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宝を探しに

「到着したな」 「そうだね、お兄さん」  俺と妹はとある島にたどり着いた。  俺の名前はポール。遥か今年で十八になる。小柄な体格をしているが、これでも運動神経はいいと自負している。髪は金髪だがこれは地毛である。  二年前から妹のスミスと一緒に航海を始めた。妹は今年で十七になる。悔しいことにスミスは俺よりも身長が高い。運動神経も俺よりも良い。ちなみに赤色の髪をしているが、これは本人が染めてこんな色になったらしい。  航海をしたばかりのころはいろいろ苦労もしたきたが、今もこうして航海を続けている。  俺は船の錨を下ろし、早速上陸した。妹も俺に続いた。 「いやぁー、久々の島は気持ちいいね! お兄さん」 「そうだな」  はしゃぐ妹を見ていると微笑ましい気分になっている。  だが、この島に来たのは観光ではない。とあるお宝を探すためである。 前に上陸した島で宝の地図を入手し、はるばるこの無人島までやってきた。 本によれば大昔、栄えた島だったらしい。 「スミス。早速だけど、宝探しに出かけるぞ」  そう言うと、スミスは露骨に嫌そうな顔をした。 「えー、そんな急がなくて良いじゃん。今日は適当に島を見て、明日宝を探そう」 「そ、それもそうだな」  俺はスミスの意見を聞き入れる事にした。正直、スミスが機嫌が悪くなるとめんどくさい。喧嘩をしてもいつも負けるしな。  そういうわけで俺とスミスは観光がてら島の中を探索することにした。向かった先は森の中。  森には色んな植物が存在している。植物の中には食べれる物もある。まずは食料を調達しようと思った。 「ねぇ、お兄さん。この赤い実食べれるかな?」  スミスは高い木に生えている大小、様々なサイズの赤い実を指差した。 「あれはダメだ。前の島にあった図書館で読んだ事がある。あれはディスミレという実らしくな。食べると笑いが止まらなくなるらしい。しかも、超まずいらしい」 「そうか。残念だな」  心底、スミスは残念そうな顔をした。  歩き続けることおよそ三十分、森を抜け巨大な遺跡のような場所に到着した。 「すごい、なんだろこれ?」  俺は前の島で手に入れた地図を取り出した。 「おそらくはここに宝が隠されているんだろうな。地図を見た感じここが記してある宝が隠されてある遺跡っぽいな。一応、ここに発信機をつけておくか」  俺はポケットから小さい小型の機械を置いておいた。これを置いておく事で腕につけている機械と連動させることができ、発信機を置いた場所を常時、把握することができる。 「遺跡の中は明日見に行こうね。それよりも私、お腹すいた」  俺とスミスは朝から何も食べていない。そろそろ、夕暮れ時、お腹が空くのも無理はない。 「何か食料を探しにいくか」  再び森に入った。森で木の実などを幾つか採った。 「うわー! お兄さん、私の腕に虫がついてる。払って!」  スミスの方を振り向くと、肩に蜘蛛のような生き物がスミスの方に乗っていた。  こいつ、強いくせに虫には弱いんだよな。俺はバシッと虫を払った。 「はぁ......ありがとう。お兄さん」 「い、いや気にするな」  眩しい笑顔でお礼を言ってきたのであまり悪い気はしない。  再び前を向くと、大きい猪のような生き物が前にいた。 「ブォォォォ!!!」  けたたましい雄叫びを猪のような生き物がした。 「うわ!」  俺は思わず、後ろに下がった。 「何? お兄さん。こんなのが怖いの?」  バカにしたようにスミスが言ってきた。スミスはゆっくりと猪のような生き物に近づいていった。 「おい、スミス! 危ないぞ!」 「ブォォォォォォォ!!!」  猪のような生き物はスミスに向かって体当たりをしようとした。  するとスミスは、 「オラァ!」  猪のような生き物の脳天に強烈なパンチをお見舞いした。スミスにパンチを打たれたその生き物は白目になった。死んだのか? それとも気絶したのか?  一つ言えるのはーー俺の妹、めっちゃ強えなぁ。どんだけの怪力なのやら。 「よし! 食材ゲット!」  