5 / 167

真夜中のラジオ 4

 輝は、森高の伯母が自己紹介をして手を差し伸べてきたので、ガチガチに緊張しながらその手を取った。やわらかい手だ。暖かく、柔らかい。  こちらが、森高と血のつながりのあるほうなのだろうか? 森高と、森高の伯母を見比べると、あまり似ていない気がした。しかし、この人は外国人だ。ハーフには見えないが外国人だ。そういえば日本語に少し訛りがある。  輝が顔を赤面させてきょろきょろしていると、森高が咳払いをした。 「伯母さんは、アメリカ出身なの。ドイツ系アメリカ人の三世。私の母の兄が、伯母の旦那さん。つまり、私と血のつながりのあるのは伯父さんのほうなの。わかった? わかったら伯母さんと私を見比べるのはやめてよね」  森高がそう言って迫ってきたので、輝は彼女をなだめながらフォーラに挨拶をした。 「高橋輝です。よろしくお願いします」  輝が挨拶を終えると、森高は不機嫌そうに輝を見た。輝は、確かにフォーラのすべてが気になっていた。タイトスカートの中から延びるすらりとした白い脚、ふくよかな胸、そして、ハリウッド女優も顔負けの美人。学校ではマドンナと言われている森高が幼く見えてしまい、思わず輝は森高から目をそらした。  それがさらに気に入らなかったのか、森高はもう一度咳払いをした。 「それで、伯母さん、今回の件なんだけど」  森高の一言で、フォーラの瞳の色が変わった。その金色の瞳は曇り、緊張を帯びていた。 「真夜中のラジオね」  森高が、頷いた。 「真夜中のラジオ?」  輝が聞き返すと、フォーラが頷いた。 「ここ最近の混乱の元凶が、どうやら深夜に放送されているラジオのせいらしいのよ。それも、公共の電波を使っているから、だれもが聞くチャンネルからの放送が原因みたいでね。町子ちゃんやそのお友達、それに私の夫の調査で、これだけはわかったの」  そう言って、フォーラが森高に目配せをした。頷いて、森高は話し出した。 「時間帯で言うと、朝六時から夜九時までの時間帯にやっているテレビ番組の電波に、何らかの細工をして、深夜のラジオを聴くように、みんなを誘導している人物がいるみたいなのよ。そして、深夜に最も強くなる電波に乗せて、一種の洗脳プログラムが組まれた音波を出してみんなを操っている。その人物の目的まではわからないし、犯人の特定もできていない。このことを警察に話しても、同じく洗脳されているから取り合ってはもらえないだろうし。それで困っていたら、私以外にも洗脳にかかっていない人間がいた。それが輝、あなただった。そこでお願いがあるの」 「お願い?」  森高とフォーラは、頷いて、二人同時にこう言った。 「高橋君、実験に協力してほしいの」
良い
エロい
萌えた
泣ける
ハラハラ
アツい

ともだちとシェアしよう!