな) (昔からそーだったからいいんじゃない? ま、ゆるーくやろ)  少年の頭に響く二つの声。それは幻聴などではなく、彼だけに聴こえる……彼が持つ能力に起因するもの。  青い海を思わせる爽やかな青の上着を袖を通さずに羽織り、四肢と翼を持つ白の竜を描く薄黒の袖の無いシャツ。左腕にだけ赤いバンテージを巻き、右手には黒の指貫手袋をつけて握り締めながら腕を前後に振りつつ走り続ける。   側面に白のラインの走る黒のズボンはややタイトであり、ベルトの後ろ側にはポーチがつけられ……左腰には黒の革に銀細工が施された手帳程の大きさの四角い物がついており、それに左手を触れてから彼は微笑み改めて前に目を向け語りかけてきた声に答えるように快活に口を開く。 「心配すんなって! 一人じゃないから何とかなるってな!」  赤紫色の目と明るい茶髪を持ち、太陽にも似た快活さを持つ少年の名はアマツ・レンベルト。カードを操り、魔物や精霊と共にこの世界の担い手として活躍する存在・召喚札師(リスナー)の一人。  
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