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大天使様

   目を覚ました場所は真っ白な部屋の中にあるベッドの上だった。  このベッドは程よい冷たさで驚くほど柔らかかった。 「心地がいいな......」  まるでさっき起きたことが嘘のように......。 「目が覚めた?」  突然聞き覚えのある声が聞こえそちらを見ると、白い扉から麻里が顔をのぞかせていた。 「あ......、あぁ」 「それじゃ早速だけど、大天使様にあってもらう」 「大天使......? 神様かなんかと会うかと思っていたよ」  なぜか頭だけは冷静で冗談も言えるくらいにはなっていた。 「......神様は何百年も前に消えた」 「消えた? 神様が?」 「......」  そこから麻里は何も言わず、黙ってついて来いと言わんばかりの顔で扉の奥に消えた。  少しよろつく体をベッドのフレームで支えながら立ち上がり、落ち着いてきた頃に麻里の影を追う。  麻里について長い廊下を歩いていくと、空で見た扉とは比べ物にならないほど巨大な扉が目の前に現れた。 「ここが大天使様の部屋、絶対にステータスを見ないで」 「な......んでだよ」 「死にたいの?」  そんなこと言われたら従うしかあるまい。 「それじゃあ入るから」  ぎぎぃー......  と小さく音を立てながらその扉は開いた。  中には一人の女性が座っていた、金髪で鋭い眼、鼻が高く巨乳......。 「失礼いたします、大天使様」  そういい麻里は頭を下げた。 「ふむ、メアリーかご苦労であった」 「そいつが例の男か」  きっと120%俺の事だろう。  よし、殺せ......。 とか言われないだろうな? 「はい、現世では私の兄となっています」 「ほう......。 お主名は?」 「明宮李糸といいます」 「李糸よ、なぜ今ここにいるかわかるか」  正直分からなくもない、恐らく......、いや確実にあの事だろう。 「......天使というのを知ってしまったからですか?」 「大まかな理由はそうじゃな、我々は基本隠れて動いている。 それを、お主は知ってしまったのだ」 「......だから俺を殺すって?」  少し小ばかにするような笑みを見せた、俺は引きつる笑顔になり、大天使は答えた。(この笑顔ぶん殴りてぇ......!!!) 「確かにそれでもいいのだが、実はなお主のそのスキルはかなり希少でな。 我々が欲しているスキルの一つなのじゃよ」 「希少......?」  希少? 異世界系の話じゃよく見るから、一般的なものだと思っていたけど。 「ふむ、メアリー世説明してやれ」 「はい、私たちには敵対する者がいます、それは魔物や魔族、こいつらも私たちと同じように現世で隠れています。 それを見つけるためにそのスキルが必要です。 しかし、そのスキルを持っている者は少なくとても希少となっています。 わかった?」 「あぁ......、つまり俺のスキルを使ってその魔物とやらを見つけ出したいと」 「そういうことになるのう」 「でも、それだと問題があるんじゃないのか?」 「なんじゃ?」  そう、今のところ明らかな問題があるんだ......。 「俺が麻里にスキルを使ったらすぐにばれたぞ」  大天使は何もためらうことなく当然のようにその言葉を言った。 「それなら新しいスキルを手に入れればいい、隠密系のな」  大天使は、ニヤリと口元を歪ませ確かに言った。  新しいスキルを手に入れればいいと。 「そんなの人間の俺が手に入れることなんてできるのかよ!」 「もちろんだ。 ただ、死ぬかもしれんがな」 「死......もし、俺が断ったら?」  その言葉を待っていたと言うように。 「お前に拒否権なんてものは存在しない」  強い口調で大天使は続ける。 「もし断るなんて言った時には、お前の首をはねてやるさ」  彼女の目がギラリと光る。  どうやら拒否権なんて無い様だ、天使様ね...はは......。 「そこまで言われると断る気なんてわかないな......。 それでどうやって手に入れるんだ?」 「物わかりのいい奴は嫌いじゃないぞ、そうだなここはシェリーに頼もうか」  また新しいのが来るのか......。 「メアリー、シェリーを呼んで来い」 「はっ、すぐに」 「......。 ところでそのシェリーってのは誰なんだ?」 「密偵組織の隊長だ」  いきなり隊長なんかにしごかれるのかよ。  所でどんなことをやるのだろうか。 「訓練内容ならシェリー自身に聞け」  頭の中でも覗いてるのかよ。  それからあまり待たないうちに扉があいた。 「大天使様お待たせいたしました」 「ご苦労だったメアリーよ」  そこに現れたのは、銀髪短髪幼顔の少女だった。 「大天使様私に用とは......?」 「そこの男に隠密に関するスキルを教えてやって欲しいのだ」 「こいつにですか」 「ああ、実はなそいつステータスを盗み見るスキルを持っているのだが。 今のままだと全く使い物にならないのだ、そこでお前を呼んだ」 「この男がそんなスキルを......、わかりました」  そういうとシェリーはこちらに向きゴミでも見るような目で言った。 「死ぬなよ?」  天使って何だったんだろう......。  今日一日で天使の概念が一変した。
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