カッツポージをした後、スミスは自分の倍近くもある、生き物を担いだ。つーか、それ食べるつもりなのだろうか。  森を抜け、俺たちは船を停めてある近くの砂場へと移動した。船から道具を下ろし、テントを組み立てたりして、キャンプをする準備を行った。  テントを組み終えた時には、太陽が沈みそうになっていた。  太陽はまるで海に沈みそうになっていた。水面に適度な光度の太陽が輝き、幻想的で華麗な風景を生み出していた。 「すごい、綺麗な夕焼けだね。お兄さん」  スミスを珍しく風景に感銘を受けているようだ。普段、航海をしていると、初めて見る海洋生物に心を踊らせている様子はちょくちょく見ていたものの、綺麗な風景と言ったのは初めて聞いた気がする。  適度に吹いてくる潮風がスミスのやや長めの髪をなびかせた。こうして見ると普通の女の子の感じがする。 「そうだな」  俺は相槌を打った。  すると、スミスは道具箱から何かを取り出した。取り出したのは調理用のナイフだった。 「さーて! こいつを調理するか!」  その言葉を聞いた瞬間、俺は命の危険を感じた。スミスは料理がド下手なのである。  以前、スミスが作った料理を食べたらまるで時空を超越したかのような衝撃を受けた。もちろん悪い意味で。 「やめろ! 俺が料理する!」  俺は急いでスミスから調理用のナイフを取り上げた。スミスは腑に落ちなそうな顔をした。 「えー! 私が捕まえたのに......」 「お前はゆっくり休んでな。ここは俺がやるからさ」  サムズアップをし、爽やかな笑顔でそうスミスに告げた。絶対にスミスには料理をさせたくはない。 「分かった。それじゃ、ちょっと私、その辺ランニングしてくる」  スミスはそう言い、向こうの方に走って行った。スミスは船の上でもトレーニングを欠かせない。本人曰く、海賊は体力が命なのだそうである。  まぁ、あいつの戦闘力の高さのおかげでなんども危機を脱したことがあるのも事実である。  まずはナイフを器用に使い、肉を食べられるサイズに捌いていった。  鍋に海水を入れた後、肉を投入し、ガスバーナーで沸騰し、血を落として行った。  鍋に入っている水が赤くなったら水を捨て、また海から海水から足していく。この作業を一時間ほど繰り返した。  血を洗い終わったら、木の串を肉を刺した。前の島で買っておいた塩、胡椒といった香辛料を適量で振りかけた。  集めておいた木々にマッチを使って火をつけた。ガスバーナーで肉を炙っても良かったのだがまぁ、この方が雰囲気がでるだろう。  火に肉を近づけ、肉を焼いていった。ジュウジュウといった音を立てていてとても美味しそうである。  すると、スミスが走ってこちらの向かってきた。 「お兄さん、料理できたの?」 「あ、ああ。それよりもお前、なんで分かったんだ?」 「美味しそうな匂いがして」  すげぇな。犬かよ。言ったら、キレられそうなので黙っておいた。 「あっつ。ちょっとシャワーに入ってくる」  スミスは船のシャワー室に向かった。戻ってくる前に料理の支度を終わらせてくるか。少し大きめな木の実を持ち、ナイフで切り込みを入れた。  しばらくすると、スミスが船から戻ってきた。 「早く食べよう! お兄さん」 「分かった分かった」  俺は肉の串焼きをスミスに渡した。俺たちは砂浜に座り込んだ。 「いただきます!」  ガブッと、スミスは肉に噛り付いた。 「やばい! 超美味しい! さすがお兄さん。料理上手いねぇ」  満足そうな顔で、スミスはひたすら肉を頬張っている。そんなに美味しいのか。  俺も肉を口に入れた。  肉は思ったよりも柔らかく歯ごたえがあった。味付けも我ながら悪くなかった。 「お兄さん、肉おかわり!」 「はいはい」  残っている肉を適度な大きさに切り、串に刺してやった。 「火に近づけて炙ってくれ。しっかり中まで加熱するまで待てよ」 「分かった」  串に刺さっていた肉を食べきり、俺は先ほどの大きめな木の実を取り出し、ストローを刺した。この木の実の中には甘い汁が入っている。  飲み物としてよく使われると本で読んだことがあった。  さっそく、飲んでみた。思ったより、冷たくココアに近い味がしてなかなか美味しかった。  