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見てはいけない者

 コンコン  軽快な音が廊下に響き、その少し後に部屋の中からパタパタという軽い音が近づき扉が開く。 「何ですか?」 「そろそろ学校に行かないか?」  麻里は右手を口元に置き少し考えたのちに。 「そうですね、この後の仕事もありませんし行きましょうか。」 「あぁ、とりあえず俺の部屋に行こう」 「なぜですか?」  え?  そんなマジな感じで顔で......。 「だって、机の引き出しから向こうに戻れるんだろ......?」 「は?」 「......」  あんのクソ幼女めがぁ!!!  だましやがったな!!! 「何言っているのか分からないけど......。とりあえず帰りましょう」  そう言いながら麻里は右手を壁にかざすと、壁に楕円形の真っ黒い影が現れた。  麻里は何もためらわずにその中に入っていく。 「早く」 「おう」  そんな急かさなくても......。  中に入るとそこは変な感覚でどっちが上でどっちが下なのか、自分がどういう風に動いているのかが全然わからなかった。  少し経つと感覚が戻り、目を開けるとそこはもう麻里の部屋だった。 「すげぇ......」 「こっちでは普通に過ごしてよね」 「あ、おう」  それだけ言い麻里は部屋から出ていった。  俺もそろそろ行くか。 「あんたまだいたの!? 早く行きなさい!」  怒鳴られてしまった。 「ご、ごめん! すぐ行く!」  学校に行く途中、何人かの人のステータスを見てみた。  ちなみにその人の顔を強く意識して、ステータス表示と念じれば見ることができると、天使たちで試して分かった。  そんなことをしながら学校に向かった。 「おはよう」 「おお、李糸。 おはよう」  友達と簡単なあいさつを交わし、いつも通り学校で一日を過ごした。  家とかじゃあんなことがあったけど、ここはいつも通りだな。 安息の地が変わりそうだ......。  えー......と、次は現国だったけな。 「李糸行こうぜ」 「おうとも」  友達と教室を出て別の教室に移動する。  そろそろ授業が始まるのか、廊下を歩く生徒も少なくなってきていた。 「急ごうか」  そういい小走りになりながら教室に入った。  教室の中ではほとんどの生徒が、席に座って教科書を用意していた。 「そこの二人、早く席に座って準備をしなさい」  俺はこの時癖になっていたステータス表示のスキルを、うっかり現国の教師に使ってしまった。  〔名前〕|新村 佐木《ニイムラ サギ》 Lv.23  〔年齢〕24  〔性別〕 男  〔種族〕 魔族  〔称号〕 慈悲無き者 【ステータス】  HP 1307/1307  MP 1431/1431  SP 601《減少》  最大体力値 619  最大攻撃値 623  最大防御値 487  最大魔力値 653  最大魔操値 715  最大抵抗値 627  最大俊敏値 399  〈スキル〉 【自然治癒力 Lv.9】【自然体力回復 Lv.9】【基本魔力操作 Lv.15】 【魔力感知 Lv.14】【闇魔法 Lv.6】【光魔法耐性 Lv.1】 【業火 Lv.2】【気配感知 Lv.7】【視力 Lv.8】 【聴力 Lv.8】【味覚 Lv.3】【殺気 Lv.2】  なん......だ、これ。  魔族......てことは、敵だよな。  ステータスを見てからそうしないうちに、李糸はとてつもない”嫌な感覚”に襲われた。  それが殺気だと気が付く事にあまり時間はかからなかった。  やばい、やばいやばい。  早く逃げないと、でも。  足が......ッ! 「あー、すまんみんな。 先生少し用事ができたから自習していてくれないか」  周りの生徒は、えー、さぼりかよー! などと愚痴をこぼしている。  が、しかし。 李糸だけはいまだ放たれている新村の殺気で動けずにいた。 「それから、明宮。 お前も少し付き合え、用がある」 「......」 「おい、どうしたぁ」 「は、はい」  こんな状態で喋れるかよ......。  声が震えちまって......。 足も動かねえ。  なんでみんなは平気なんだ。 「早くしろ明宮ぁ」 「分かり......ました」  李糸は震えながらも確実に新村の方へ近づいていく。  落ち着け俺、深呼吸をするんだ。  はぁー......、ふぅー......。  ......。  よし......!  そこからは少し落ち着いたのか、普通に歩いていく。  新村の目の前まで来た李糸は。 「用って何ですか」 「ここじゃあ、話せない内容だからなぁ。 少しついてきてもらうぞ」 「分かりました」  それから新村は非常階段のほうへ進んでいった。  この方向って非常階段だよな......、外に出るつもりか?  どうにか麻里に連絡ができれば......。  ......!  そうだ! ここで麻里のステータスを覗けばわかるんじゃないか?!  麻里、ステータス表示!  ......。  何も、起きない。  距離が遠すぎるってことか。  クソッ! 「着いたぞ」 「え......」  もう外に出ていたなんて......。 「お前さぁ、俺に何した?」 「すみませんが、何を言ってるのか......」  ガンッ!  と新村が傍にあった手すりを軽く殴る。  手すりは粘土の様にぐにゃりと形を変えていた。  何だよそれ......。 反則じゃねぇか......。
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