1 / 6

第1話

しくじった。俺は政府の狗どもの罵倒を後ろに聞きながら、全力疾走している。そんなに脚には自信がないんだ。狗のおまわりさんどもみたいに肉体派じゃあないというのに。見ろ、どんどん距離が近くなって来やがる。 そこらへんにある竿を倒しつつ小径にばらまく。引っかかってコケてくれ、そう思うがそんなに上手い話などない。しかしなんでこっち狙ってくんだよおまわりども。そりゃ詐欺師だぜ俺は。だがな、俺なんて悪党狙いの小悪党なんぞよりもっとこう狙うべき相手がいるだろ!巨悪がよ! ……何者かに見られている気がする。 まさか、あいつか?大物狙いしすぎたか、畜生。政界にも顔がきく相手を狙ったってのは失敗だったのか。俺ごときの小者をつけ狙わせるってのは、存外あいつも肝っ玉は小さいのではないか。 唐突に、尻が揺れた。電話がかかって来やがった、こんな時に。 「なんだよこんな時に」 『どんな気分だ?追い詰められるというのは』 よりによってあいつかよ。暇なのか? 「控えめに言って最悪だね」 『はやく捕まってはどうかね、走らなくて済むぞ』 「だが断る」 走りながら周囲を探る。このぶんだと周囲にドローンかなんかいるに違いない。トイレか何かの窓から進入させてもらう。撒けるといいのだが、上手くいけよ畜生。幸いトイレには誰もいなかった。……だが待てよ、これ女子トイレかよ!いい加減にしろ! 慌てて飛び出し再び逃げ続ける。電話は切れている。電源を切って周囲を見回す。ドローンはなさそうである。そのまま走り続ける。息が上がる。 「やあ」 突然目の前に、俺が騙したあの野郎が出現した。どういうこと……だ? 「運動不足の割には結構逃げ回ってくれたな。苦労したぞ」 「……わざ、わざ、追いかけて来た……のか?」 「正直なところ警察に捕まるのも困るんでな。お前には消えてもらうことにする」 「そりゃあることあること言うつもりだからな、万が一タイーホされたらよ。具体的にはお前がペド一歩手前の膨らみかけにしか興味がないって変態だってこととかな」 「はっ!適当なことを言う」 「そりゃ言わせてもらうぞ。そのせいで追っかけられたんだからな俺はよ」 全くたまったもんじゃない。JSにしか欲情しないこのクソ権力者からJSを助けだしたらこれだよ。クソ権力者、仲間のペドたちとも力を合わせて俺を追い詰めようとしやがった。実際追い詰められている。 「冗談はさておき、そろそろ死んでもらうことにする。邪魔だ」 「へぇ?……でも死体とか残ったら困るんじゃないか?」 銃声。ヤツが取り出した拳銃は小さいやつだが、どうやら俺の腹に穴を開けるには十分なようだ。日本って銃刀法あったはずだろ。腹が熱い。やりやがって…… 「な、なんじゃこり……いてぇ!そんなんいえねぇ!」 「こんな時まで余裕だな」 「ば、バカいえいてぇ」 残念だがこのまま死んでしまうようだな俺は。自業自得ではあるが。が、突然目の前の男が奇妙なツボをこちらに向けるのに気がついた。どこから持って来たそれ。 「おい、なんだそれは」 「不都合な相手を消すのに都合のいい道具をたまたま入手してな。死体になったら吸い込めるという便利なヤツだよ」 「へぇ……」 銃声が複数聞こえる。ヤバい意識が途切れ……そのまま俺はそのツボのようなものに吸い込まれていった。残念、俺の人生はここで終わってしまった。
良い
エロい
萌えた
泣ける
ハラハラ
アツい

ともだちとシェアしよう!