俺は木の実をスミスにも渡した。 「ほら。お前の分だ」 「やった! ありがとう!」  スミスは受け取り、木の実の汁を飲んだ。 「美味しいね、これ!」  少し飲んだ後、スミスは再び肉を食べ始めた。しかし、よく食べるなぁ。  徐々にあたりは暗くなってきた。今日は天気がいいため、星空がよく見えた。 「あー美味しかった」  スミスは砂浜に寝転がった。 「わー星空綺麗。ねぇ、お兄さんも見てみ?」 「え? ああ」  スミスに促されたので、俺も寝転び星空を見上げた。  無数とも思える星空が見え、様々な色合いと明るさの星々が輝いている。 「流れ星見えたりしないかな?」 「なんだ? 何か叶えたい願いでもあるのか?」 「うーん、まぁ。あると言えばあるかな。ただ、流れ星見えたらラッキー! みたいな?」 「なるほど。ちなみに叶えたい願いってなんだ?」  俺はつい気になりスミスに訊いた。 「えー? 秘密。お兄さんはなんかあるの?」  叶えたい願いか。俺は自分のしたい航海ができて、満足している。 「これから安全に航海できますように、とかかな?」 「うふふ。もっと大きいことを願えばいいのに」  スミスは俺の方を向き、少しバカにしたかのように微笑んだ。 「いいじゃねぇか。俺の叶えたい願いも言ったんだからお前のも教えろよ」 「やだ。まぁ、いつか気が向いたら教るよ」  気が向いたらか。いつになるのやら。  スミスは起き上がり、ポケットから何かを取り出した。 「じゃーん! これ見て! お兄さん」  暗くてよく見えない。俺も起き上がり近くでスミスが取り出した物をみた。  これは......ディスミレじゃないか? 「お、お前どうしてこれを?」  ふふーんと得意気な顔をした。 「いやーちょっと、どんな味がするのか気になって何個か手に入れておいたんだ」  まじか。まさかこいつ、食べる気なのか? 「お前食べる気か? 辞めた方がいいぞ」 「そうかなぁ。ちなみに毒はないよね?」  少し不安そうな顔でスミスが訊いてきた。 「ま、まぁ確かに毒はないんだが」  本には、食べても体に異常を来すことはないとかいてあった。 「ならいける!」  俺の警告も聞き入れず、パクッとスミスはディスミレを口に入れた。すると、 「あっはははは! 何これ、超不味い! うけるんだけど。あはははは!」  突然、スミスが笑い出した。やはり不味いのか。それと食べたら笑いが止まらなくなるっていうのも本当らしい。 「あはははは! やばい! お腹が痛い! どうしようお兄さん?」  笑いながら質問された。どうしようって言われても。どうしたらいいか分からない。これはディレスミスの効果が切れるまで待つしかないだろう。 「だから辞めておいた方がいいって言ったのに......効果が切れるまでおとなしく待つしかないな」  そう言うと、笑った顔をしながら少し不服そうな顔をした。 「えー? あははは! それは困った。あははは! お兄さんも食べてみ? あははは」  何とトチ狂ったかもう一つ手に持っていたディスミレを俺の口に突っ込んできた。  突然の出来事に思わず面食らい、俺は飲み込んでしまった。  口には今まで感じたことのない苦味と渋みを感じた。やはり不味いな。だが、問題は味じゃない。 「あはははは! スミス、お前何してくれとんじゃ! あはははは!」  俺は笑いながらスミスに怒った。こいつ、なんで俺にも食べさせようと思ったんだ。 「あはははは! 私だけこのままじゃあれじゃん? あはははは!」 「あはははは! あれってなんだ? あはははは!」 「やっぱりさ。あはははは! 一緒に。あはははは! 苦しさを感じた方がいいんじゃなかと思って。あはははは!」  こいつ、身勝手すぎるだろう。何だ一緒に苦しさを感じた方がいいって。やつあたりか? 「あはははは! お前、後で覚えておけよ。あはははは!」 「あはははは! お兄さん。あはははは! 喧嘩で私に勝ったことないじゃん。あはははは!」  全くもってその通りだ。 「あはははは!」 「おほほほほ!」    およそ一時間後、ようやく笑いの症状が収まった。 「ハァハァ......疲れたな」 「そ、そうだね。