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第21話 OMNIBUS STAR〜光年の旅

宇宙とは、決して唯一のものではない。 それは無限に拡大する時空によって無数に生成されていくものなのである。 数々の恒星や銀河を形成する宇宙という存在は、空間という広大な『海』の中に浮かぶ小さな『泡』に過ぎず、孤立した無数のその『泡』の中にはまたそれぞれ別の宇宙が存在する。 そしてこの『泡』はほんの些細な出来事により際限なく膨張し、類似した宇宙を増やし続けていくのだ。 ーーーそうした無限の彼方から、物語は始まる。 星巡る人 第21話 OMNIBUS STAR〜光年の旅 ここは宇宙の外側。色とりどりの光が渦巻き、いくつもの泡宇宙が浮かぶ空間の海。 そのなかを、ふたつの流星が駆け抜けていく。 泡宇宙を縫うようにして飛ぶそれらは、時折激しくぶつかり合いながら果てしない空間をどこまでも進んでいく。 先を飛ぶ青い光を追うように、後方から赤い光が迫る。 この二つの光は鏡写しであり、相対する関係にあった。 青い光はすべての生命の恨みや呪い、憎しみ畏れといった負の感情の概念であり、赤い光はすべての生命の喜びや哀しみ、怒りや楽しみといった正の感情の概念である。 それ故に、二つの光は決して相慣れることのない存在であった。 生命の誕生が先か、彼らという概念の誕生が先か、それはもはや分からない。 時間の概念すらないこの空間で、彼らは全ての泡宇宙に生命が存在する限り永遠に戦い続けるのだ。 しかしどれだけ戦おうと決着はつくはずなどなかった。 なぜなら負の感情も正の感情も生命にとって必要不可欠であり、ごく当たり前に存在しなければならないものだからだ。 どちらかが欠ければそれは命として成り立たない。 だからこそ戦いは終わらない。 概念の集合体である彼らにとって、互いの存在だけが自己の証明であり、戦うことだけが唯一の存在意義であったのだ。 そう、その時までは。 しかし変化とは、常に予想もしない形で突然訪れるものだ。 なにがきっかけだったのか、それはわからない。 しかしあるとき、青い光は自らの力を宿した分身を無数の泡宇宙に向けて放ったのだ。 赤い光は見たーーー分身が潜り込んだ泡宇宙のひとつが眩い光とともに消滅するのを。 あの分身は恐らく泡宇宙内の生命に取り憑き、その負の感情を増大させて莫大な力を与えるのであろう。 このままではすべての泡宇宙が負の意思に蝕まれてしまうかもしれないーーー現に青い分身を宿した生命は他の泡宇宙へと侵攻を開始している。 最早一刻の猶予もない。 赤い光は周囲に三つの分身を作り出し、それぞれに形と意思を与えて空間の海へと放った。 ひとつは力を与える光として。 ひとつは人と人を繋ぐ石として。 最後のひとつは、そのふたつを結び導くための地図として。 それらは大いなる目的のため自ら持ち主を選び、その者たちに運命を委ねる。 宇宙と宇宙を繋ぎ、人から人へと受け継がれることでその煌めきを増していく。 そして三つの分身がひとつになって初めて、負の感情に対抗しうる唯一の手段となるのだ。 のちにそれらは各々の名を持って様々な宇宙で伝説として語り継がれていくこととなる。 『心星の光』 『星のかけら』 『星宿の地図』 己の分身がそれぞれ泡宇宙へと旅立って行ったことを確認し、赤い光は再び青い光を追うべく飛び立った。 遥かなる空間の果て。 無限の彼方へと向かってーーー…。 Journey gose on…
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