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1-1-1 【桜瀬七波】 駄文
死ぬ。
殺される。
そんな言葉だけが頭の中身全てを支配して、それが原動力であるかのように足が前へと体を運び、あたしはビルの隙間を走り抜けていく。
もしもその言葉がなかったら、一歩も前に動く事なんかできない。……そんな風に感じられるほど、あたしはただひたすらに恐怖というものに捕らわれていた。
……という書き出しは、一体どーなんだろーか?
目下、この物語は始まりを見たわけだけど、あたし自身はぶっちゃけこんなヤバいとこから始めなくてもいーんじゃないの、責任者出てこいという気持ちでいっぱいなのです。
死ぬよ? 死んじゃうんだよ?
うん、まー……なんでこんなトコから始めるかなんてのの目的は、この物語に興味を持ってもらう事。要は掴みであると。
日に数えることなど不可能な量の活字が常に生み出されるこの世の中で、この物語に目を止めてくれた人には感謝したいんだけど、正直それだけじゃやっぱり寂しいわけで。
要はこのまま読み進めてもらうためにはどうしたらいいかを、あたしはちょっと考えてみたりする。
いきなり緊張感高まるらしき言葉で始めてみて、開始数行で流れをぶった切って、この物語というものの営業を始めるんだから、あたしもどうかしてるってわけだけど。
ちなみに、こんなことをくっちゃべってても、現在進行形であたしは命の危機にさらされている事は、ひとまず改めて伝えておこう。
さて。
ラノベ的なモノを目指して物語を始めてみたはいいんだけど、まー、主流からびっくりするほど外れた始まり方をしたもんだねー、と我ながら呆れるしかない。
ぶっちゃけますと。
このお話は、なろうで連載してた物語の転載なんだけど、あっちのランキングトップ10、ほぼ異世界もので埋め尽くされてたよね。もう時代はファンタジー一色かと。
既にビルという単語が出てきている事で分かってもらえてるかもしれないけど、これはれっきとした現代劇。この世界劇。
&最初にはっきり言っとくけど、この後あたしは異世界には転移しないし、魔法使いや勇者に転生したりもしない。
そこら辺にいる何者でもない(多分)タダの女子高生。イラストでも付けば、かわいい女の子には仕上げてもらえそうなくらいには見れる顔だとは思うけど……あ、コレ、アピールポイントね。
平凡ってトコは主流に沿ってるのかな。
冴えないどこにでもいる奴の方が、ある程度感情移入しやすいのは事実だし。
まーでも……女だからな、あたし……どーしょもないニートとか、うだつの上がらないサラリーマンの方が、世界救った時に爽快感はあるんだろうけど、あたしは一体どう見られる事になるのかなぁ、とか、今からどうでもいいことを考えてみたりするワケ。
それとファンタジーの方がオリジナルの設定いくらでも作れるし、現代劇とかだと、設定がある程度存在するものに縛られるから、それを理解して進めてかないと、物語を読む方は違和感感じるか飽きる。語る方は破綻を来す。
……ま、フツーの話だよね。
ってか、そーゆーの抜きにしても異世界いいよ異世界。耳尖ってたり魔法使ったり、金髪とか弓使ったりとかイイヨネ! ……イイヨネ!! あ、リゼロアニメ、続編待ってます。オーバーロード、第二期フツーに楽しんでます。……あれ、メインに金髪エルフがいない。ハーフエルフも銀髪だし。
ああ、ちなみになんでヒロプラに転載するかって言うと、こっちの方が物語のコンセプト的には合ってるかなって思ったからなんだよね。
書き始め当初は、小説投稿サイトはなろうしか知らなかったからあっちから始まったって感じ。
まぁ、遠回りしたとは思ってない。ヒロプラ始まったの去年の10月だもんね。
とりま、コンセプトが合ってるかどうかってのは、この後の読み進めてもらってご判断を委ねよう。
というワケで我が物語は、誠に持って面倒くさい方向へ進むことになった。
とは言え、こればっかりはしょーがない。あたしはココに生まれちゃったんだから、コレは宿命とかいう奴だ。おお、そんな言葉を使うとちょっとはカッコよく聞こえるっていう錯覚に陥ることができる。
……状況は誠にカッコよくない、ってか危ない。
なので、頑張ってこのコンクリートジャングルを駆け巡ろうと思います。
とりあえず、ここまで一通り閑話休題、と。あたしは相変わらず死にかけている。
でだ。
物語にどう興味を持ってもらうかだけど。
色々手法はある。
ラスボス手前の戦い辺りから始めて、異質なシーンを演出して、主人公にちょっとカッコいい主張を語らせて。んで、見てる人に『どーしてこうなった』的な雰囲気与えておいて、物語を平凡な日常から始めるとか。
或いは頑張って日常シーンを進めて、2話目ぐらいまでで脱落する人もいる事も織り込み済みで。んで、3話目ぐらいで、いきなり急展開して物語に見てる人を引きずり込むとか。マミられるとか。
映画とかだと面白い視覚効果とかで引き込むとかもあるけど、活字の物語でそれもなかなか酷だよね。少なくともあたしに出来る芸当ではなさそう。
……活字ならタテ読みとか?
意味分かんない意味分かんない。とりあえず今のあたしに、えるしっているか、みたいな事は必要ないわけで。
うーん、やっぱり、バンッ! と勢いがあった方があたしは好きだなー。
地味でしっとりなやり方もあるんだろうけど、多分性に合わないし、この物語はそういう物語にはならないことが目に見えてるんだよね。
だから。
だからあたしの――桜瀬七波 の物語は、ここから始めてみる。
うーん、メタいな。のっけから第四の壁、突破しすぎだな。デップーさん見習いすぎたか、リス娘でもいい。
ここまで何人振り落としたかな。ページを開いてくれた人の1割でも残ってれば、とりあえず上々なのかもしれないね。
でも、そんな主張からとりあえず始めてみてもいいのが、あたしのこの物語。実験してもいいし、好きな事をしてもいいと思ってる。誰に怒られたって、振り返る事も省みる事も必要ない。
だから、このやり方だ。この始まりだ。
先人たちに倣って、危機的状況から物語を始めてみよう。
あ、ちなみに。
七波「はぁっ……はぁっ……はぁっ……んっくっ……!」
この物語では台詞の形は、こんな感じで『名前「セリフ」』みたいな形で進めさせてもらうんで、よろしくお願いします。
で、なろうの方でも言ってたんだけど、これは文字を使った物語、というだけであって、あたしは小説というもののルールに沿ってコレを進めるつもりはぜーんぜんない。
どっちかっていうと台本、みたいなモンかもね。ADVゲームでも可。
というわけで。
良かったら。
読み進めてほしいって思ってる。ここまで読んでもらえたなら猶更だ。
何故なら。
ここでページを閉じられては、あたしは永遠にみんなの頭の中で、追いかけてくる何者かから、逃げ続けなきゃいけないからだ。
あたしは生きたい。死にたくない。
人として、この危機から本気で脱したいと願うばかりだ。
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