ごめんお兄さん。ちょっとおふざけが過ぎたよ」  珍しく素直に謝ってきたので、怒る気が失せてしまった。 「まぁ、分かればいいよ。今日はもう寝よう」  俺とスミスはテントに入り、寝袋を被った。 「久々に陸地で寝れたなぁ。一週間ぶりくらいか」 「そうだね。ふわぁ......眠い。お兄さんおやすみ」 「おやすみ、スミス」  疲れからか俺はあっという間に寝落ちした。  朝になり、俺は寝袋から出て、テントに外に出た。俺はストレッチをして体をほぐし、軽く運動をした。  昨日の残りの肉を木の棒に刺し、ガスバーナーで炙り食べた。スミスよりも一足早く朝ごはんにすることにした。  肉を食べ終え、俺はスミスを起こすことにした。テントに戻り、寝袋に籠もっているスミスに話しかけた。 「おい、起きろスミス。朝だぞ」 「うーん。無理だよ。そんなたくさん肉を食べたらお兄さんが怪獣みたいに大きくなっちゃう......」  どんな夢を見てやがるんだ。こいつは。  俺は一度、テントから出て、スミスのために焼いたばかりの肉を持ってきた。  美味しそうな匂いで起こす作戦である。 「スミス、朝ごはんだぞ」  すると、スミスはぱちっと目を開け、起き上がった。 「あーお兄さん。おはよう。良かった。お兄さん、怪獣になってなかった」  何を言っているのかよく分からないがとにかく目を覚ました。  スミスもテントから出て、肉を食した。昨日と変わらず、美味しそうに頬張った。  朝ごはんを終え、早速、昨日の遺跡探索へと向かうことにした。 「それじゃ、行くか」 「おー!」  腕の機械を頼りに発信機を設置した場所に向かった。  十五分後、昨日の遺跡にたどり着いた。遺跡はピラミッド型に様々な大きさと形の岩で作られており、少し歪な形をしているものの、どことなく神々しいな雰囲気を醸し出していた。  中に入ると、薄暗く一方通行の道で俺とスミスはまっすぐに奥へと進んでいった。  ある程度奥へ進むと、広いところに出た。奥には三つの穴が空いていた。この三つの中から選んで入れということか。 「どれを選んだらいいんだろう?」  スミスがそう言い、俺は考えた。三つの穴には全てどこかに繋がっているのだろうか。それともそれぞれ別の部屋に繋がっているのだろうか。部屋を見渡しても岩壁ばかりで特に手がかりのようなものはない。 「真ん中の穴に入ろう」 「何か手がかりでもあったの?」  首を傾げてスミスが訊いてきた。 「特にはない。なのでとりあえず真ん中を進んでみようかと思ってな」 「ええー、大丈夫かなぁ......」  真ん中の穴に入り、奥に進んでいった。通路は狭く、人が一人入るのでやっとの狭さだった。   通路を抜けると新しい部屋に出た。  先ほどの素朴な岩でできた部屋とは打って変わってこの部屋はちゃんとした作りになっていた。  岩でできている部屋はしっかりと壁が装飾されており、何やら記号のようなものが彫ってあった。  ところどころ、ランプが吊るされており、奥には扉があった。  さらに、信じられないことに扉の近くには赤いドレスをきた、スミスと同じくらいの身長の長い黒髪の若い女性がいた。 「お兄さん、あれ人だよね.....」 「ああ、そのようだな。何だってこんなところに」  おそるおそる俺とスミスはその女性に近づいた。  目が合うと、その女性は口を開いた。 「ようこそ知恵のテストへ」 「知恵のテスト?」  俺は鸚鵡返しで聞き返した。 「はい。申し遅れました。知恵のテストの番人のソフィアと言います。この扉に入るには知恵のテストに挑んでもらいます。あのお名前を伺ってもよろしいですか?」  丁寧に俺たちの名前を訊いてきた。 「スミスでーす」  先にスミスの方が名前を述べた。 「ポールです。この部屋に入る前、他の二つの穴もあったけど、他にも何かテストがあるのか?」 「はい。体力のテスト、料理のテストがございます」  それを聞き、スミスは驚いたような顔をした。 「へー。それにしてもこの島にこんな若い人が住んでたんだね。無人島じゃなかったんだ」 「いえ、私は人間ではありません。