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第1話 魔法都市グリモア

「ねぇ、こんなところで寝てると…引くよ早く…きて! どうしたんだろう? もしかして…んでるのかな? もしそうなら早く警備隊と救護隊を呼ばなくちゃ! えぇ~っと、どうすればいいんだっけ…」  何処からか女の子の声が聞こえる。  あれ? 俺って学校で寝てたんだっけ? なんだか不思議な夢を見てたな…。  ゆっくりと目を開けると人が空を飛んでいた…。 「うん、夢だね…」 「夢じゃないですよ! 起きて! 起きてくださいったら! 君、何処で寝てるか分かってるんですか! 起きて! 起きてくださいってば! 」  さっきの声の主が俺の身体を揺する。 「おはよう、俺は君を知らない、だから放っておいてくれないかな? それじゃあ、おやすみ」  何てリアリティーのある夢なんだろう早く覚めてくれないかな…。 「もう起きてくださいよぉ~っ、私の名前はリア・エミル明日から魔導師学園『ルミナス』の1年生になります。その制服を見る限り貴方もそうなんですよね? 」  なんだか話がわけのわからない方向に進んでいる。 「きちんと自己紹介したんだから起きてくださいよ♪ 起きないと水かけますよ! 」  何を言ってるんだろう? 夢だから何をされても問題ないはず! 「もぅ~っ、怒りましたよ! 【ウォーター】! 」  その声と同時に水が降り注いでくる。 「ちょっ、何これ! 冷たい!」  目を開けて起き上がるとそこには女の子が心配そうな顔で俺を見つめていた。 「大丈夫ですか? 」  女の子がそう言って手を差し出してきた。 「まぁ、何とか…。それより此処は何処だ? 」  差し出された彼女の手を掴みながら彼女に話を聞くと 「あっ、ちょっと! 浮遊魔法をちゃんと使ってくださいよ! ってうわぁ!」  魔法? なんですかそれぇぇぇぇ~っ!  俺は女の子の手を握ったまま落ちていく…。何処から? ってうわぁ、俺って時計台の屋根で寝てたのかよ! 「わっ、私1人じゃ無理ですぅ~! 早く自分の浮遊魔法を使ってくださぁ~い! 」  女の子は落ちながら手を握っている俺に向かって叫ぶ。 「どうやるんだよ! その浮遊魔法って! 」  そう叫ぶと女の子は驚いた顔で 「えっ、嘘! じゃあどうやってあそこまで登ったんですか! 」  地面が近づいてくる…。 「手を離せって! そうしないと君も死ぬぞ! 俺を助けるために君まで死ぬことないだろ! 」  そういうと女の子は首を横に振って 「私は私の目の前で知り合いが死ぬところなんて見たくないんです! 」  そういってギュッと手を握ってくる。  クソッ、このままじゃマズい! 何か持ってないのか俺は…。  自分の持ち物を確認するとバックと刀があったバックのなかには紙切れが入っていて 『聖刀【グラム】これは形状を変えられる刀で重さも変えられるし魔法も吸収する能力があるから大切に使って♪ それとこのバックは君の世界で言うとドラ○もんの四次元ポケットみたいな物になってるから! それと君を転生させる場所を間違えたみたいだからバックの中に浮遊するためのシューズ【グラビティシューズ】を入れといたからそれ使ってね♪ 使い方は『レジスト』って唱えるだけだから!じゃ、第2の人生楽しんで! 』  と書かれていた。  マジか! シューズ! あっ、あった!  落ちていく感覚の中、俺はシューズを履いて 『レジスト』と唱えると俺はフワリと宙に浮く感覚があった。 「良かった、何とか間に合いました…」  女の子はフゥと息を吐き、ゆっくりと俺を地面に降ろしてくれた。 「ありがとう♪ えぇ~っと、リラさん? 」  降ろしてくれた女の子にお礼を言うと 「リアですぅ! リア・エミルです! それより怪我は無いですか? あっ、そういえばお兄さんお名前は? 」  無垢な瞳でリアさんは俺を覗き込んでくる。 「あぁ、うん…俺の名前は冨樫慧。さっきはありがとう」  そういってリアさんに手を差し出すと彼女はその手を握って微笑んでくれる。 「トガシって名前なんですか? 少し変わった名前なんですね♪ これも何かの縁です! 同じ学校だと思うからこれからもヨロシクです! 」  俺は手を握りながら 「ごめん、名前は慧で名字? が冨樫なんだよ」  それを聞いたリアは驚いた顔で 「極東(きょくとう)の出身だったんですね! はい♪ これからもヨロシクです! ケイ君♪ 」  そういって彼女は微笑んだ…。 「クシュンッ! 」  ぐしょ濡れだったのを忘れていた…。 「クシュンッ! クシュンッ! 」  ダメだ、寒くてくしゃみが止まらない。 「あっ、ごめんなさい! びしょ濡れだったんですよね! 家は何処ですか? 」  家…、この世界に転生してきたんだから帰る場所なんて何処にもない。 「もしかして何か家に帰れないわけがあるんですか? 」  そういって俺を見つめてくる。 「うっ、うん…。実は記憶が無くて町をさまよってるうちにあんなところに着いちゃって持ち物はこれだけなんだけど何も手がかりが無いんだよね…」  まぁ、あるはずが無いよね♪ だって俺は転生者だから…。 「そっ、そうなんですか! どうしよう…。とりあえずウチに来てください! 」  そういってリアさんは俺の手を取って歩き出す。 「えっ、いや、その、女の子の部屋にいきなり行くなんて…」  そう言うと女の子は気づいたのか顔を真っ赤にして首を振って 「違います! そういうことじゃなくて私の家が宿屋だから! だからシャワーを貸して服が乾くまでなら大丈夫かなって思ったんです! その代わりウチの宿屋の仕事を手伝ってくれると嬉しいなぁ~って…。お母さんと私で宿屋の仕事をしてるんだけどやっぱり男性が居てくれると心強いので♪ 」  そんなこと言われたら断るわけにもいかないじゃん。  俺は頷いて彼女についていくことにした。 「そういえば、この町の名前って何? 」  空を飛び交う人々を見ながら隣を歩くリアさんに尋ねると彼女は笑って 「ようこそ魔法都市グリモアへ」  と言って手を差し出してくる。 「こちらこそよろしく! 」  俺が差し出された手を掴むと彼女は俺の足元にむかって【レジスト】と唱えて俺を宙に浮かして彼女自身は【フライ】と魔法を唱えて、俺達は空を飛ぶ。 「まだ慣れてないからお手柔らかに頼みます」  そういうと彼女は笑いながら 「私の家までひとっ飛びです!」  そういって俺の手を引いたまま飛んでいきました。  そして宿屋に着いた頃にはもう俺は乗り物酔いで限界でした…。  俺はこの時思った絶対俺は地面を歩こう(緊急時以外は! )そう心に誓った。
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