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第4話 楽しいハイキング
左手にスイカ畑が広がり、その先には乳牛が放牧されているというのどかな景色が現れた。
スズカ「冗談よね…牛がいるわ。」
自分の目で見ていても、疑いたくなることはたくさんあるものだ。
グリーウェ「本当にこっちであってるの?」
心配になって牛と道を交互に見る
シャンソナ「私がジャンプできれば、ちょろっと行って見てくるのに。」
ハチ「そうじゃん、とっとと見てきなよ!」
シャンソナはばつ悪そうな顔をしているだけ。
グリーウェ「無理よ、シャンソナは今、飛べないのよ。」
ユキホ「え?お前、消えれないのか!」
シャンソナとの戦いではいつもテレポートで逃げられているユキホ、嬉しそうです。
シャンソナ「なんか針とか、電気治療って危険ね。あれをやってから、どうも、調子悪くて…まあそのうち治るわ」
ハチ「はあ?今使えないんじゃ、なんにもなんないだろ?」
グリーウェ「まったくよね、バカなんだから」
スズカ「本当よ、役立たず!」
みんなは口々に罵りながら、先に進む
シャンソナ「…そんなに、言われるわけ?」
ちょっとまってよ、ひどくない?と後を追うシャンソナ。
ユキホ「なぁ、スイカいっぱいあるなぁ」
収穫はとうに終わっており、見捨てられたスイカがいくつか転がっている。
シャンソナ「この辺の動物は良いもの食べてるわね。」
かじられたスイカに目をやる
ユキホ「 オレもくいてぇ」
スズカ「やめなさいよ?腐ってるわよ」
グリーウェ「冬野? 早く前を歩いてよ!クモの巣係り? 」
冬野はユキホの苗字です
ユキホ「なんの係りだっ!」
しばらくすると民家がありました
こんな山奥にも人は住んでいるんです。
ハチ「喉乾いたのに、自販機もないね。」
スズカ「あるわけないでしょーが、こんなところに。」
水筒やペットボトルも持たないでこんな暑い中を山登りとは…
シャンソナ「診療所に行ったら何かあるんじゃない?」
民家の横で何やら作業をしていたおばさんが五人の声のほうに振り返る
おばさん「…」
登山をするような雰囲気を持ち合わせていない連中に、こんなところに何しにきたのだろう…といういぶかしげな様子。
ユキホ「こんにちわ!」
スズカもその声と同時ぐらいに会釈する。
おばさん「あぁ、こんにちわ。」
不思議なもので挨拶を交わすと不信感や緊張感はほぐれるものらしく、おばさんは笑顔すら見せていた。
ユキホ「お前らもちゃんと挨拶しなきゃダメだろ!」
知らん顔して通りすぎるハチたちに向かって注意した。
ハチ「ふん、そんなもんくそ食らえさ!」
グリーウェ「だいたい向こうから先にするのが当たり前でしょ?」
シャンソナ「こんなところにも人が住んでるのねぇって思ってたら通りすぎちゃったわ」
ユキホは目をぱちくり。
ユキホ「 お前らって、何者なんだ?」
上りと下りの二手に別れた道にやってくると、側の木には7ヶ月くらいの子犬が2匹、無造作に繋がれている。
私有地につき立ち入り禁止の板もある。
スズカ「どっちなの?」
スズカはキョロキョロする
グリーウェ「こんな道の間にあるんじゃぁどっちかわかんないじゃない?」
ハチ「どうせなら下りがいいよ」
シャンソナ「そーいう問題じゃないでしょ!」
四人が真剣に悩んでいる横でユキホは犬たちと楽しくたわむれている。
ユキホ「こいつはすっげぇなついてくるけど、あいつはオレを怖がってるみたいだ…。ハチ、オレは悪いやつじゃないってあいつに教えてやってくれよっ。」
犬の方に目をやると、確かに一匹は警戒しているのか、鎖ぎりぎりまで離れて、しかし尻尾はふっていた。
グリーウェ「こんなやつが近づいたら余計、犬が怖がって逃げちゃうわよ!」
ハチ「あたいの力を知らないね!」
モスグリーンのアウルが浮き上がる。途端にうるさかった蝉の声がピタリと止んで、警戒していた子犬はハチをじっと見つめる。
シャンソナ「ふぁーっ。なんか眠くなってきた。」
シャンソナは大きく伸びをする。
スズカも眉をよせて頭をふった。
スズカ「 ちょっと!音波使うのやめなさいよね!」
グリーウェ「? なぁに?」
ユキホ「くわーーーっ」
頭の中がゾワゾワしてたまらないユキホは押さえ込んで飛び回る。
しかしサイボーグ化しているグリーウェにはなんの問題もないようだ。
グリーウェ「弾性高周波か…B級ね、使い分けて動物を操るようだけど。人間の脳には軽い催眠効果程度しか影響はない…はずだけど、雪豹《ユキホ》は大袈裟じゃない?」
グリーウェのアイモニターはハチのESPの体質を分析している
ハチ「ギロっ、つべこべうるさいね!」
ハチは力を入れて目を見開いた!
ブゥーーーーーーン!!
大きな羽音と共に蝉の大群が現れてグリーウェに襲いかかる?
グリーウェ「はっ!きゃぁぁぁ」
シュシュゥゥーーンっっ
グリーウェは驚いてとっさに全身をブラックメタルのコンバットスーツに身を包んだ。
ハチ「ふん-w」
蝉ごときでビビっているグリーウェを笑う。
スズカ「いい加減にしなさいよね!」
バキバキバキ、ビビーーー!
スズカが空中にカデッチを散布させるとボタボタと音をたてて蝉が地面を埋め尽くす。
子犬「わんわんわん」
我にかえった子犬たちは元気よく吠えたてた。
ユキホ「蝉、いっぱいだ!」
シャンソナ「はあ。先に進んだ方がいいんじゃない。」
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