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第三章一節a

THIEFー召喚札師アミエラー  召喚札師(リスナー)はカードが無ければ無力な存在。その召喚札師(リスナー)にとってこの国は重要拠点となり得る国である。  紺碧の色彩を国色としたリックランプ国。大いに賑わう町を歩くのはほとんど召喚札師(リスナー)であり、もしくは関係する職業の者がほとんどだ。  召喚札師(リスナー)達はカードを製造するこの場所で新たなカードを入手するが、仲間(アセス)に関しては契約する都合もあってから自力で手に入れる必要があるのでそれ以外のカードとなる。    そうした事情などもあり、リックランプ国は永世中立国として存在し続けている。万が一召喚札師(リスナー)に関する技術を奪わんとする国が侵略しようとしても、それを阻止せんと他国が動くような仕組みを早い段階から組み込んでいるのだ。  プラッタの街からダンテライガーのダインに乗り、ワンド達は徒歩で三日四日かかる道を僅か一日に短縮するまでに至る。  街の手前の林でダインをカードに戻してカード入れにクロスは収め、カード入れの中身を再確認し始めていた。 「……カードも補充しておかないとな」 「カード売買にはもう協力しないぞ。貴重なカードを失いたくはないからな」  同じようにカードを出して手に持ち確認しているルイはクロスに即答し、カードを確認する目を鋭くしてクロスを睨みつけていた。プラッタの街で情報料を支払わざるを得なかった事を根に持っているらしい。 「俺はランクの高いカードはほとんど使わないからな。入手も限られるし、コストもデカイ」  クロスの言うコストとは魔力の消費量である。まず仲間(アセス)の召喚時に魔力消費量も加わる。その後の実体化の維持、仲間(アセス)の持つ能力の行使には召喚札師(リスナー)の魔力で賄われる。  その中でさらにサポートの為に呪文(スペル)道具(ツール)といったカード群を使う為、魔力管理は召喚札師(リスナー)必須の知識である。自分の魔力の総量などと相談し必要なカードを必要なだけ、最低限の使用で済むように努める。  カードを確認していると、クロスのすぐ前にワンドがじっとカード裏を見つめながら何かを訴えようとしている。召喚札師(リスナー)のカード裏は赤紫色の地に赤、青、黄、緑、灰の円を線で結んだ五角形が画かれ、中央に白の少し大きな円が存在する。  円はエレメンタリスを象徴する属性を表すもので赤は火、青は水、黄は地、緑は風、そして灰は無属性。中央の白色は属性ではなく、この世界の中心に存在するとある存在を表しているものだ。 「……カードを見たいのか?」  クロスがそう言ってみるとワンドは大きく頷き、少しだけ間を置いてからクロスは手にしていたカードの中から仲間(アセス)だけ外してからワンドに手渡す。  手渡されたカードを笑顔で受け取ったワンドは指先で持って扇状に広げる。渡されたのは呪文(スペル)道具(ツール)カードのみ、イラストの枠色が銀や銅の色の二種類のみなのでランクはB〜Cのもののみだ。カードの上部には、エレメンタリスの古い言葉でカード名が記載されている。 「自分からカードを見せるなんて珍しい人デスネ」 「俺のカードは把握してもらっておきたいからな。何かの時にそれが役立つ事もある。仲間(アセス)は人見知りする奴もいるから、見せられるやつとそうでないやつとがいる」  召喚札師(リスナー)にとって手の内を明かすのは危険極まりない事、暗黙の了解にて禁忌とすべき行為。普通ならしない。  それを踏まえて話してきたクラブスに答えながらクロスはワンドの持つカードに三枚だけ追加する。仲間カードとなったグレムリンのハント、ファイアードレイクのエックス、そしてダンテライガーのダイン。 「こんにちは。こんな形で挨拶する事になりましたが、ワンドと言います。よろしくお願いします」  カードに挨拶、というのは不自然なようにも思えるが仲間(アセス)はカード状態でも意識を持っているので話しかければ通じる。  クロスの三枚の仲間(アセス)カードが微笑むワンドに対し、応じるように小さく光った……ようにクロスは見えた気がした。
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