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第3話

意識が戻ると、奇妙な森にたどり着いていた。起き上がると妙な違和感がある。早速だが試してみようと思う、登録商標的にギリギリのあの機能を。 「OK.ミーミル、この森について教えて」 『この地域では一般的な動物であるモミノキモドキの群生体です』 「モミノキモドキ?」 『モミノキモドキとは、地球に存在するモミノキに似た外見の動物です。生活史もほぼモミノキと近似しています』 「はぁ!?動物!?これのどの辺が!!」 『本惑星には微生物以外に、地球で植物として知られている生物は存在していません』 「異世界ハンパねぇ……」 脳内に反映された情報に、思わず呆れてものが言えない。なんか微妙に息苦しいことに気がついた。 「そういや微妙に息苦しいんだが、俺は大丈夫なのか?」 『本惑星の酸素分圧はほぼ地球と同等ですが、二酸化炭素分圧が若干高く気圧が高くなるなどの影響があります』 「それによる地球との差異は?」 『二酸化炭素分圧が高まることで、大型の生物、本惑星においてドラゴンとして知られている生物種の飛行が可能になったりしています』 「ドラゴンいるのか」 そのあともミーミルに色々と聞いてみる。緯度が高い割にこの辺はそんなに寒くないようだ。冬は雪は降り積もることもたまにあるようだが、今はいい季節のようである。助かった、最悪野宿しても死ななそうである。更に色々と聞いていると、脳内に着信音のようなものがなった。 「(こいつ、直接脳内に……)」 『私だ。ミーミルだ。どうだその世界は。ひとまず過ごせそうだな』 「まぁな。しかしこれから何やって食っていこうか。人間とかいるんだよな?」 『人間はいるぞ。もっとも人間と呼ばれる種族の幅はお前のいた惑星より広いが』 「なんかエルフとかドワーフとかいそうな気がしてきた」 『よくわかったな』 「なんていうかさ、想像なんだか、この惑星の環境、誰かが作った感があるな」 『勘の良すぎるヤツは長生きできないぞ』 「もう死んでるし」 しかし誰かが作ったとして、何というか非常に不穏なものを感じる。植物の代わりに動物だとかどうなっているんだよ。トレントとか絶対いる世界だ。というよりある意味この木がトレントと言えなくもない。 『とにかく、どうやって過ごそうがお前の自由ではある』 「OKミーミル、近くの町を教えて」 『いいけどお前金あるのか?』 「金」 『あと身分もないな』 「何とかならんのかよ!……OKミーミル、金になる獲物を教えて」 『勝手に領有地で狩りするのは犯罪です』 「ハードル高いなくそ、OKミーミル、金と身分の用意の仕方教えて」 『検索条件があいまいです』 「ふざけんなおっさん!」 『……わかったわかった、金だが……?おい、これどうやって庶民暮らしてんだよ』 急に何を言いだすんだミーミルのおっさん、自分だけで理解してないでこっちにわかるように言ってくれ。 『お前のいた地球の中世ヨーロッパの一番酷い時期を想像しろ』 「中世ヨーロッパっていうと……貴族がゴージャスな服着てて放蕩三昧の結果革命起こされたりしたくらいか」 『馬鹿野郎それは近世のフランスだ。作物の土地あたり収量が21世紀地球の1/10とかで庶民は食うや食わず。じゃあ貴族やらがゴージャスな暮らししてるかっていうと、そんな余裕ない……そうかこの世界魔法あるのか。……魔法使う者を犯罪者として捕まえ……クソすぎだろこの世界』 「おい一人で勝手にキレるなおっさん。で、俺はどうやって食ってきゃいいんだよ」 『……割と酷い結論が出た。言っていいか』 「おう」 『ここ支配してる神人とかいうやついるんだが、そいつらブチ転がして……』 「つまり俺に犯罪者になれと」 『それか野垂れ死ぬか』 「ひでぇ結論だな」 『神人とかいう連中、魔法使えないかわりに魔法を無力化できるらしいな。さらに魔法を使う人間を精神支配できる』 なんかわからんがロクでもない連中だなぁ。 『神人、普通の人間と生殖できるが子供は神人になるのか。神人には男しかいない上、子供作らせたら相手は死ぬ?酷いな』 「なんていうか死ねよ、って感じの連中だなぁ……しかしそんな連中相手に勝てるのかよ俺は」 『お前魔法使えないだろ。つまり精神支配が効かない』 「一発コッキリだな、奇襲は」 『奇襲できるのは大きいぞ、しっかり準備すればイケるんじゃないか?』 「テキトーなこと言ってるなおっさん。だったらトネリコの木の槍くらいくれよ」 『そんな神話(ミスティック)級武器ホイホイ渡せるか!』 それじゃ勝てるものも勝てんだろうがよふざけんなよ。武器なしカネなし身分なし、迂闊なことしたら即逮捕。詰んでる異世界転生で目から汁が出てきた。 「せめて魔法でも使えればいいんだが……」 『魔法使えたら洗脳されるんだが』 「洗脳される前にこのままだと飢え死にか犯罪者として逮捕かだよ!」 『逮捕されたら少なくとも飢え死には避けられるな』 「いい加減にしろ!こんな異世界にいられるか!俺は自分の世界に帰るぞ!ムリなのわかってるけど!わかってるけど!!」 一人で騒いでいたら、まだ街道だというのに二人の兵士がやってきた。シンプルなヘルメットと槍という装備から見て、そこまで技術が高いようには見えない。なるほど確かに中世並みの水準のようだ。以前テレビで見たような気がする。 「そこで何を騒いでいる!」 「大人しくしろ!」 おいこらミーミル、異世界でなんかやる前に死んだよ!俺の社会的人生死んだよ! 「本当に来やがったよ、OK.ミーミル、こいつらは神人なのか?」 『そうだな。魔法は使えないが身体能力は高い。まともに勝負しても今は勝てないだろう』 「大人しくお縄につけと?ふざけんなよなんもしてねぇよ俺!……ん?」 兵士の周囲の空間から妙な光が差している。空間に何かが収められているようにも見える。なんだろうこれは。空間に魔法陣のようなものが見えるではないか。 「おいミーミルよ、神人って魔法使えないんじゃなかったっけ?魔法効かないが」 『そうだぞ』 「なんで神人の周りに魔法陣が見えるんだよ」 『何言ってんだお前、何も見えないぞ』 「変なことばかり言いやがるなこいつ。どうすんだよ」 「何やるかわからないヤツ放置しているのは危険だろが。捕まえるぞ」 どういうことだ?誰も魔法陣が見えないのか。赤い魔法陣から火の粉が見える。おい危ないじゃねぇか、誰も気がつかないのか? 赤い魔法陣が近づいてくる。兵士の肩のあたりから火の粉がこっちに降りかかりそうだ。捕まえるつもりなのかもしれないが、その前に火傷しそうじゃないかクソ。 「おら、大人しくしろ」 「馬鹿野郎こっちくんな火傷させる気か!」 「変なこと言ってるんじゃない!」 思わず魔法陣の火の粉を払おうとした。次の瞬間、俺の目の前に巨大な火柱が立ち上がった! 「うわあああぁぁぁ!!」 「お、おい!何が起こった!!」 一瞬だけ俺も呆然とした。まるでこれは、魔法じゃないか。……両方の頬を張る。火柱で兵士と離れたので俺は全力疾走で逃げ出すことにした。一体何なんだ、俺に何が起こっているんだ!?
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