この遺跡を作り上げたご主人様の召使いロボットでした」 「ロボット? どうみても人間にしか見えないな」  すると、ソフィアは腕を突き出した。瞬く間に腕は剣のような形に変形した。その光景を見て、危うく頭がついていけなそうになった。 「信じてもらえましたか?」 「ええ......」「ああ......」  俺とスミスは同時に返答した。 「それでソフィアさん。この扉の奥にお宝があるのか?」 「そうですね。私には中身が何かは分かりませんがご主人様はとてもすごいお宝だと言ってました。この部屋をクリアしたらもう一つ試練を受けていただいてそれもクリアしたらお宝を手に入れることができます」  これをクリアしたとしてももう一つ試練を受けなくちゃいけないのか。いけるだろうか。 「それで、知恵の試験ってのは何をしたいいの?」  早くやりたいとばかりにスミスが訊いてきた。 「簡単です。クイズに挑んでもらいます。三問連続で正解したらこ部屋に入れます。一問でも不正解だったらこの部屋から出て行ってもらいます。一問ごとの制限時間は三十秒なのでご注意ください」  不正解だったらこの部屋から出て行ってもらうというのは無理やり追い出す手段を持っているということだろうか。 「準備ができたら私に伝えてください」  スミスが俺のほうを向いた。 「クイズだって。なんか体力テストの方が簡単そうだったね」 「まぁ、お前はそっちの方が良さそうだな」  料理のテストはどんな感じなのだろうか。まさかプロレベルの腕を要求されるのだろうか。というか試練の番人がロボットとなると、味はどうやって判断するんだろうか。まさか、ロボットなのに食事ができたりするのか? まぁ、今はそんなことどうでもいい。 「ソフィアさん。こっちは準備ができた。早速試練を始めてくれ」 「かしこまりました。それでは第一問。太陽の直径はこの星の何倍あるでしょうか」  天体に関する問題を出してきた。 「お兄さん、私全然分からない。お兄さんは分かる?」 「ああ」  よく栄えた島に着陸した時には、図書館に行き、本を読む。天体に関する本も例外ではない。 「およそ百九倍だ」 「正解でございます」 「すごい! お兄さん!」  スミスが褒めてくれた。 「そうでもないさ」 「それでは第二問です。小惑星のうち、自分の重さで球体になるくらい重いものはなんというでしょう」  間髪入れず、ソフィアさんが次の問題を出した。 「お兄さん、小惑星って小さい星のことじゃないの?」 「違うぞ、スミス。後で教えてやるから。答えは準惑星だ」 「正解です。それではラスト、第三問。ものすごく素晴らしく壮大なのにも関わらず侮蔑の意味が込められている場所はどこでしょう?」  今までとは毛並みの違う問題が出てきた。どうやらクイズのようだ。 「えー、全然分からない。お兄さん分かる?」 「すまないがさっぱりだ」  俺は頑張って考えた。 「二十秒前」  今までは星に関する問題が出てきた。ということは今までの問題に何がヒントが? 「十秒前、九、八、七、六」 ふいに俺はギリギリのところで一つの答えを思いついた。 「答えは惑星だ」 「おめでとうございます。全問正解でございます」  すると、スミスはキョトンとした顔をした。 「え? 何で?」 「わ! くせえ! っていう単なる駄洒落だな」 「なんだーそういうことか。くだらないなぁ」 「では、お二人とも奥の部屋におすすみください」  ソフィアにそう言われ、扉の中へと進んだ。  扉の中にはとても大きな階段があり、階段を登りきった先はは平たい場所になっていた。  そこには立派な宝箱が置いていた。 「お宝だ!」  俺はつい足取りが早くなった。 「そうだね。早く取りに行こう!」  階段を登り切ると、ストンと上から人が降ってきた。そいつは右腕を使い、宝箱を抱え込んだ。 「最終試練担当のロボットのノアだ。俺に勝ったらこの宝箱をやろう。試練を始める前にお前たちの名前を聞こう」  ノアというロボットは細身で背が高く、鋭い目をしていた。白いシャツと黒いズボンというシンプルな服装をしていた。 「私の名前はスミス」 「俺の名前はポールだ。それで、最終試練は何を?」  俺は早速、試練内容を訊いた。 「簡単だ。