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第5話

吹き飛んでいる兵士3人を見つけた。……これが全身を強く打って死亡ってヤツか。スニフビデオ見ながら焼肉喰える俺からしたら大したことはないが、血の匂いとかは割とイヤなもんである。野犬に喰われたりしても困るしどうしたものか…… 「そういえばおっさん、荷車ってないのか?」 「そんな高等なモノ持ってるの神人様だけですよ」 「でもこの死体運べないと野犬とか出て困るんだが……」 「そうはいっても」 らちがあかんな。大きな木箱と小さな水車がある。待てよ? 「おっさん、この木箱と水車、もらっていいか?」 「困りますそれは!」 「んじゃこの金貨?と交換では」 「え?そ、それなら別に全然問題ないですが……」 おっさんに死体から奪った金貨を握らせる。口止めにもなるだろう。もっとも話す先をこれから潰しに行くのだが。 丸太と水車、木の棒などを組み合わせ、なんとかそれっぽいものができた。 「よし、一輪の手押し車だ」 「……なんともはや……」 農家のおっさんには半ば呆れられている。どうやらこの世界にはこういう手押しぐるますらないようである。 「これで領主のとこに全身を強く打った死体を運ぶことにする。なお死因は自然に発生した竜巻だからな。もう一度言う。自然現象の一つである竜巻が原因だからな」 「は、はぁ……」 「ちょっとあんた」 日本なら中学生くらいの娘が何か言いたそうである。 「そんな死体持って行ってどうするつもりよ」 「弔ってもらうつもりだが」 「絶対疑われるわよ、あんたが殺したって」 「三対一で?刃物による傷もないのに?だいたい、わざわざ殺したヤツが死体を持ってくるか?」 「あんたはここの領主を知らないからそんなことを言えるのよ」 そういう道理のわからないバカってことか。ちょっとだけ頭が痛いなそれは。しかし放置しても土に埋めても野犬のエサや病原体の発生源だぞ。死んでからも迷惑な連中だ。 「しかしほっとくと腐って病気のモトになるだろ。焼けたらいいが焼くのもバレそうだ」 「どうせすぐにみんな死ぬのよ」 「バカなことを言うな。お前何歳だよ」 「16」 意外だな。発育不全か。クソ領主の野郎のせいで未来のボッキュツボンがキュッキュッキュッじゃないかふざけんなよもっと発育させろよ! 「あんた今私のこと見てすごく失礼なこと考えたでしょ!」 「OK.ミーミル、魔法が使えないというがこの娘は読心が使えるのか?」 「使えなくてもわかるだろそれは」 娘の父親までそんなこと言い出した。いやらしい目で見るよりマシだろ。 「わかったわかった、キュッキュッキュッがボンキュッボンになったら全力で相手してやるから」 「何よバカ!とっとと死んでこい!」 「死ぬ死ぬ言うのはやめろ。俺は死体押し付けたらさっさと戻ってくるからな」 「できもしないことを……」 「やろうとしなければ何もできないぞ。だから俺はやりとげるからな」 「ふん……勝手にすれば?」 「勝手にさせてもらうぞ」 それだけ言うと、俺は死体を押しつつ立ち去ろうとした。 「……待ちなさいよ」 「なんだよ」 「もし、もしよ。あんたが領主をどうにかできるくらいの奴だって言うなら、一つだけ頼みがあるわ」 「言うだけなら言ってみろ。言うだけならタダで聞いてやるよ」 「……領主の城に、私の友達のダナが捕まってるわ。もう間に合わないかもしれないけど、助けられたら助けてほしい」 「見返りは?それをやっても俺に得ないだろ」 「……そうね」 「ちなみにその友達もキュッキュッキュッなのか?」 「あんたね!……私よりは発育いいわよ」 「助ける理由ができた」 「さいってぇ!!」 最低くらいがちょうどいい。俺は人助けを無償でするような、ヤバい正義の味方なんかにはなりたくない。そんなヤツがいたら人間性失われてるか病気かのどちらかである。そういうヤツがいたらとりあえず心療内科を勧めたい。 死体を押しつつ、街道をゆく。 しばらく進んでいくと、それなりに立派な石造りの建物が見えた。これが領主とやらの城か。通用口に回り込み、無言で呼び鈴を鳴らす。 「何の用だ」 「おたくの兵士さんが、天災にまきこまれたみたいで……その、なんだ、気の毒なことになってたんでご遺体持ってきた」 「何だと!?」 ざわざわと城の中から騒ぎ声が聞こえる。ガチャガチャという槍や鎧の音がだんだん大きくなり、そして、通用口の門から兵士たちが何人も出てきた。槍を突きつけられ、囲まれる。想定の範囲内ではあるが、気分のいいものではない。 「どういうつもりだ?」 「どういうつもりもなにも、不幸な災害に巻き込まれたご遺体連れてきただけだ」 「不幸な災害?貴様が何かしたんじゃないか!?」 「まぁ待て」 ん?どうやら少しは話がわかるヤツもいるようだ。そういうヤツばかりなら殺し合いばかりをせずに済むとは思うが……。立場が上の兵士が部下に何かを話している。 「この男が兵士3人相手にどうこうできると思うか?」 「しかし」 「いずれにしろ話は聞かせてもらうべきかと思う。不審なことがあればその時はその時だ」 「話がわかって助かる」 こうして俺は、領主の城に入ることができた。さて、ここに住むのは鬼か悪魔か。神人などというご大層な名を名乗っているってのがもうね。
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