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第6話

手枷だけはつけられていないが、槍を突き立てられたまま歩かされる。犯罪者扱いもいいところではないか。もっともこちとら詐欺師もやっていたわけで、犯罪者扱いは慣れたものだ。 キリキリ歩かされるうち、この城の中を見ていると気がついたことがある。あちこちに格納されている魔法が、暴発しそうな状態になっているようだ。俺以外の誰もこれ見えないのか。地雷原の上にいる気分である。とはいえこちらも、わざわざ理由もなく魔法暴発させたりはさせたくないのだ。理由があるなら使わせてはもらうが、この状況も。 石造りの城の廊下を進んでいく。陽の光が差し込んでいる。建物はシンプルで荒削りではあるが、散らかったりはしておらず手入れは行き届いている。これだけの労力がどこかから供給されているということは……どれだけ搾取しているんだか。しばらく進むと、シンプルな木の扉の前に立たされた。 「領主様の前だ、粗相はするなよ」 「へいへい」 むしろ逆にどんな粗相をしてやろうかと考えているくらいである。領主というからどんなヤツかと思ったら、メタボ……いや違うな、筋肉質である。がっちりした体型の中年男性がそこにいる。一点気になる点としてはだ、頭髪という頭髪が一切ないことである。 「こやつか、我らに歯向かうと言う者は」 「歯向かうつもりとかないけどな」 「ふん、それで我ら神人の死体を持ってきたのは何故だ?」 「竜巻が起きてだな、この3人がお亡くなりになったから、かわいそうなので弔ってもらいにきた」 「竜巻が起きて?そんなことが偶然発生するとでも?この天気で?」 ざわつく部屋。無理もない。晴天でそんな竜巻が発生するなんて言われて納得できないのは普通であろう。 「だがウソは言ってないぞ。死体が落ちていた場所も案内できる。そこに血だまりもあるしよそから引きずったりもしてはいない」 「少し考えさせてもらう」 領主は案外話のわかるヤツかもしれない。……しかし周囲に話を聞きはじめたな。これはダメか。まぁ想定の範囲内だ。 「悪いが、しばらく牢に入ってもらおう」 悪いが、とつけているところに後ろめたさはあるようだな。実際のところ判断としては悪くないな。故にこちらとしては慎重にならざるを得ない一方、やりやすい。 「おまえを連れていくのはリスクが大きいからな、逃げられる可能性もある。怪しい男がこの辺りをウロついて謎の炎を起こしたという話もある」 「いやそんなの関係ないぞ」 「とにかく、竜巻に関してはおまえにだいたいの場所を聞いて、その場所にまで何かを引きずっている跡が残っていなければ、おまえの発言にはある程度信憑性があると言っていい」 正論だな。しかし基本的にウソはついていないからなこちらとしては。せいぜい調査して俺の無実を証明するがいい。 「わかった。頑張って俺の無実を証明してくれ」 「ウソをついていなければそうなるな」 槍を突き立てられながら牢屋まで歩かされる。薄闇に包まれた地下牢の中に、人影のようなものを見つける。 「おい、誰かと一緒に入れるのか?」 「何言っているんだおまえは。誰もいないぞ」 よく見ると確かに誰もいない。おいおいちょっと勘弁してくれよ。いくらファンタジーっぽい世界とはいえ、幽霊とかどうやって対処すればいいんだよ?レベルを上げて物理で殴る? 薄暗い牢の中でぼーっと待っている。そういやあの親子は無事だったんだろうか。あ、そうそう、ダナとかいう子も助けないといかんのだな。キュッキュッキュッだったらいやだぞ、もっと育てないと。育てるためには栄養が足りてないからな。 「出ていいぞ」 兵士が戻ってきた。ほれみろ無罪かよ勘弁しろよ。分かりきっていたとはいえ、やはり思い通りにいくのはスッキリもするし一安心である。 「でだ、俺は嘘などついてなかったんだが、どう落とし前つけるつもりだ」 「その前に聞いておきたい、監察官」 監察官?ちょっと待てよ、ははーん……そういう勘違いしてくれたか。よーしここはひとつ。小声であいつを呼ぼう。 「OK.ミーミル、監察官について説明をしてくれ」
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