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第1話
金曜の夜、業火だった。
いつもの暮らしが燃えている。
逃げる人はおろか、誰一人といない瓦礫のみがある業火の空間。
俺は咄嗟に頭や口、鼻などを制服で覆い隠して
怪我や意識が無くなる事はなかった。
だが、進んでも進んでも炎は赤くなるばかり。
ついには倒れてしまった。
楽しいか?
ふとそんな声がする。
それに俺は立ち上がるというよりかはまるで、
‘糸のような物で体を起き上がらされた’というべきだろうか。そんな変な感覚を感じつつも前を見た。
白い髪の男の子だ。
年は俺と同じ16ぐらいで、服装は焼けこけたように黒い軍服らしき物を纏い、胸元には勲章のようなバッチが彼の威厳をより引き立たせる。
だが、このおぞましい業火や軍服よりも目を引くのがこの目つきだった。
いかにも常人とは思えない獣のような目つき。
その目つきのまま白髪の男の子は手に絡まった糸を一つはじくと一瞬にして空間を作って見せた。
そして殺意に満ちた声で言うのであった。
「お前が望んだ結末だ。責任を取れ」