お前たちが俺から力づくで宝箱を奪い、この平たいスペースから一歩でも出ればお前たちの勝ちだ。私は階段から降りないし、移動範囲は平たいスペースだけだ」  要はノアから宝箱を奪い、階段に一歩でも降りれば勝ちらしい。 「随分、俺たちの方が有利な条件だがいいのか?」 「ああ。だが俺も宝箱を奪われないようにお前たちが死なない程度に抵抗はするから気をつけろよ」 「どうする? やるか? 一応言っておくが、今までこの試練をクリアしたものはいないからな」 「やる!」  答えたのはスミスだった。 「やるよね? お兄さん」 「ああ。やってやるか! ちなみに時間制限は?」  俺はポケットからパチンコを取り出した。相手がロボットならこっちは思いっきりやれる。 「なしだ。お前たちの諦めが着くまでやってもいい。さぁどこからでもかかってこい」  俺は地面にあった石の破片を拾い、パチンコを使ってノアに打った。   牽制のつもりで打ったものの、ノアは一歩も動かず、石はノアにの頬に直撃したが意に介したような素振りはみせない。 「フン……痛くもかゆくもないな」 ロボットゆえに痛みには強いのだろうか。 「お兄さん、そんなんじゃ甘いよ!」  スミスがノアに向かって殴りかかった。おい、お前のパンチ、最悪ノアをバラバラにするまであるぞ。 「オラァ!」  強烈なパンチを打ったが、なんとノアはこれを片手で受け止めた。スミスの手を掴み、ノアはスミスを投げ飛ばしてしまった。  スミスは投げ飛ばされ、激しく背中を打った。 「いたた......」  俺は急いでスミスに近づいた。 「スミス! 大丈夫か?」  俺は手を差し出した。俺の手を掴みゆっくりとスミスは立ち上がった。 「うん......それにしてもあいつ超強いね」  確かに強い。スミスのパンチをまともに受け止めた奴なんて初めて見た。  以前、ガタイのいい、海賊船長が物品を奪うために乗り込んできた時、スミスはそいつにパンチをし、ダウンさせたことがあるのだが、ノアにはまるで通じない。 「今度は俺が行く」  俺はノアの後ろに回り込み、宝箱に手をかけた。  しかし、ノアは後ろ向きのまま俺を蹴り上げた。痛みに思わず顔をしかめ、倒れこんだ 「よくもお兄さんをー!」  スミスはノアに近づき、飛び上がり、キックを入れた。  しかし、ノアはなんとスミスのキックを頭で受け止めた。 「中々いい蹴りだ。少女よ。だが、相手が悪かったな」 ノアは蹴りをする予備動作をした。 「これが本当の蹴りだ」 「スミス、避けろ!」  俺の声に反応したことでスミスはすんでのところでノアの蹴りを避けた。ものすごい風圧が俺の方まで飛んできた。 「もういいだろ。お前たちは諦めて帰るべきだ」  諭すようにノアが言ってきた。スミスが倒れたいる俺のほうに近づいてきた。 「お兄さん、あいつ強いよぉ......勝てそうにない」  いつになく暗い声でそう言った。顔を見ると、目には涙を浮かべていた。スミスのやつ、そんなに自分より強い奴がいるのが悔しいのか。 「なぁ、スミス。ディスミレってまだ持ってるか?」 「うん、持ってるけど」  よし。俺はノアを一泡吹かせる作戦を思いついた。俺はスミスの頭に手を置いた。 「お前は弱くなんかない。俺よりもはるかに強い。俺に考えがあるんだ。耳を貸してくれ」  ノアに聞かれないように俺はスミスに自分の作戦を伝えた。 「作戦タイムは終わったか?」 「ああ。行くぞ、スミス!」 「うん!」  スミスがノアに全速力で向かっていった。 「ふん、何度やっても同じだ」 「その無表情、崩してやるよ。伏せろスミス!」  俺の指示通り、スミスは伏せた。突然の行動に驚いたのかノアは、は? という表情になった。  俺はディスミレをパチンコを使って、ノアの口に向かって打った。  見事にディスミレはノアの口に入っていった。ノアは一瞬、苦しそうな顔をした後、 「グフフフ......なんだこれは。笑いが止まらないグフフフ......」  不気味な笑みをしている。こいつが食べるとこんな笑い方をするのか。こええな。  ソフィアが料理のテストがあるといったことを思い出し、この作戦を思いついた。  試練用のロボットたちには味覚を司る機能があるのではないかと考えたのだ。