7 / 16

[初恋]

[初恋] 懐かしい夢を見ていた。 母さんが亡くなったばかりの頃、俺はよく家を抜け出しては公園で時間を潰していた。 親父はいつも仕事が忙しいと家をよく開けていてまだ子供だった俺は寂しくて家にいたくなかったのだ。 親父は親父で家にいると大好きだった母さんのことを思い出すのかいつも辛そうな顔をしていたのを覚えている。 そんな悲しい記憶の夢。 最近は見ることなかったのにな……。 この夢を見て起きた時俺は決まって泣いていた。 あの頃よく遊んでいた女の子……。 元気なんだろうか。 あの子も父親を早くになくし、境遇が似ていたこともありすぐに仲良くなったっけ。 今じゃ名前も……顔もよく思い出せないがとても可愛くて泣き虫な女の子だったことだけは覚えている。 俺の初恋の記憶。 優希「うーん」 優希(なんか苦しい……?) 綾乃「目が覚めましたか」 優希「綾乃……?」メヲゴシゴシ 綾乃「ずっと目を覚まさなければよかったのに」 優希「朝からきついな……」 優希(まだ葉月さんとのこと怒ってるのか?) 綾乃「これどうぞ」 優希「タオルか」 綾乃「兄さんよだれすごいですよ」 優希「わっ!ほんとだ。 すまん、綾乃」 綾乃「いえ」 綾乃「私は朝食の仕度がありますので先に下に降りています。兄さんも早く着替えてください」 優希「分かった」 綾乃「改めておはようございます、兄さん」 優希「ああ、おはよう」 綾乃「お父さんとお母さんから連絡が来ていました」 優希「へー、なんだって?」 優希(俺のところには来てないんだが……) 綾乃「しばらく帰れそうになくなったそうです」 優希「えっ?」 綾乃「なんでも滞在している国の火山が噴火したとか」 綾乃「あ、今やってるニュースで丁度言ってますね」 優希(テレビを見てみると親父たちが新婚旅行で行った国で火山が噴火したこと、飛行機が飛べるようになるのが未定だとのことだった) 優希「親父たちも災難だな……」 綾乃「そうですね」キリ 綾乃(お兄ちゃんとしばらく二人きり……えへっ) 優希「あ、そうだ。 俺、今日帰り遅くなる。晩飯もいらない」 綾乃「なぜですか?」ジロ 優希「バイトだよバイト」 綾乃「兄さんがバイト? クラスに友達もいない兄さんが?」 優希「友達いなくてもバイトは出来るだろ……」 綾乃「どのようなお仕事なんです?」 優希「普通のファミレスの接客だけど……」 綾乃「……うそ」キョウガク 優希「ちょっと?なんでそんなに驚いてんの? 朝から傷つけないでもらえませんかね……」 綾乃「あ、ごめんなさい。 兄さんが接客している所を想像できなくて……」 優希「いや、普通にできるから。というか仕事だと思えば大抵の事はなんでもできるまである」 綾乃「……」ハァ 優希「え、何その反応。 罵倒されるより無言の方がきついんだけど」 綾乃「兄さんの豆腐メンタルは置いておいて。まさかとは思いますが、職場に女性はいませんよね」 優希「そりゃいるでしょ。 お客だって男に接客されるよりかわいい女の子にされた方が嬉しいからな。 」 綾乃「……」 優希「あ、あれ? 綾乃さん?」 綾乃「兄さん」ニコニコ 優希「は、はい」 綾乃「今日私兄さんのバイト先にお邪魔しますね」ニコニコ 優希「え、客としてくるってこと? それなら歓迎だけど……」 綾乃「いいえ。 職場の皆様に挨拶をと思いまして」 優希「そんな事しなくていいから……」 綾乃「なぜです? 兄がお世話になっているのですから妹がご挨拶に伺うのは普通のことだと思うのですが」 優希(普通なの? 妹いたことないから普通がわからん) 綾乃「別に兄さんの女性関係が気になるとかバイト募集してたら私も応募してみようとかそんなこと全然ありませんから」 優希「お、おう……」 綾乃「では、お店の住所と名前を教えていただけますか」 優希「ほんとに来んの?」 綾乃「兄さんは私に来られては困る理由があるのですか? まだ何か私に隠し事をしてるんですか?」ギロ 優希「ぜ、是非来てください!」 綾乃「はい、お任せ下さい」ニコニコ 優希(今日もなんだかとっても疲れそうだなぁ……)
良い
エロい
萌えた
泣ける
ハラハラ
アツい

ともだちとシェアしよう!