まぁ、料理のテスト用のロボットにしか備わってない可能性もあったから割と一か八かの賭けだったが。 「今だ! スミス!」  腹を抱えて笑っている、というよりニヤついている隙だらけのノアから宝箱をスミスが奪った。  そのままスミスは階段に降りた。 「やった! やったよ! お兄さん!」  幼い子供のようにスミスが喜んでいる。  スミスに近づいた。 「よくやったな。スミス」 「お兄さんのおかげだよ!」  スミスは階段に宝箱を置き、俺に抱きついてきた。 「お、おう......」  スミスに抱きつかれ思わず照れそうになった。スミスを引き離し、 「早速、宝箱の中を見てみようぜ」  そう提案した。 「そうだね」  スミスが宝箱を開けようとした。しかし、開かない。よく見ると、宝箱には鍵がついている。  鍵がなきゃ開かないのか。 「あのー、鍵はどこにあるんだ?」  ノアに訊いた。すると、ノアは相変わらず不気味な笑みを浮かべながら答えた。 「グフフフ......笑いが収まるまで待っててくれ」 「お、おう......」  およそ、一時間後。 「お前たちがこの試練を乗り越えたことを認め、この鍵を渡そう」  ノアは金色の鍵を差し出してきた。俺は鍵を受け取った。 「どうする? この遺跡から出るか?」 「案内してくれるのか?」 「勿論だ」 「なら頼む」  俺たちは階段を降り、入ってきた扉とは反対側の壁に移動した。 「壁なんだけど」  スミスが不満そうに言った。 「お前たち、少し離れていろ」   ノアにそう言われ、俺とスミスは距離を取った。  次の瞬間、ものすごい音が響いた。ノアが壁に向かって強烈な蹴りを入れた。壁の穴からは外の景色が見えた。 「さぁ、これで出れるぞ」 「お、お前。遺跡をそんなぞんざいに扱っていいのか?」 「何を言ってるんだ。もうお宝を守る必要はないのだからこの遺跡は大して意味はない。ご主人様の命令はお宝を渡すにふさわしい人がくるまで遺跡を守るようにだからな。もう目的は達成したしな」  随分、ドライな考え方だなぁ。 「ノア。お前はこれからどうするんだ?」 「特に予定はない。適当に暮らして行く予定だ」 「なら、俺たちと来ないか? ノアが入れば航海に心強いんだけど」 「えー? こいつ、仲間にするの? あの笑い方とか不気味だったし......」  スミスはあんまり肯定的ではなさそうだ。確かに笑い方は怖かったな。 「悪いが遠慮しておこう。私はそれなりにこの島を気に入ってるしな」 「そうか。なら仕方ないな。じゃあ、ノアお達者で」 「ああ。二人とも元気でな。良い航海を」 「じゃーねー! 激強ロボットさん!」  俺とノアは遺跡を後にし、船を泊めてある場所に向かった。  すると、「待ってくださーい」という声が聞こえた。声の方を見るとソフィアが走ってきた。 「ソフィアさん、どうしたんだ?」 「お二人にお願いがあります。私はクルーにしてください」  突然の申し出に驚いたが、スミスが真っ先に答えた。 「ダメ!」 「そこをなんとかお願いします」  スミスは深く頭を下げた。 「絶対にダメ! お兄さんも反対だよね?」  俺のほうをガン見してきた。超怖い。なんでそこまで拒否するのだろう。ノアの時よりも嫌そうである。 「べ、別にいいんじゃないか?」 「はぁ? 何で? ソフィアさんが美人だからなの?」 「なんでそうなるんだ! ソフィアさんが入れば他の海賊に襲われても心強いだろ!」 「戦闘には自信があります。船の掃除も洗濯も私にお任せください」 「おお! それは助かるな」 「だから......もぉ!」  会話をしていると、三人組が近づいてきた。眼帯をつけている太った男、痩せ型の不健康そうな男、モデルのようは背の高いケバい女性だった。 「お前ら、その宝箱を渡しな」  女性が銃を宝箱をスミスに向けてきた。 「なんだお前ら?」  俺が訊くと、 「操縦士のジェイ!」  変なポーズを決めて、眼帯をつけている太った男はそう言い、 「船メンテナンスの鬼、ジョー」  自分の顔に親指を突き立て痩せ型の不健康そうな男が自己紹介し、 「そして、フランチェスコ海賊団船長のフランチェスコだ! ワッハッハー!」  船長と名乗る女性は銃を空に向けて発砲した。  すると、自己紹介を終えた三人組に対してソフィアは手を向けた。 「ん? なんだいあんた?」 「フレイムバースト」  突然、ソフィアの腕がキャノン砲になり、ビームが発射された。  フランチェスコ海賊団の三人はポーンと島の遠くに飛んで行った。 「あーれー!」「わー!」「お、覚えてろよー!」  三人は別々に叫び声を上げた。それにしてもいきなり、ビームをぶっ放すとかスミス以上に容赦ないな。 「どうですか。ポールさん。私も役に立つでしょう?」 「あ、ああ。そうだな」 「どうか、私をクルーにしてください。遺跡での役目を終え、新しい役目を手に入れたいのです」  さ、さすがに断ったらビームぶっ放してきたりはしないよな。 「俺はスミスがいいならいいよ。どうだスミス?」  すると、うーんと言う声を出し、三十秒ほど悩んだ後答えた。 「わ、分かった。いいよクルーになっても。でも、私の方が先輩だから!」  なんだ、先輩って。どうして急に先輩風を吹かせたんだ。 「はい! 先輩!」  ソフィアもあっさりとスミスを先輩と行った。 「それじゃ、二人とも出航しようか」 「うん、お兄さん!」 「はい、船長」  いつの間にかソフィアから船長呼ばわれされていた。  俺たちは船に乗った。 「そうだ! 出航前に宝箱開けない?」 「そうだな」  俺はポケットから鍵を取り出し、宝箱を開けた。  中には色取り取りの宝石と金貨が入っていた。 「うわぁ! すごいお宝だねぇ」 「そうだな。売ればとんでもないお金になりそうだ」  これだけあれば当分は航海にお金は止まらないだろう。 「まぁ、次の島に着くまでにこのお宝を辿りつけるかどうかだが......」  他の海賊船に襲われ、宝を奪われないとも限らない。まぁ、スミスとソフィアが居ればそうは奪われはしないと思うが。 「ん? 何か地図みたいなのが入ってる」  スミスは宝箱のすこから薄い紙を取り出した。 「ちょっと見せてくれ」  俺はスミスから地図を受け取り、内容を確認した。地図には宝のありかが記されていた。 「宝の地図が記してある。ここからそこまで遠くはないな」 「そうなんだ、絶対に行こう!」  スミスは心を踊らせていた。地図の裏を確認すると、左に天体図と右に大きくとある惑星の絵と名前が記されていた。 「なんだこれ? ジ・アース?」  すると、ソフィアが説明した。 「ご主人様が生前言ってました。この太陽系にはジ・アースという私たちの惑星と近い環境の星が存在すると。ご主人さまは島の外の人間に自身の発見を伝えました。しかし、ご主人様の発見は虚言だと誰からも信じてもらえませんでした。宝と一緒にジ・アースのことを記した紙を入れていたんですね」 ソフィアはどこか懐かしそうな表情をしている。 「そっか。ジ・アースか。本当にあるかもしれないな」 「ありますよ。ご主人様は本当に優れていた方でしたから」  今考えれば、ソフィアが出してきた問題は星に関するものばかりだった。それほど、自分の主人を慕っていたということだろう。 「そうか。とりあえず出航するか。これからよろしくな。ソフィア」 「はい。こちらこそ」  ソフィアが微笑んだ。いつも無表情だと思っていたが、こんな顔もするのか。 「それじゃ、二人とも出航するよ! 準備はいい?」  スミスは舵輪を握っている。 「ああ。それじゃ次の島に向かってしゅっぱーつ!」 「おおー!」「おー」  三人で一緒に腕を上げた。次の島では果たしてどんな困難と冒険が待っているのやら。    
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連載中/3話/3,856文字/-64
2018年1月28日
人とアンドロイドが織りなす心温まる愛の話
完結済/1話/7,213文字/0
2020年5月1日
元カノからの突然のLINE!?何があったかは見てのお楽しみ!
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完結済/7話/1,606文字/0
2021年10月15日